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44.新商品の開発

 私達は、支店で、遠隔通話器(テレ・ボイス)の改良に取り組んだ。

 

 といっても、もうすでに、構想は、完成している。遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタの魔法陣の機能を一部なくすだけだ。つまり、映像の部分をカットして、音声だけにすればいいだけだ。


 魔法陣に新たな機能を付けるのは大変だが、機能を減らすことは、簡単だ、魔法陣の線を消すだけで済む。


 ただ、1本線を消すだけで、目的は達成できるが、それでは、無駄な線が多く残ってしまう。不要な線をすべて消して、シンプルな魔法陣を作り上げた。


 「あとは、同じ様に動作するかを確認するだけだ。それは、セーロンに任せよう。」


 私達は、完成した新商品を持って、セーロンのいる商業ギルドに向かった。


 「セーロン、今、時間ある?」


 「はい、テラ様、大丈夫ですよ。」


 「これを見てくれる。」


 「もう、出来たのですか。早いですね。それでは、確認します。」


 セーロンは、検査用のトレーに私が持って来た品物を入れた。


 「はい、大丈夫です。機能面では合格です。ただ、納品して貰うには、形状を整えて貰いたいのですが、よろしいでしょうか。」


 セーロンは、一旦、部屋を出て、通常の商品を持って、戻って来た。


 「こちらが、私どものギルドで扱っている物です。これと、同じ形状にして貰いたいのです。

 出来ますでしょうか。」


 「問題ないです。ちょっと、待ってください。」


 私は、その場で、持って来た品の形状をセーロンが持って来た商品と同じに土魔法で加工した。


 「はい、これで、一緒ですね。」


 「あぁ、テラ様、その商品は!」


 「どうしたの、セーロン。言葉になっていないよ。」


 「テラ様、商人ですよね。」


 「そうだよ。今更、何を言っているの。」


 「でも、魔法を使いました。今、商品を加工しましたね。」


 「それが、どうしたの。」


 「普通の商人は、魔法を使えません。品物を仕入れて、売るだけですよ。

 先日の特許も、誰か、鍛冶屋から買い取った物かと思っていました。」


 「そうなの。言わなかったからね。内緒よ。」


 「はい、誰にもいいません。言えば、大変なことになります。テラ様の取り合いになりますよ。それも、国通しの。」


 「セーロンは、大げさね。」


 「いえ、本心で行っています。本当に、誰にも知られないようにして下さい。」


 「そうなの。でも、もうダメかも、うっかり、使っていたかも。」


 「でも、今みたいに、商品を目の前で創ることはないのでは?」


 「そうね、ゼロではないけど、多分、内緒にして貰えると思うわ。」


 「できれば、確認しておいてください。秘密だと。」


 「はい、分かったわ。」


 それから、セーロンは、私が加工した商品をもう一度、トレーに入れて、確認をしていた。


 「はい、大丈夫です。買い上げできます。」


 「これをどれぐらい納品したらいいかしら。」


 「というと、大量に作るつもりですか?先日のアイテムボックスのように。」


 「売れる分だけ、作るつもりよ。」


 「ちょっと、ギルド長と相談します。テラ様の話では、買取価格を下げることが可能ですね。」


 「そうね。今は、金貨1万枚って、言っていたかな?」


 「そうですね。現在は、その価格です。」


 「それなら、1個金貨5000枚でいいよ。」


 「えぇ、半額ですか。それで、材料費は、大丈夫ですか?」


 「それは、大丈夫だけどね。もう少し、改良してもいい?」


 「えぇ、いいですよ。時間は気にしなくていいです。」


 「そんなに掛からないわ。」


 私は、アイテムボックスから、少し大きめの魔石を取り出して、今埋め込んでいる魔石と交換した。


 「はい、出来上がり。もう一度、調べてみてくれる。」


 「はい、トレーに入れて、えぇ、これは、何をしたんですか?」


 「ちょこっと、高級にしたのよ。」

 

 「これなら、月1回のメンテがいりません。数年持ちます。」


 「どう、これなら。もう少し高くても売れそうよ。」


 「これなら、安くする必要ありません。通常価格で、この機能なら、独占できますよ。」


 「そうね。そういうことで、ギルド長と相談してもらえる。」


 「はい、早速行ってきます。」


 その後、セーロンは、ギルド長と相談して、月100個で買い取ることに決まった。


 その後は、売れ行きを見ながら、考えることになった。この商品もギルド経由なので、5%の手数料が、取られる。


 そのため、ギルド長は、すごい、乗り気だ。多分、、ボーナスが貰えるのだろう。セーロンは、貰えるのかな?今度、聞いてみよう。


 私は、思念伝達で、現状をサルビアに伝えた。これから、いよいよ、帝国に行く。


 当初の目的だが、どのような危険があるか、分からない。本当に、上級ダンジョンより恐ろしい。


 「サルビア、元気にしていた?」


 「はい、元気ですが、寂しいです。早く、戻ってきてください。」


 「そうね。何か、いい方法を考えるわ。」


 「早く、考えてくださいよ。」


 「そうだ、一つお願いしてもいい?」


 「何ですか?」


 「サルビアは、まだ、商業IDを持っていなかったね。」


 「はい、冒険者IDしか、持っていません。」


 「商業ギルドのリンダに会って、商業IDを作っておいてくれる。」


 「はい、わかりました。今日、言っておきます。」


 「それから、その店を管理できる、従業員を一人、雇っておいてくれるかな。給料等は、リンダに任せていいわ。」


 「はい、わかりました。早速、手配しておきます。」


 「それじゃ、またね。」


 「はい、早く一緒にいたいです。」


 私は、思念伝達を切った。サルビアに早く会いたいなぁ。でも、暫くは、我慢だ。

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