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85.カーリンの活躍

 私は、カーリンに連絡を入れた。コンパスの製作が軌道に乗ったら、ヤガータ国に戻ってくるように伝えた。カーリンは、思ったより、早く戻って来た。


 「カーリン、ご苦労様。コンパス工場の方は、順調か?」


 「はい、もう私が抜けても大丈夫です。代わりの者を育てております。」


 「そうか。それでは、次の仕事を頼む。」


 「何でしょうか。」


 「カーリンは、原油の事を知っているか。」


 「はい、知っております。地面から、浸み出す黒いドロドロしたものですね。よく、燃えます。」


 「そうだ、その原油を探したい。」


 「でも、原油の油田はほとんど発見済みではないですか?」


 「その通り、地面から直接得ることが出来る原油は、もう、見つけにくいだろう。」


 「では、テレ殿も、ご存じなのですね。それなら、何を私はすればいいのですか?」


 「カーリン、テラと呼んでいいよ。」


 「はい。」


 「実は、これは、極秘の事だが、地下に原油が眠っていることがある。」


 「原油が、眠っているのですか。」


 「そうだ、眠っているので、地面まで上がって来ない。」


 「そんなことがあるのですか。」


 「その、眠っている原油を起こしに行って欲しい。だが、何処で眠っているかは、分からない。

 カーリンは、探せるか?」


 「わかりません。やってみないと。それで、地下何mぐらいですか。」


 「そうだな。地下50mぐらいだと思ってくれ。」


 「分かりました。部下を10名お借りしていいですか。」


 「いいぞ、レンゲーに行って、必要な人材を使いなさい。」


 「はい。」


 私は、原油の調査をカーリンに丸投げして、気分が良い。やっと、肩の荷が下りたという感じだ。


 数日後、カーリンがやって来た。


 「テラ、調べた所、原油の産出はミヤーコ王国だけのようです。」


 「それで?」


 「ミヤーコ王国の油田の場所を知りたいのです。教えて貰えませんか。」


 「分かった。2日待て。」


 「はい、分かりました。」


 私はスピアに頼んで、ミヤーコ王国の油田の場所を調べて来て貰った。


 「テラ、帰ったよ。」


 「ご苦労様。どうだった。」


 「油田、5カ所。地図、書いた。」


 私は、スピアから貰った地図を部下に綺麗に書き直させて、カーリンに渡した。


 暫くして、カーリンがやって来た。


 「テラ、試掘をしても良いですか。」


 「構わないが、その場所の近くに住宅などはないな。」


 「はい、ありません。」


 「それならいい。カーリンは、試掘の経験があるのか?」


 「いえ、私はありません。ですが、先日連れて来て貰った部下が、経験者です。」


 「そうか、それなら、大丈夫だな。」


 「一つ問題があります。試掘の為の機械がありません。」


 「そうか、それなら、購入してよい。」


 「テラ、それが、だめです。どこにも売っていません。」


 「えっ、何故だ。」


 「ミヤーコ王国でしか、使わないからです。しかも、基本的に秘密になっています。」


 「そうか、なら、創ればいいだろう。」


 「そうですが、我々は、魔法の知識に乏しく、効率的な機械を作ることが出来ません。」


 「わかった。私が作ろう。それでは、どのような機能の物か、説明してくれ。」


 カーリンは、私に、丁寧に説明した。時には、図を描きながら、機械の機能を教えてくれた。


 「わかった。1日待ってくれ。」


 「はい、わかりました。」


 カーリンの話では、穴の開いた鉄の棒を地面に打ち込んで行くという。1本10mぐらいで、予備を含めて10本は、欲しいらしい。それらを接続して、1本の様に使うそうだ。まず、鉄の棒を直径1mの穴を開けて、10本作った。表面を闇魔法で、コーティングして、強化しておいた。


 それから、燃える気体が出てくる時があるので、それに引火しないようにしたいらしい。


 私は、鉄の棒に闇魔法で、蓋をして、気体が漏れないようにした。そして、魔法陣の刻印をして、その蓋を開閉することが出来る様にした。しかも、遠隔で操作できるよに、鉄の棒に数字を割り当てた。


 それから、鉄の棒にねじ込みをつくり、接続できるようにした。


 闇魔法の蓋の開閉用に、操作盤を創り、1から10までの数字を書いたスイッチを付けた。最後に、操作盤の番号と鉄の棒の番号を揃えて、魔法陣をリンクさせた。


 最後に、この鉄の棒を地面に打ち込んでいく機械の製作だ。


 まず、鉄の棒をセットできるように、筒を作った。筒は、角度を変えることが出来る様にしておいた。次に、地面に打ち込んでいく部分だ。


 これには、土魔法で、地面を掘る魔法陣を使うことにした。鉄の棒には、穴が空いているので、そこに放り込むと、地面にぶつかった際に、同じ方向に穴を掘るように魔法陣の刻印をしておいた。これは、手榴弾のようなものだ。これを、100個作っておいた。足らなくなったら、また、創ればよい。


 一応、完成したので、カーリンを呼んで、実験を行った。


 「テラ、大体思っていた機能を持っています。後は、実際に試掘して、必要な改良をお願いします。」


 「分かった。それでは、始めてくれ。」


 「はい、直ちに。」


 カーリンは、足早に去っていった。


 カーリンは、研究者の感じだ。私が指揮官だと知っていても、お構いなしに、仕事を振ってくる。


 「スピア、後は、待つだけだよ。」


 「うん。寝ようか?」


 「スピア、いい考えだね。寝よう。」


 私は、スピアに抱き付いて、寝ることにした。まだまだ、スピアの方が大きいが、頭が、スピアの大きな胸に包まれるぐらいには、身長が伸びた。というか、伸ばした、だね。

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