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77.シロッコスの活躍

 今日は、船に乗って、アストーリア大陸へ戻る日だ。


 シロッコスの家族も観光を楽しんだようだ。キャメール村の人々も笑顔が見える。乗船の時に渡したアイテムボックスは、お土産として、持って帰って貰うことにした。


 今回は、シロッコスに操舵を任せるつもりだ。その様子を見ながら、改良しようと思っている。


 「早く、乗船してください。もうすぐ、出航します。」


 シロッコスが声を張り上げている。ほとんど、乗船したと思っていたが、何人かが、まだの様だ。


 「どうしたのかな。シロッコスは、知っている?」

 

 「どうも、帰らないと言っている者がいるようです。」


 「別に、いいんじゃない?」


 「えっ、いいんですか?」


 「いつでも、帰れるからね。いいんじゃない?」


 「そうですか。それじゃ、行ってきます。」


 シロッコスは、船を降りて、帰ろうとしない若者に話しかけている。


 それから、乗せようとしていた家族の了解も取ったようだ。


 シロッコスは、若者だけを岸に残して、上がって来た。


 「テラ、終わりました。出航できます。」


 「それじゃ、お願いね。」


 「只今から、キャメール村へ向けて出航します。」


 船は、順調に進んで行った。最初の時より、少し遅いが、いいペースで進んでいる。


 そろそろ、氷の厚さが10cmを超えて来た。氷を砕く音が大きくなってきた。

 

 「テラ、氷に阻まれています。どうしましょうか。」


 「ちょっと、待っててね。」


 私は、船首に行き、風魔法の魔法陣を描いた。これは、船首から下に向けて風カッター(ウィンド・カッター)を放つ物だ。それを遠隔で操作できるように、操縦席の操舵版のスイッチにリンクさせた。


 「シロッコス、このスイッチを押してみて。」


 「おぉ、魔法が放たれる。氷が割れているようですね。」


 「しまった。割れている様子が、ここからでは、分からないね。」


 私jは、また、船首にいき、遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタを船首に作ったガラス窓にセットした。それから、操縦席に戻ってきて、先ほどの操舵版のスイッチの横にガラス板をはめ込み、これにも、遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタをセットした。最後に、2つの遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタをリンクして、繋いだ。


 「シロッコス、ここを見て、氷が割れている様子が見えるよ。」


 「あっ、本当だ。よく見えます。」


 「それじゃ、見ながら、風魔法のスイッチを押してみたくれる。」


 「これは、いいですね。どれぐらい、スイッチを押せばいいかが、よく分かります。」


 「それじゃ、後は任せるよ。」


 「はい、もう大丈夫です。」


 シロッコスは、その後、うまく操縦して、無事、キャメール村の近くまで、行くことが出来た。


 この辺りの氷は溶けることがないらしい。そこで、船が止めるときの目標として、岸壁と乗船・下船のための建物を建てた。ついでに、船に掲げている旗と同じものを作って、揚げておくことにした。


 キャメール村の人々が下りたので、私は、シロッコスにヤガータ国へ戻ろうと声を掛けた。


 「移住したいと申し出があるのですが、帰りに乗せてあげてもいいですか?」


 「いいよ。でも、家の片づけとか、大丈夫?すぐに出航するよ。」


 「持っていきたいものは、すべて、アイテムボックスに入るそうです。ですから、すぐに出航できます。」


 「そうか、それじゃ、乗せてあげて、出航しようか。」


 「はい。ありがとうございます。」


 私達の船は、移住したい人たちを乗せて、ヤガータ国に向けて出航した。


 帰りも順調に進んで、予定通りに帰ることが出来た。もう、シロッコスは、ベテランだ。船長と呼んでもよさそうだ。


 「ご苦労様でした。シロッコス船長。」


 「テラ、船長は、言いすぎですよ。」


 「そんなことはないよ。立派な船長だよ。」


 「そうだ、シロッコス、定期的に船を出すことにしない?」


 「いいですね。どの程度の頻度にしましょうか?」


 「今、片道に2日掛かっているね。これって、もう少し、早く出来ないかな?」


 「そうですね。風をもっと強くしてもいいかもしれません。でも、弱い風の方がいい時もあります。」


 「そうだね。5段階ぐらいに風の強さを変えれるようにしようか。」


 「それは、いいですね。それなら、1日で行くことも可能でしょう。でも、慣れるまでは、余裕を持って、2日で行く計算をしている方がいいです。」


 「シロッコス、賢いね。そしたら、運航計画はシロッコスに任せるよ。自由に決めてくれる。

 それと、いつもシロッコスが船長では困るので、早く、後継者を育ててね。

 最後に、何があるか分からないから、必ず、兵士は20人乗せてね。」


 「はい、わかりました。」

 

 「それから、先日、兵士をグループに分けてたよ。」


 「はい、聞いております。部下から、報告が来ました。」


 「そう、その時に光魔法が使える者が5人いたの。その5人を借りたいのだけどいいかな?」


 「はい、大丈夫です。すぐに呼びましょう。」


 シロッコスが、5人を呼び寄せてくれた。私達は、シロッコスに、暫く、連れて行くことを伝えて、薬草の農場に向かった。


 この農場の傍には、住宅が建設されている。ヤガータ国の国民であれば、無料で宿泊することができる。国民かどうかは、ヤガータ国IDで判断できる。


 私とスピアと、兵士5人は、住宅の建物の前にやって来た。これから、私が、不安だったことを解消していくことにした。

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