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45.ソーロン帝国の見学

 商業ギルドのセーロンから、ベルーナ大佐の紹介状が届いたと連絡があった。


 私達は、紹介状を受け取って、すぐに、転移魔法で、ソーロン帝国の国境付近にやって来た。


 「すみません。お願いします。」


 「何用だ。」


 私は、ベルーナ大佐の紹介状を見せた。


 「よろしい、通りなさい。」


 今回は、あっさりと、通して貰えた。


 「さあ、リーベンに行くよ。」


 「うん。行こう。」


 私達は、リーベンの街に向かった。ベルーナ大佐は、リーベンの中にある基地で勤務している。


 国境から、リーベンの街までは、森の中を通り、少し険しい山を抜けて行かないといけない。


 特に、途中で、魔物が出るわけではないが、普通は、警備用の冒険者を雇って、大人数で街まで行くようだ。


 国境で、乗合馬車を待たずに、出発しようとした時、後ろから、声を掛けられた。


 「そこの人、2人だけでは、この先は危険ですよ。盗賊が頻繁に出るので、馬車に乗って行きなさい。」


 「馬車に乗って行きなさい。」


 「あれ、何か、言ってるね。盗賊だって。どうしようかな?」


 「うん。どうしよう。」


 「不審がられても、困るし。馬車に乗ろうか?」


 「うん。テラ、馬車に乗ろう。」


 私達は、馬車に乗っている人の忠告に従って、馬車に乗る事にした。


 「すみません。この馬車は、リーベンまで行きますか?」


 「はい、リーベン行です。お乗りになりますか?」


 「はい、乗ります。」


 「料金は、先払いです。1人金貨10枚です。」


 私は、料金をアイテムボックスから、金貨を出して渡した。ここで、商業IDを見せない方が良さそうだ。なんだか、不吉の気がした。


 「はい、金貨20枚ですね。どうぞ、好きな席に座ってください。まもなく、出発します。」


 私達は、一番奥の狭苦しそうな席に座った。

 

 「お若いの、リーベンで、何をするのかね。」

 

 「どうして、聞くのですか?」

 

 「いや、あの街には、めったに観光客が行かないから。」


 「私達は、基地の見学です。」


 「ほぉ、基地に行くのか。将来は、軍人かな?」


 「いいえ、考えていません。」


 「そうか、まだまだ、先の話だからな。」


 「ところで、あなたは、何をしに行くのですか?」


 「私か、私は、あの街で店を開いて、商売をしながら暮らしているんだ。

 今回は、仕入れのために、出国していたんだ。漸く、帰れる。」


 「こちらの2人は、私の付き人で、荷物を運んで貰っている。」


 「そうですか。商売は、繁盛していますか?」


 「まあ、少しは、儲けているが、食べていける程度だな。」


 馬車には、私達2人、商人と付き人2人、若い冒険者風の3人、軍人2人が乗っていた。


 「それでは、出発します。少し、揺れますが、ご勘弁ください。」


 「おぉ、やっと、出発か。結構待たされたな。」


 「何か、荷物を積んでいましたよ。そこの軍人の物ですね。」


 「そうかね。普通は、軍関係の馬車を出すはずだが、何故、民間の馬車を使うのかなぁ。」


 商人の老人が付き人と話をしていた。その他の客は、黙ったままだ。冒険者風の3人は、パーティーと思っていたのだが、全く話をしていない。それどころか、お互いを見ることもない。


 「これから、森の中に入ります。窓から、外を覗かないでください。動物が入ってくることがあります。注意して下さい。」


 御者が、声を掛けてくる。馬車には、御者が2人乗っており、途中で、交代するのだろう。それと、馬に乗った警備用の冒険者が5人、馬車を取り囲んでいた。


 森の中で、馬車は、急に止まった。外で、警備用の冒険者たちが、騒いでいる。


 「盗賊団だ。結構な人数だ。」


 私は、スキル探索で、周りの状況を調べてみた。


 私達の馬車関係の人以外に、馬車を取り囲んで、23人が、攻撃態勢に入っていた。


 ほとんどが、レベル20程度の弱い人だ。ただ、5人だけ、飛びぬけて高レベルの人がいた。


 1人がレベル50で、残りは、レベル45だ。魔法も使えるようだが、軍人ではない。だが、冒険者でも、盗賊でもなさそうだ。


 まあ、問題なさそうなので、それ以上は調べなかった。でも、こちらの警備用の冒険者達は、相手の数の多さに圧倒されたようだ。5人とも、逃げてしまった。


 「あれれ、警備の冒険者が逃げていくよ。」


 「本当だ、もう、荷物は諦めないとだめだなぁ。」


 「何言ってんだ。命もないよ。」


 不思議な事に、軍人2人も、若い冒険者風の3人も、先ほどと変わらず、黙って座っていた。


 「助けてくれ!すべて、あげるから。」


 御者が、命乞いをしている。


 警備用の冒険者達が逃げたので、安心したように、盗賊たちは、馬車を取り囲んで範囲網を縮めた。


 「馬車に乗っている者は、荷物を置いて、出てこい。」


 盗賊の一人が叫んでいる。御者2人は、既に、馬車を下りている。


 商人達3人もすぐに下りて行った。続いて、軍人2人が下りた。若い冒険者風の3人は、依然として、座ったままだ。私達も、様子を見ることにした。


 「おい、そこの若いやつ、早く降りてこい。」


 痺れを切らした盗賊の2人が馬車に乗り込んで、無理やり降ろそうとした。


 私達は、動かずに、様子見をしていた。これから、どうなるのか?

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