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48.ドワーフの村

 私は、思念伝達を使って、サルビアに連絡を取った。


 「サルビア、どう、元気?」


 「寂しい、まだ、帰って来ないのですか?」


 「もう少しだね。こちらで、取り敢えず、店舗を確保したよ。転移魔法用の魔法陣を描いておいたから、サルビアもいつでも来れるよ。」


 「えっ、行ってもいいんですか。」


 「一つ、条件があるよ。」


 「それは、何ですか?」


 「それより、従業員は雇えた?」


 「はい、一人雇いました。シルバという、女の子です。もう、仕事も覚えて貰えて、一人で、店を開店させています。」


 「そうか、それならいいよ。誰かに、その店が任せることが出来ることが、条件だったの。

 ただ、一つだけ、守って欲しい事があるの。」


 「それは、何ですか?」


 「危険な場所には、付いて行くと言わないこと。」


 「はい、言いません。」


 「本当ね。」


 「はい、言いません。」


 「それなら、来てもいいよ。」


 今、書いたばかりの魔法陣から、サルビアが現れた。


 「テラ、寂しかった。」


 サルビアは、私に抱き付いてきた。少し、泣き顔になっている。


 私は、少し背伸びをして、サルビアの頭を撫でてあげた。暫くは、このままで、いてあげよう。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 

 

 私達は、リーベンの街の見学することにした。その中に小さな鍛冶屋があった。他の店と違い、何やら古めかしいく、興味を引いたので、中に入ることにした。


 店の中は一見、他の店との違いが感じられなかったが、唯一、違ったのは、店主だった。なんと、ドワーフだ。私は、久しぶりに、少し、感激した。私と同じぐらいの身長だから、親近感がある。


 「こんにちは。ちょっと、見せて貰ってもいい?」


 「子供が何の用だ。うん、大人も一緒か、申し訳ない。でも、親子に見えぬな。」


 「親子じゃないもの、私の従魔だよ。」


 「大人を揶揄うものじゃないよ。」


 「あ主のような、子供が従魔を持てるはずがない。その猫耳は、監督者かな?」


 「スピアという言い名があるのよ。」


 「これは、すまぬ。スピアどの、許してくれ。」


 「うん、許すよ。」


 「ありがとう。して、何用じゃ。」


 「だーかーらー、商品を見せて貰えないかって。」


 「だーかーらー、子供が見て、どうする気だ。」


 「もう、子供と言わないでよ。傷つくから。」


 「何、お主、その身体で、俺と同じ、大人だというのか?」


 「うーん、大人ではないよ。でも、子供と言わないで。テラという名があるの。」


 「そうか、テラか、それで、横にいる可愛い子は、名を何というのじゃ。」


 「私は、サルビアです。テラも可愛いです。」


 「こりゃ、参った。」


 「久しぶりに、笑ったわ。」


 「何、勝手に笑っているのよ。」


 「まあ、まあ、怒らずに、好きに見てくれ。」


 「はい、勝手に見ますとも。」


 私達は、剣や盾を見て回った。鎧なども置いてあった。どれも、貴重なオリハルコンを使っていた。一部の武器には、魔石を使った魔道具もあった。


 「すごいね。オジサンの武器、防具、どれも、一級品ね。」


 「お主、見る目はあるようじゃの。どれか、気に入ったものはあるか?」


 「私、魔法が得意なの。それで、お薦めは、どれ?」


 「ほう、魔法が使えるとな。どれ、確かめさせてくれんか。」


 「いいよ。何をするの?」


 「火魔法は、使えるか?」


 「もちろん、私、これでも、大魔法使いだよ。」


 「自分で言うやつに碌な奴はいないぞ。」


 「でも、本当だよ。」


 「まあ、よい。この金属の棒を熱して、溶かしてくれるかな。溶けた金属は、その臺の中に入れてくれればいい。」


 「あいよ、オジサン。行くよ。」


 私は、火魔法で、金属を溶かして、臺の中に入れた。この金属は、溶けるときに赤く燃え上がらずに、青白い炎を出して、溶けた。


 「おぉ、流石じゃな。大魔法使いというだけの事はある。見事だ。」


 「どうよ。大したものでしょ。もっと、褒めていいよ。」


 「普通の者は、数時間を掛けて、溶かすものじゃ。それが、一瞬で溶かすとは、尋常の魔力量では、ないな。」


 「オジサン、よく見抜いたね。我こそ、賢者テラ様であるぞ。」


 「おいおい、調子に乗る出ない。だが、本当に大したものだ。」


 「それより、その金属、オリハルコンよね。」


 「ほぉ、知っておったか。」


 「うん、知っているけど、そんなに大きな塊を見るのは初めて。」


 「こんな、小さな店で、どうして、そんな貴重な物を扱えるの?」


 「実はな、ワシはドワーフなんじゃ。」


 「その髭で、誰でも分かるよ。」


 「ほぉ、ドワーフも知っているとは、物知りじゃの。それじゃ、この近くにドワーフの村があることは、知っているか?」


 「えぇ、ドワーフの村があるの。それ、どこ?」


 「教えてやっても、いいが、一つ頼まれてくれないかな。」


 「何、私にできること?」


 「そこのスピアなら、大丈夫だろう。だから、頼むのじゃ。」


 「なーんだ、私じゃないのか。まあ、私の従魔だから、一緒だけどね。」


 「まだ、言うか。まあ、いいか。頼まれてくれるなら。」


 「いいよ。オジサン。」


 「わしは、サンドールというんじゃ、オジサンじゃないぞ。何なら、お兄さんでもいいがな。」


 「それで、サンドール、何をするの?」


 「この先に、頂上に雪が積もって白くなっている山がある。その山の頂上付近に、ドワーフの村があるのだが、途中の森に魔物の群れが住み始めて、この街との行き来が出来なく、なっているのじゃ。」


 「ここの冒険者ギルドに頼めば?」


 「この街は、すべて、軍人が指揮ッておる。わしは、軍人が嫌いじゃ。だから、頼めん。」


 「そうなの。だったら、引き受けるよ。ドワーフの村の場所を聞いてしまったしね。」


 「おっ、わしとしたことが、交渉になっていなかったな。」


 「任せとけって、このテラ様に。」


 「だから、テラじゃなくて、スピアに頼んだんじゃ。」


 「安心して、マッテな。」

 

 私達は、言われたように、山の頂上には雪が積もっており、白く見える山を目指した。

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