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80.テラの長期旅行

 ミーヤ国の港を離れて、北に進みながら、いくつかの村や町を見てきたが、何処とも人口とかが違うだけで、出ている店もあまり変化がない。


 リザードマンの生活は、何処も同じようだ。この氷の世界では、すべてが閉じ込められていた。変化を拒んでいるかのようだった。


 私達は、ついに、アストーリア大陸のへそというべき場所に着いた。でも、特に何もなかった。


 「テラ、動物、いない」


 「本当だね。人も動物も生きている者がいない」


 「何か変。気分悪い」


 「どう変なの」


 「揺れているみたい」


 「スピア、急いで離れよう」


 私達は、大陸のへそから、急いで離れた。5kmぐらい離れてやっと元に戻った。


 「強い磁場があるみたい。それの影響かも」


 「スピア、わからない」


 「私もわからないよ。でも、離れておく方がいいね。気分が悪くなるから」


 「うん。帰ろう」


 「帰ろうか」


 私達は、キャメール村に戻った。それから、船でヤガータ国に戻ってから、思念伝達で、暫く、長期旅行に出かけるととを告げた。


 「さあ、スピア、行こうか」


 「うん、行こう」


 私達は、昔の工房に行った。地下牢の前の工房だ。サルビアと来たのが、最後だった。


 「サルビア、懐かしいね。今、どうしてるのかな?」


 「うん。サルビア、会いたい」


 「あれから、もう、3年経っているからね。私は、変わっていないけど。サルビアは、もう、立派な女性になっているね」


 「サルビア、変わらない」


 「ここでの仕事が終わったら、会いに行こう」


 「うん。会いに行く」


 私は、早速、13歳の自分を創り始めた。わりと簡単に作ることが出来た。サルビアを思い出しながら、内臓もしっかり作ることにした。それと、血も流れる様に加工した。


 次に、新しいガラスのケースを一つ作って、新しい身体を中に入れた。自分自身も、空いているガラスのケースの中に入った。そして、新しい身体に魔方陣を刻印して、魂を入れ替えた。


 私達は、新しい国に行くことにした。それは、ミヤーコ王国で、北端の国だ。ミヤーコ王国は、広大な土地を持つ国で、フラン連合国の中で、最大の国土を有している。以前、ウェーリィ王が多額の借金をした国でもある。

 

 私達は、ミヤーコ王国の最大の都市シジンに向かった。この国は豊富な地下資源を輸出することで、他の国から金貨を得ている。もっとも、豊富な金属が金と銀だ。しかも、ほとんど加工の必要のない状態で、産出されているらしい。


 そのため、豊富な資金の割に、技術力は低く、ほどんどの加工製品を他国から購入している。また、豊富な資源のため、働く意欲がなく、食料もほとんど、他国から輸入している。


 金と銀以外に唯一輸出しているのが、宗教だ。この国の都市の名前でもあるシジン教が各国に輸出されている。つまり、ほとんどの教会がシジン教のための施設となっている。


 「この街は、綺麗ね。至る所が金色だよ」


 「うん。眩しい」


 「何か、食べる?」


 「テラ、決めて、どこ、入る」


 私達は、入り易そうな店を探しているが、どの店も高級店の様に、煌びやかだった。


 「ここに、入るよ」


 「うん。入る」


 考えても仕方がないので、適当に店を決めて、入っていった。


 「いらっしゃいませ。こちらは、初めてですか?」


 「はい、初めてです」


 「私共の店は、会員のみ利用できる店になっています。まず、会員になって貰えますか?」


 「会員とは、何ですか?」


 「この国の色々な店を利用するための物です。この会員証がないと、この国では、何も買えません」


 「わかりました。入ります。会員になります」


 「それでは、入会金として金貨50枚と、年会費として金貨50枚をお支払いください。それと引き換えに会員証をお渡しします」


 「それでは、これでいいですか」


 私は、言われるままに金貨100枚を出した。


 「あの、お客様、これでは、一人分にしかなりません。あと、金貨100枚が必要です」


 「わかりました。それでは、これで」


 私は、追加で、更に、金貨100枚を出した。すると、係員が奥の部屋から、会員証を2枚持って来た。


 「はい、これで、この国の商品を購入することが出来ます。私共の店のメニューは、これです」


 「すみません。お薦めを頂きます」


 「かしこまりました。お薦めを2人分でよろしいでしょうか」


 「はい。それで、お願いします」


 「しばらく、お待ちください」


 複数の係員が、皿をいくつも持って、テーブルの上に置き始めた。到底、2人分とは思えなかった。


 「スピア、食べようか?」


 「うん、食べる」


 色んな皿の色んな料理を少しずつ取りながら、食べて行った。


 「お客様、ご堪能されましたでしょうか?」


 「はい、十分、頂きました」


 「それでは、今日のお会計で、ございます」

 

 「金貨30枚ですか」


 「はい、2人分としては、普通の金額ですよ」


 私は、言われるままに、金貨を支払い、店を出た。


 「これは参った。この調子なら、あっという間に破産だね」


 「うん、高い」


 この国では、迂闊に店にも入れないようだ。暫くは、隠密魔法で、姿を消して、調査する方が良さそうだ。

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