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33.サルビアの希望

 「リンダ、朝だよ。」


 私は、リンダの柔らかそうな猫耳を揉んでみた。思っていた以上に気持ち良かった。


 「リンダ、起きて。」


 今度は、肩を揺すりながら、声を掛けた。


 「もう、朝?すっかり、寝てしまったわ。仕事に行く用意をしないと。バスルームを借りるよ。」


 「どうぞ、好きに使ったね。」


 「ありがとう。昨日は、御馳走になりました。とても、気持ちよかった。」


 「それは、良かった。」


 リンダは、支度をして、早々と出て行った。


 私達は、のんびりと機能の後片付けをしていった。今日は、ここで、朝ご飯を創って、食べるぞ。


 「あぁ、しまった。家具や器具は買ったけど、朝ご飯の材料を買うのを忘れてしまった。」


 私は、がっくりしてしまった。


 「いいよ。テラ。昨日の残りがあるから、それでも食べよう。」


 「サルビアは、それでいいの?」


 「いいよ。テラと一緒に食べたら、何を食べてもおいしいよ。」

 

 「うん。美味しい。」


 「そうか、ありがとう。それじゃ、一緒にたべようね。」


 私は、いつものように、食べている振りをした。


 「それじゃ、仕事だね。」


 私は、サルビアに、朝のルーチンワークを教えながら、開店の準備をした。


 「サルビアは、これから、どうする。どんな事がしたい?」


 「まだ、決めてないけど、誰かの役に立ちたいな。テラみたいに。」


 「私みたいに冒険者になる?」


 「この間、ダンジョンに潜って、やっぱり、私には、向いていないように感じたわ。」


 「そうか、残念だけど、仕方ないね。」


 「ごめんなさい。でも、戦いは、だめね。」


 「いいよ。サルビアは、嫌なものを無理にすることないよ。」


 「いいの、それで。」


 「いいよ、一緒に居たいだけだから。」


 「それじゃ、私みたいになりたいって、何をするの?」


 「テラみたいに、誰かの病気を治したいの。」


 「そうか、医者になりたいのか。」


 「はい、出来たら、医者になりたい。でも、どうしたらなれるのか分からない。」


 「私も、分からないよ。

 まあ、誰かに聞けばいいよ。慌てることはないから。

 ところで、サルビアの病気って、よくあるの?」


 「そうね、よく聞くね。でも、治ったって、話は、あまり聞かない。」


 「ふーん、なぜかなぁ?」


 「テラが言っていた病名って、初めて聞いたよ。」


 「そうなの。誰も病名を言わないの。」


 「他の病気の時は、病名を言っているよ。でも、私の病気は、原因不明の難病というだけよ。」


 「そうなんだ。」


 「だから、テラの治療は、画期的な物よ。他の誰も今出来ないよ。」


 「そうか、私は、特別なんだね。」


 「そうみたい。」


 「それじゃ、サルビアは、私から、治し方を勉強する?」


 「いいの、教えて貰って。」


 「サルビアは、遠慮したらだめだよ。欲しい物は、欲しいって言ってよ。私は、何でもあげるよ。」


 「嬉しい。教えて。」


 「だれか、患者を探して、直しながら教えるのがいいな。」


 「そうだね。その方が、治せるって、自信にもなるね。」


 「サルビアは、その病気になっている人を誰か知らない?」


 「何人か、知っているよ。でも、皆貴族だよ。」


 「そうか、貴族なのか。ひょとすると、貴族特有の病気かも知れないね。」


 「テラ、何故、そう思うの。」


 「あの病気は、魔力を持っている者だけが罹る病気なんだ。だから、普通の人は、掛からないと思うよ。」


 「魔力がないと掛からないなら、貴族だけが罹るね。」


 「貴族エリアにこっそり行こうか。」

 

 「そんなこと、出来るの。」


 「できるよ。いつもやっていただろ。消えてしまう魔法を。」


 「本当だ、忘れていた。スピアが急に現れた時は、本当にびっくりしたわ。」


 「サルビアにも、模倣を掛けてあげるよ。それど、貴族エリアに行けるよ。」


 私達は、隠密魔法で、消えたようにして、貴族エリアのサルビアの家の裏口に転移魔法で移動した。


 私は、思念伝達で、サルビアに話し始めた。


 「サルビア、聞こえる。」


 「はい、聞こえるよ。」


 「だめだよ。口に出して話したら。」


 「えぇ、口に出さずに話すって、どうするの。」


 「今、私の声は、耳から聞いていないでしょ。頭の中に直接響いてるでしょ。」


 「はい、頭の中で聞こえるよ。耳からでなくて。」


 「そう、これが思念伝達っていうのよ。慣れてね。」


 「はい、わかりました。」


 「そう、今、出来たいたわ。」


 「もう、大丈夫です。」


 「うまく、この思念伝達と普通の会話を切り替えて使ってね。」


 「はい、もうできると思います。」


 「それじゃ、まず、貴族エリアにはいるよ。私について来てね。」


 私達は、隠密魔法を起動したまま、貴族エリアの出入口にいる係員の前を通過した。


 貴族エリアに無事入った。貴族エリアの出入口から、離れた所で、隠密魔法を解除した。


 「さあ、まず、貴族らしい服を買いに行くわよ。スピアも分も買うよ。」


 「うん、買う。」


 「それじゃ、サルビアが服を選んでね。私では、貴族の普通の服が分からないから。」


 「いいわよ。私がテラの服も、スピアの服も選ぶわ。」


 「それでは、サルビアに任せるよ。」


 私達は、サルビアに服を選んでもらい、一見貴族のように見える様になった。


 ただ、立ち振る舞いはまだまだできないが、それは、サルビアにフォローしてもらうことにした。


 「それじゃ、患者の所にいきますか。医師サルビア。」


 「はい、いきます。医師テラ。助手スピア。」

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