表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/261

82.ミヤーコ王国の特産品

 私達は、ミヤーコ王国の特産品が何かを探るために、隠密魔法で、姿を消した。


 思念伝達で、スピアに声を掛けてた。


 「リリーは、北の方角にあるって言っていたね。」


 「うん。北だね。」


 「それに、井戸のような物と言っていたね。」


 「うん。井戸。くみ上げる。」


 「そうか。何かを汲み上げているんだ。」


 「うん。井戸、どこかな?」


 「確か、リリーは、厳重に守られているって言っていたよね。」


 「うん。兵士、いる。」


 「そうだね。兵士を探せばいいんだ。井戸じゃなくて。」


 私は、スキル探索で、近くに集まっている兵士を探した。


 すると、北の方角ではなく、北東の方角に、兵士がかたまっている建物を見つけた。

 

 「スピア、見つけたよ。」


 「うん。テラ、背中、乗る。」


 「お願いね。」


 私は、スピアの背中に負んぶされて、運ばれていった。すると、何やら、嫌なにおいが漂ってきた。これは、道路を舗装する時の匂いだ。何って言ってたかな。


 「これ、アスファルトの匂いだ。」


 「テラ、アスファルト、何?」


 「私も、言葉だけで、よく分からない。なぜ、そんな匂いがするのか、分からない。」


 「テラ、分からない。」


 「そうだよ。わからない。ごめんね。」


 「それに、あそこを見てよ。何か、ドロドロした物が、湧き出ているよ。」


 「スピア、あのドロドロをこの箱に入れてくれる。」


 私達は、ミヤーコ王国の秘密の特産品を見つけた。でも、何故、秘密なのか、わからない。輸出していたら、秘密じゃないじゃない。


 取り敢えず、この箱の中の物が何か、確認する方が先だ。私は、知っているような気がするが、断言できるほど、自信は無い。


 私は、思念伝達で、リンダに連絡を取った。


 「リンダ、今から、箱を送るから、中身が何か、調べてくれる?」


 「はい、分かったわ。」


 「いま、送ったよ。」


 「はい、受け取りました。箱の中身は、原油です。」


 「そうか、原油か。アスファルトの匂いがしたので、そうかなぁって、思っていたけど、自信がなかったよ。」


 「もう一つ、調べて欲しい事が在るんだ。」


 「何、言ってくれる。」


 「実は、その原油は、ミヤーコ王国の秘密の輸出品のようなんだ。なぜ、秘密なのか、調べて欲しい。」


 「それは、出荷しているのが、原油じゃないからよ。」


 「どういうこと?」


 「ミヤーコ王国が輸出しているのは、原油じゃないのよ。灯油よ。」


 「何が違うの?」


 「原油から、灯油を精製しているのよ。その過程を秘密にしているということね。」


 「そうか、原油のままではなくて、加工した物を輸出しているようなものだね。」


 「そうね。そんな感じかな?」


 「原油って、何処でも取れるの?」


 「うーん、そんなことは無いと思うよ。地面に黒いドロドロした物が浸み出しているみたい。」


 「そんな場所を探すということか。」


 「匂いが凄いから、もう、とっくに見つかっていると思うわ。」


 「それじゃ、無理かなぁ。」


 「原油を取り出すのに、井戸みたいなものって、使うの?」


 「私は、聞いたことがないわ。地面に染み出ていると聞いているよ。」


 「本当、初めて聞くことなの?」


 「そうね。それが、本当なら、初めて聞くことね。」


 「そうか、それも、秘密の内容かもしれないね。」


 「私は、分からないわ。」


 「ありがとう、参考になったよ。」


 「それじゃ、またね。」


 私は、リンダとの思念伝達を切った。あのリリーは、かなり価値のある情報をくれたようだ。


 私達は、次に、アータキ国の都市コーリマに行くことにした。

 この国は、フラン連合国のちょうど中心にある国で、すべての物がここに集まってくる。そして、その国の中心の街である都市コーリマは、最も裕福な街になっている。


 「この街は、人が多いね。それに活気があるよ。」


 「うん。皆、元気。」


 「商店の種類も多いね。品物も豊富だ。」


 「テラ、これ、食べたい。」


 「美味しそうだね。食べようか。」


 「うん。食べる。」


 私達は、初めて見る料理に興味津々だ。ここには、色んな国の食べ物が集まってきている。そして、食べ物だけでなく、人も色んな人が集まってきている。

 

 初めて見るような人もいる。身長が3mもある。それも、その人だけでなく、5人とも皆、3m以上の身長だ。そういう、民族なんだろう。


 逆に、とても小さな人もいる。そして、私が大好きな猫耳族も大勢いた。


 「すごいね。こんなに色んな人を同時に見ることが出来るなんて、夢みたいだ。」


 「うん。大勢いる。」


 周りを見てみると、多くの民族がいるだけでなく、色んな職業の人がいることも分かる。


 ミヤーコ王国の都市シジン では、見ることがなかった冒険者風の人も大勢いる。


 こんなに賑やかな街は、他にないだろう。できれば、ヤガータ国の都市デンロンが、このような街になってくれれば、嬉しいな。


 それには、私が頑張らないとだめだ。それと魅力がある街には、魅力がある人が集まるということが実感できた。


 そろそろ、官吏を募集する時期かもしれないな。


 私は、思念伝達で、ガーベラに連絡した。


 「ガーベラ、テラだけど。今、急に思いついたことがあるんだけど、いい?」

 

 「何、急に思いついたことって。」


 「そろそろ、官吏を雇わないか。」


 「確かに、今、不足しているわ。でも、優秀な人材がいるかしら。」


 「今、優秀な人材じゃなくても、いいよ。」


 「どうして?優秀な人でないとだめじゃない。」


 「そんなことは、無いよ。意欲さえあれば、ガーベラが育ててくれるだろう。」


 「私一人じゃ、厭よ。テラも、手伝いなさいよ。」


 「わかったから、意欲のある若者を集めておいてね。そしたら、私達も戻るから。」


 「本当ね。直ぐに、集めるよ。いい?」


 「いいよ。お願いするね。」


 私は、思念伝達を切った。どんな人材が集まってくれるのか、ワクワクしてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ