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76.テラの心配事

 朝になって、シロッコスに起こされた。


 「テラ、起きてください。」


 「どうしたの?何か、あった?」


 「いえ、何もありません。」


 「なら、どうして、起こすの?」


 「港に着いたので、起こしに来ました。」


 「えっ、そうなの。そんな時間?」


 「いえ、順調に風を起こすことが出来たので、予定よりも早く着きました。乗員がすぐに下りて観光に行きたいと言って、騒いでいるので、どうしたらいいかと思い、聞きに来ました。」


 「いいよ。皆に遊びに行っておいでって、伝えて。私は、もう少し寝るから。」


 「分かりました。皆だ、遊びに行ってきます。」


 シロッコスは、楽しそうな声をあげながら、飛び出していった。


 「まあ、特に仕事もないし、ゆっくりと、遊んだらいいよね。スピア、そう思わない?」


 「うん。テラ、遊ぼう。」


 「そうだね。もう少しだけ、寝かせてくれる?」


 「いいよ、スピアも寝る。」


 二人で、仲良く、2度寝に入った。


 起きたときには、もう、昼になっていた。船の中にはだれもいない。静かな物だった。


 せっかく、誰もいないので、私は、船を少し、改造していくことにした。


 アストーリア大陸に行くのに、少し厚めの氷を割れる様にしたい。今回は、約50cmの厚さの氷の所で、進むのを止めたが、1mほどの氷でも割ることが出来る様にしたい。


 また、風魔法が使えなくても、簡単に風が起こせるようにしたい。今回は、シロッコスが、魔法を使えたけど、使えない者でも操縦が出来る様にしたいと考えた。


 それと、何かトラブルがあった時のために、脱出用の小舟を乗せておこうと思った。これは、特級のアイテムボックスを使うことにした。そうすると、場所を取らずに、必要な数の小舟を装備できる。


 まず、10人乗りの小舟を作って、並べて行った。本当は、100人乗りの船の予定だったので、小舟は、10隻でいいのだが、20隻作った。船の先頭部分に10隻、後尾に10隻それぞれを入れたアイテムボックスを置いた。

 

 つぎに、船長室を作って、船の様子が部屋の中でも見える様にした。これには、遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタを複数使った。


 最後に、誰でも操縦できるように、魔法陣の起動を行うスイッチを作って、操舵版の横につけた。


 これで、一応、完成だ。どこかで、アストーリア大陸へ行くのには、転移魔法が使えないと聞いたことがあった。いつ聞いたのか、誰に聞いたのかも、覚えていないけど、一度、実験してみたくなった。


 取り敢えず、船長室に転移魔法用魔方陣を描いて、闇魔法で、隠しておいた。


 私とスピアは、兵士の宿泊している場所に移動した。建物の目立つところに、「テラ・ワールド基地」と看板を付けた。これで、兵士が居ることが分かるだろう。


 私は、スピアに頼んで、仲間を闘技場に来てもらうことにした。ただ、冒険者ギルドの警備に2人だけ残しておいた。


 私は、残っている兵士に闘技場に集まるように、声を掛けた。そして、魔法が使える者とそうでない者に分かれて貰った。


 魔法が使えない者は、8人のスピアの仲間に格闘術を教えて貰うように指示をした。


 残った約240名の兵士の中から、光魔法が使える者と闇魔法が使える者を探した。光魔法が使える者は、たった5人だけだった。でも、故郷には、もっといるらしい。光魔法が使える者は、女性に多く、ほとんどが巫女らしい。


 まず、5人に名前を書いて貰った。次に、火魔法・風魔法・水魔法・土魔法が使える者をそれぞれ、名前を書いてもらってから、その実力を見て行った。その後、魔力量が多い者を上位20名だけ、選び名前を控えた。 


 最も、多いのが火魔法が使える者で、50%ほどにもなった。次に多かったのが、水魔法で、35%ほどいた。残りは、ほぼ、風魔法が使える者だった。土魔法が使える者は、僅かだった。これは、種族の特製かもしれない。狩猟民族で、土魔法の使用頻度が低かったのだろう。少しは、複数の魔法が使える者もいたが、本当に僅かだった。


 これで、魔法が使える兵士を把握することが出来た。そして、各魔法別にリーダーを決めさせた。


 暫くは、その者の指示で、魔法の練習を午前中に3時間、午後に3時間行うように指示をした。


 魔法が使えない者も、スピアの仲間に上位50名をピックアップしてもらい、リーダーにした。そして、そのりーだーの名前を控えた。


 それから、その50名のりーだーの元に、約1200名の兵士を分けて、グループを作って貰った。


 各グループは、50名のリーダーに、名前を控えさせて、コピーを提出させた。


 最後に、50名の中から、5名の代表を選んで貰った。その名前を控えて、私・スピア・スピアの仲間は、商業ギルドの戻った。


 「ローララ、元気?」


 「あら、テラ、久しぶりね。」


 「そうだね。最近は、思念伝達で、話すだけだから、顔を見ると安心するね。」


 「そうね。顔を見ながらの方がいいわ。」


 「ここのギルドはどう?」


 「もう、落ち着いてきたわ。でも、まだ、収益がないの。以前の事は、よく分からないけど、登録している店がほとんどないのよ。これでは、だめだわ。」


 「今住んでいる人は、何を欲しがっているの?」


 「そうね。ギルドで購入できない者ね。日常品を置いていないの。だから、それを欲しがっているわ。」


 「このギルド内に商店を開いたら、どうかな?テラ・ワールド商店の出店を出そうよ。そこに、日常品を置いたらいいよ。当面は、収益を度外視して、ほぼ原価で売っていってね。

 それから、必要な従業員は、ローララが雇ってくれたらいいよ。任せるよ。」


 「はい、分かったわ。早速、手配します。」


 「ちょっと、気になったことがあるんだけど。今、いい?」


 「いいよ。何?」


 「最近は、分からないけど、最初は、老人と子供ばかりだったの。それで、病気の事が気になって、いるんだ。」


 「テラ、具体的には、どういうこと?」


 「一つは、病院や医者がいないように思うの。大丈夫かなぁって。

 もう一つは、薬局のような店を見たことがないから、病気になったら、薬とか、どうしているのかと思って、少し、心配なんだよ。」


 「でも、テラは、貴族だけど、あまり、貴族らしくないからかも、知らないようだけど。どちらも、貴族だけの物だよ。」


 「うん、よく分からない。貴族だけの物って。」


 「つまり、病院も薬局も、貴族しか行かないの。それに、病院も薬局も貴族しか相手にしないの。」


 「そうなんだ。知らなかった。」


 「だから、普通の人は、休んで、寝るだけよ。」


 「それじゃ、助からない人も多いだろうね。」


 「そうね。病気になったら、寝かせて、祈るだけね。時には、神殿で、癒してもらえる事もあるけど、かなり高額のお布施を要求されるのよ。」


 「そうか。私の知らないことが多いね。もっと、世の中の事を知らないとだめだね。」


 私は、すこし、憂鬱になった。何か、大きな見落としをしていたように感じた。

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