41.商品特許
朝に、思念伝達で、サルビアに起こされた。
「テラ、やっと、200個完成したよ。今から、送るね。」
「まさか、サルビア、徹夜したの?」
「うん、頑張ったよ。」
「無理しちゃ、だめって言ったのに。」
「ごめんさい。でも、テラの役に立ちたかったの。今から送るね。」
「ありがとう、送ったら、すぐに寝るのよ。わかったね。」
「はい、分かったわ。」
サルビアから、商品200個が送られてきた。これで、700個完成した。
残りの300個を急いで作っていった。魔石を組み込むだけなので、そんなに時間は掛からなかった。2時間で、すべて、完成した。
帝国との約束の日まで、まだ、2日も残っている。
今日は、支店の開店準備をした。無人販売用の機械を4台配置して、商品を入れて、金額を設定して、準備は完了した。
次に、私達は、商業ギルドに向かった。
「こんにちは。セーロン。」
「はい、テラ様。まだ、早いですよ。」
「今日は、別の話なの。いいかな?」
「もちろんですよ。どのような用件でしょう。」
「実は、特許のことで聞きたいの?」
「特許ですか。それの、何を知りたいのですか?手続きのことですか?」
「私、まだまだ、駆け出しの商人で、何も知らないの。だから、一から教えてくれる。」
「はい、わかりました。」
私は、セーロンに特許について教えて貰った。特許は、一つの街に出せば、国全体に出したことになる。その他、色々あったけど、取り敢えず、今は、関係ない。取り敢えず、商業ギルドで、扱って貰えるということが分かれば、いい。
「この手鏡なんだけとね。」
私は、事前に用意しておいた遠隔投影接続器を付けた2個の手鏡を出した。
「手鏡、特許とどのような関係があるのですか?」
「こっちの手鏡を持って、中を見ていてね。」
「テラ様、何も映りませんよ。この手鏡、変ですね。真っ暗ですよ。」
「セーロン、ちょっと、待ってよ。用意するから。」
私は、もう一つの手鏡を持って、蓋を開けた。
「おぉ、これは、テラ様が見えますよ。それに、声が2重に聞こえます。」
「手鏡に近づいて、聞いてみて。」
「おやっ、手鏡からも声が聞こえます。」
「そうよ。離れた所から、お互いを見ながら、話ができるの。」
「これは、凄いですね。今、使われている機械は、声しか伝えることが出来ません。」
「ただ、使える距離に制限があるの。5kmまでしか、使えないの。」
「それだけあれば、十分です。」
私は、今回の遠隔投影接続器に、特別な魔法陣を刻印して、利用できる距離に制限を付けておいた。本来は、魔力量の制限だけで、距離は、付随的なものだった。
「このような手鏡を見たことある?セーロン。」
「テラ様、ございません。初めてで御座います。」
「これで、特許を取りたいの。取れるかしら。」
「もちろん、大丈夫です。でも、どのような形式で取るか、考えないと、後々、問題が出てくると思われます。」
「どういうことなの。」
「この手鏡に着いている装置で特許をとるのか、手鏡ごとで取るかです。」
「何か、違うに?」
「全く違います。装置で取れば、鏡の大きさは、自由に変更できます。
しかし、手鏡ごとで取れば、鏡の大きさを変えることは出来ません。」
「そうすると、別の大きさの鏡を使うと、そのたびに特許をとる必要があるの?」
「いえ、そういうことではないのです。他の人が、鏡の大きさを変更できないという意味です。」
「テラ様が、異なる鏡の物を作って、売ることは可能です。新たな特許は不要です。
でも、装置の部分だけで、特許を取ると、当然、鏡の部分は、自由に変更されてしまいます。
これは、大きな違いです。」
「よく、分からない。もう、セーロンに任せるわ。」
「分かりました。それでは、一緒にお越しください。」
「ここではダメなの?」
「はい、特許に関することは、国全体に影響を及ぼすことなので、商業ギルド長が行う必要があります。」
「分かったわ。セーロン。付いて行くわ。」
私は、セーロンに連れられて、商業ギルド長の部屋に行った。それは、商業ギルドの2階にあった。
「失礼します。ギルド長、特許に関する手続きに来ました。」
「おぉ、特許とな。久しぶりに、扱うよ。」
「こちらは、テラ様です。今回、特許の申請に来られました。」
「テラと言います。よろしくお願いします。」
「何と、このような幼子が、特許とな。」
「はい、それも、凄いものです。」
セーロンは、私に代わって、遠隔投影接続器の説明を始めた。商業ギルド長は、細かなことを尋ねて、すべてを理解しようとしていた。
理解し終わると、書類を作り上げた。
「分かりました。これは、特許に値します。」
「それでは、テラ様、装置を持って、こちらに来て下さい。」
「はい。」
「書類の端を持ってください。」
「はい。」
私は、サイン済みの書類の端を装置に触れた状態で持った。商業ギルド長も同じ様にした。そして、何やら、唱えた。
「これで、完了です。これは、特許の控えです。お持ちください。」
「分かりました。ところで、特許の登録料金は、いくらでしょうか?」
「それは、要りません。あっ、説明していませんでしたか?」
「何をですか?」
「特許を取られた商品が特許を取った人から売られたら、3%の手数料が、登録した商業ギルドに入るのです。だから、登録料として、頂くことはありません。」
「あぁ、聞いたような、気がします。」
「もし、御納得されていないなら、取り消しをしますが、いかがしましょうか。」
「はい、大丈夫です。このままで、いいです。」
「この手鏡を商業ギルドで販売することは、可能でしょうか?」
「はい、可能です。でも、その時は、先ほどの料金とは別に手数料が、5%掛かりますが、よろしいか?」
「それは、いいのですが、一つ条件を付けてもいいですか?」
「それは、どのような事でしょうか。」
「私の名前を伏せておいて欲しいのです。」
「あー、そのようなことですか。全く問題ありません。こちらも、お客様にそのように、進めています。特許主様が、狙われるkとがあるのです。特許主様が、お亡くなりになられると、一時的に特許が停止します。そうすると、特許を相続した人も販売が出来なくなります。その期間を利用して、詐欺が起こったりします。」
「よく分からないですが、よろしくお願いします。」
「はい、わかりました。それでは、販売に関する書類を作ります。それから、月当たりの販売個数を決めておいて下さい。」
「1個当たり、どれぐらいの金額が妥当でしょうか?」
「音声だけのものが、金貨1万枚で取引されています。ただし、これは、片方だけの金額です。それに、利用する場合、取次所に利用者が登録しないといけません。それには、初期費用として、金貨1000枚、月々の費用として、金貨1000枚が必要です。
ですから、今回のこの手鏡のセットは、最低でも、金貨10万枚は、設定しても良いでしょう。」
「そうですか。金額については、セーロンに一任します。月当たりの販売個数は、最初は、10セットでお願いします。来月以降については、また、相談します。」
すべて、完了したので、私達は、商業ギルドを出ることにした。
「セーロン、後はお願いします。」
「テラ様、私に一任していただいて、ありがとうございました。
誠心誠意、仕事をさせていただきます。」
「よろしくお願いします。それでは、失礼します。」
私達は、支店に戻って、寝ることにした。今日も、スピアに添い寝をしてもらう。