66.小さな国の大きな野望
私は、14個もの上級ダンジョンの出入口をすべて、土魔法で封鎖していった。それぞれのダンジョンの近くに転移魔法用の魔法陣を作り、闇魔法で、隠しておいた。
次に、荒れた土地を土魔法で、更地に変えていくことにした。まず、崩れてしまった家屋の残骸を取り除いた。主に、木々だった。それから、大きな石などを取り除き、最後に、土地の表面を平らにならしていった。これで、更地になった。
私は、ガーベラに相談して、街を整備しようとした。
「ガーベラ、この国の都市を開発し直そうと思っているの。」
「どのように、開発するのですか?」
「そうね。なぜか、この国は、悪い事ばかり起こります。地震に、魔物に、大雨。
一度にすべてをよくすることは出来ないけど、少しずつ、改良したいと思っているの。
取り敢えず、上級ダンジョンから魔物が出て来ないようにしておいたよ。
それから、地震で荒れてしまった土地を整備しておいたよ。」
「すみません。もうすでに動いていたのですね。」
「今、老人と子供が約2万人いると言っていたね。」
「はい、大体、それぐらいだと思います。」
「その人達に、住む場所と、仕事を提供しようと思っています。」
「そんなこと、出来るのですか?」
「何とか、なると思うよ。ただ、子供には、仕事より、文字を読んだり、書いたり、それから、計算も出来る様になって欲しいな。」
「そうね。読み・書き・算数は大切ですね。」
「そのための学校みたいなものを作りたいの。でも、取り敢えずは、生活費を確保する所からね。金貨を配ってもいいけど、そんなものは、いつまでも、続けていけないから、自分で生活費を稼げるように環境を整えておきたいね。」
「仕事と言っても、老人も、子供も、危険な事はさせることが出来ない。
そこで、薬草の農場を作って、栽培と採取を担当して貰おうと思っているの。」
「私は、何をすればいいですか?」
「そうですね。国民を管理できるものを作ってほしいな。」
「どうすれば、いいのですか?」
「そうですね。まず、冒険者IDのようなものを国民につくりたいですね。
それで、国民であることを証明します。」
「わかりました。それでは、私は、必要な書類を作ってきます。」
「私は、国民が、当面無料で、住むところを作ってきますね。お互い、終わりましたら、王宮に戻るということで、いいですか?」
「はい、結構です。」
私は、ガーベラと別れて、住む所を作りに行った。3~5人が一つの部屋に住むと考えて、6000個の部屋を作ることにした。
1階に20部屋で、5階建ての建物を基本にすることにした。1棟100個の部屋になる建物を60個建てることにした。
一度には無理なので、取り敢えず、10棟だけ創った。これで、1000個の部屋が出来上がった。
王宮に戻った私は、ガーベラに会いに部屋に向かった。
「ガーベラ、取り敢えず、1000個の部屋を作ったよ。少しずつ、入居してもらおう。
当面1年は、賃料は取らずに、住んでもらおう。」
「はい、それでは、部下と共に、案内していきますね。」
「よろしく頼みます。私は、薬草の農場を作りに行きます。」
「はい、わかりました。」
私は、上級ダンジョンの一つに併設するように、地下農場を作った。地下5階で、各階に薬草畑を作っていった。
この農場は、上級ダンジョンの魔力を取り込んで、薬草を育てるが、ダンジョンの中ではないので、魔物も出ず、安全に薬草を採取できる。
薬草は育つのに、暫く、時間が掛かるが、何とかなるだろう。薬草の買い取り価格は、10本1束として、10束で、銀貨50枚を考えている。
それから、各ダンジョンを第5階層で、繋いでいくことを考えた。何故、ダンジョンから、魔物が溢れ出てくるのか、分からないが、魔力が多くなりすぎることが原因だと思ったからだ。
こうしておいたら、一カ所に魔力を集めて、回収する方法を考えれば、いいと思った。
今日は、十分に働いたので、少し、のんびりすることにした。
「そうだ、久しぶりにスピアに連絡しよう。」
私は思念伝達で、スピアに連絡を取った。
「スピア、テラだよ。元気にしてた?」
「うん。元気。テラは。」
「私も、元気だよ。今は、ヤガータ国に居るよ。」
「スピア、行ったことない。」
「そうか、落ち着いたら、おいで。」
「まだ、仲間少ない。もっと、探す。」
「スピア、今は何人になったの。」
「今で、25人だよ。」
「そうか、100人は、欲しいけど、一度、戻っておいでよ。」
「テラ、いいの?戻って。」
「いいよ。スピアが居ないと寂しいから。」
「うん。すぐ戻る。」
スピアが、仲間と共に戻って来た。私は、冒険者ギルドの近くに宿泊できる場所を作って、住めるようにした。そこに、スピアの仲間に滞在してもらうことにした。
そして、宿泊場所に併設して、食堂を作った。そこで、スピアの仲間に食事をして貰った。
「お帰り。ご苦労様。」
「テラ、好き。」
「私も、スピアが好きだよ。今日は、一緒に寝ようね。」
「うん。一緒、寝る。」
少し早いが、私は、スピアと一緒に寝ることにした。久しぶりのもふもふだ。