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73.密航者

 私は、スピアとともに、ミーヤ国の都市イキシに移動した。到着すると直ちに、隠密魔法で、姿を消した。


 私は、思念伝達で、スピアに連絡をいた。


 「スピア、今回も、素早く、動かないといけないの。」


 「うん。わかった。」


 「だから、私を負んぶして、移動してね。」


 「うん。テラ、負んぶ、素早く移動。」


 「ありがとう。」


 私は、スピアのふわふわの尻尾で、背中に押し上げられた。さあ、素早く移動だ。


 私達は、まず、密入国者を探すために、地下牢を探した。スキル探索で、リザードマンを探した。


 すると、ある建物の地下に7人のリザードマンが閉じ込められていた。レベルは、35とそれほど高くはないが、ソーロン帝国の普通の兵士としての最低レベルは越していた。


 「スピア、あの建物の地下2階に行ってね。」


 「うん。行く。」


 地下2階の牢屋の中には、小さな空間に7人の大きな男が閉じ込められていた。座る場所もなく、立ちっぱなしの様だ。


 この地下牢には、他に捕らわれている者はいなかった。牢屋の監視をする兵士も見当たらない。


 「いつまで、ここに閉じもめておく気だ。」


 牢屋から、声が聞こえて来た。


 「すぐに、出れるさ。」


 「お前は、のんきだな。これで、もう、3日目だぞ。水だけで、食事もなしで、そろそろ、限界だ。」


 「確かにな。俺も、限界だよ。こんなことなら、船に潜りこまなければ良かった。」


 「あのまま、アストーリア大陸にいても、今と大して、変わらないぞ。」


 「いや、いや、温かいだけ、ここの方がましだ。あそこでは、凍えて死んでしまう。」


 「そうだな。周りを氷で囲まれた大陸だ。凍えない方がおかしいぜ。」


 「噂では、傭兵として、働けると聞いていたが、この国には、仲間はいないようだ。」


 「本当だな。仲間の気配すら感じないな。」


 「多少、離れていても、俺たちは、仲間の気配を感じとることが出来るのに。」


 「本当に、先に行った仲間は、この国に居るのか?」


 「アストーリア大陸からは、この国以外には、船は出ていない。だから、この国に居るはずだ。」


 「でも、気配を感じないのは、何故だ。」


 「それは、俺にもわからん。」


 私達は、隠密魔法を切って、姿を消した。


 「ねえ。傭兵でないとだめ?」


 「誰だ、兵居では、ないな。」


 「私達は、違うよ。」


 「それじゃ、何用だ。」


 「だから、傭兵でないとだめ?って聞いているよ。聞こえてる?」


 「聞こえてるさ。それじゃ、お前が、俺たちを食わせてくれるのか?」


 私は、アイテムボックスから、温かい食べ物を出して、男たちに食べさせた。


 「ありがたい。生き返ったようだ。」


 「「助かった。」」


 彼らは、口々に感謝の言葉を言った。

 

 「もっと、食べる?」


 「貰ってもいいのか。」


 「どんどん、食べてよ。私、あなた達を食わせてあげるわ。」


 先ほどの倍ほどの量の食べ物を出して、あげた。


 「ありがとう。これで、落ち着いて話ができる。先ほどの話は、本当か?」


 「どれの事?」

 

 「だから、傭兵でなくても良いかという話だ。」


 「本当に、聞いたよ。私の所で、働く?」


 「良いのか。俺たちが、何が出来るか、お前は、知っているのか?」


 「当然、知らないよ。初めて、会ったのだから。」


 「それでも、いいのか。」


 「いいよ。私は、話を聞けるだけで、十分よ。」


 「どんな、話だ。」


 「まあ、こんなところで話さなくてもいいんじゃない?」


 「本当だな。出してくれるのか。」


 「スピア、この鍵を壊して。」


 「うん。壊す。」


 私達は、転移魔法で、ヤガータ国の森の近くのダンジョンに移動した。


 「それじゃ、ここで、話をする?」


 「俺が、こいつらのリーダーのシロッコスだ。」


 「私は、テラ、こっちが私の相棒のスピアよ。よろしくね。」


 「それじゃ、俺たちが何をしたらいいか、教えてれ。」


 「私が教えて欲しいの。アストーリア大陸のことを、何でもいいから。」


 「よし、分かった。何でも、教える。だから、話が終わっても、俺たちが食べていける様にしてくれ。」


 「そうでね。ところで、シロッコスは、傭兵がしたいの?」


 「そんなことは、ない。でも、傭兵でも構わない。食べていけるならな。」


 「傭兵になって、どれぐらい、稼げるの?」


 「俺の聞いた話では、月に金貨20枚ということだ。それと、住むところと食事が与えられると聞いていた。」


 「そうか、その金貨は、どうするつもりだったの?」


 「ある程度貯まったら、家族を呼び寄せるつもりだった。」


 「そうか、家族がいるのか。」


 「俺たちは、大家族だ。皆一緒に暮らすのが普通だ。だから、出来るだけ早く。家族と暮らしたい。その為なら、何でもやるよ。」


 「先に来ている仲間のことを言っていたけど。何人ぐらい、来ているの?」


 「かれこれ、3年になるから、1000人は、居るだろう。でも、誰からも、音信がないんだ。」


 「とこれで、あなた達は、密航者だよね。」


 「違うぞ。俺たちは、船で働きながら、ここまで、やって来たんだ。密航なんて、やっていない。」


 「それなら、どうして、地下牢に入っていたの。」


 「あそこが、牢屋とは、思っていなかった。傭兵になるために、ここで、待っておけと言われただけだ。」


 「でも、鍵が掛かっていたよ。」


 「だから、中に入ったら、いきなり、鍵を閉められたんだ。」


 「そうか。騙されたんだね。」


 「そうだな。騙されたな。だが、古郷では、死ぬだけだったから、騙されても、ここに来れただけで、良かったよ。」


 「そうか、ここで、私の指示に従ってくれたら、1月に金貨50枚と、食事付きの宿を無料で提供するよ。」


 「本当か、俺たちは、テラの指示に従う。何でも言ってくれ。」


 「それじゃ、少し待ってね。」


 私は、今いる所に、小さな小屋を作った。その地下に大きな空間を作って、その空間の中に、住宅を1000個と円形闘技場を作った。


 「それじゃ、シロッコス、この地下に住居があるよ。あなたが、どのように使うかを手配してね。」


 「ありがとう。俺たちは、テラに従うよ。」


 「それじゃ、今から、あなた達は、テラの一員よ。しっかり、仕事をしてね。」


 「でも、まだ、何も聞いていないよ。どんな、仕事だ?」


 「これから、考えるから、取り敢えず、部屋を見てね。必要な物は行ってくれる。それから、シロッコスは、料理できる?」


 「できるよ。どうしてだ?」


 「暫くは、自炊してね。食材は、このアイテムボックスに入ってるから。」


 私は、アイテムボックスを1個、シロッコスに渡して、使い方を説明した。


 「それじゃ、また、来るね。」


 「分かった。ありがとう、テラ。」


 「シロッコス、バイバイ。」


 私は、シロッコス達と別れて、これからの事を考えながら、スピアの背中で寝てしまった。ふかふかだ。

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