32.リンダのリフォーム
私は、商業ギルドに行き、中に入っていった。
「リンダ姉、こんにちは!」
「あら、テレ、こんな時間にどうしたの?」
「ちょっと、相談したいことがあるの。」
「何?」
「今、サルビアも一緒に店で生活しているの。」
「仲良しなんだね。」
「それで、今までは、スピアと私だけだったので、店では、寝るだけで、 後は、ダンジョンに潜っていたの。」
「そうね。店も無人販売用の機械任せだったものね。
テラとスピアの生活は、ダンジョンの中みたいなものだったね。」
「そうなの。でも、サルビアは違うの。」
「そうか。サルビアは、まだまだ、冒険者として、生活できないものね。」
「そこで、リンダ姉に部屋に必要な物を教えて欲しいの。」
「いいわよ。」
「それじゃ、一緒に来て!」
「そうね。もうすぐ、昼休みになるから、少し、待っていて。」
「はい、ここで、待っている。」
私は、リンダに相談できてほっとしていた。少し、暇なので、冒険者向けの依頼ボードを見に行った。
いつも、勝手にダンジョンに潜って、魔物を狩っているだけだ、依頼を受けたことがなかった。
だから、この依頼ボードを見るのも、ほとんど、初めてだった。
『ワーウルフの駆除』『洞窟の調査』『大量のスライムの駆除』『村長の警護』『農場の雑草の駆除』『村の防衛』『盗賊団アジトへの侵入』
「色々あるね。『盗賊団アジトへの侵入』や『洞窟の調査』も面白そうだ。
でも、色々と条件が付いているみたいだ。
結構、面倒そうだな。」
「テラ、お待たせ。それでは、行きましょう。」
「はい、リンダ姉、お願いします。」
私達は、スピアとサルビアが待っている店の2階に上がって行った。
「リンダ姉、ここなんです。」
「本当に、何もないのね。殺風景だね。」
「どうしたら、いいですか?」
「テラ、料理はどうする?」
「本格的な物は必要ないですが、朝食ぐらいは、作りたいです。」
「そうね。そうそう、風呂場は、あるの?」
「こっちにあります。まだ、何も使っていない、書斎もあります。」
「この倉庫みたいな部屋は、何に使っているの?」
「そこも、何も使っていません。」
「そうか、結構部屋が余っているのね。それに、寝室が大きいね。寝ているだけでしょ。」
「はい、そうです。」
「大体、分かったわ。それじゃ、買いに行きましょ。」
「えっ、昼休み、終わってしまいますよ。」
「そんなに、掛からないわ。」
私は、リンダの後について、色んな店に入って、言われるままに商品を購入した。すべて、アイテムボックスに入れて行った。
「やれやれ、大体、買い終わったわ。
後は、配置するだけね。
でも、もう、昼休みが終わってしまうわ。
申し訳ないけど、後は、仕事が終わってからよ。」
「いいですよ。いつでも。」
「そういう訳には、いかないわ。今日、帰りに寄るからね。」
「はい、お願いします。」
私は、リンダと別れて、店に戻った。
「只今、留守番、ご苦労様。」
「特に、何もなかったよ。お客もなかったし。」
「そうか。今日、夜にリンダが来るって。」
「そうなの。迷惑かけてない?昼休み、多分潰れちゃったしね。」
「そうだね。何か、食べて貰えるように、買ってこようか。」
「うん。買う。」
「サルビアは、どうする。一緒に、買いに行く?」
「はい、行きます。店を見て回るのが、好きです。」
「なら、いいわ。行きましょう。スピアもおいで。」
3人で、色んな店を覗きながら、夕食の用意を済ませた。
3人で、店で待っていると、リンダがやって来た。
「こんばんわ。遅くなって、ごめんなさい。」
「いいえ。迷惑じゃなかった?」
「テラの頼みだから、姉としては、張り切らなくちゃね。」
「すみません。頼り切ってしまって。」
「気にしないでね。好きで、やっているんだから。それじゃ、買って来た家具から並べて行きましょう。配置する場所を言うから、置いて行ってね。」
「はい、力仕事なら、すべて、スピアに任せてください。」
私とスピアは、リンダが言うとおりに、家具を並べ、器具を出し、その他、言われた通りに作業をしていった。
「ふぅ、やっと終わったわ。これで、いいわ。」
「「ありがとう。」」
「リンダ姉、お手数をおかけしました。
夕食を買って来ているので、一緒に食べてください。お酒もありますよ。」
「えぇ、そうなの。それじゃ、遠慮なしで、頂くわ。」
「どうぞ、この部屋で、食べましょう。」
私達は、リンダとお酒を飲みながら、色んな話をした。
リンダは、他の街から、この街にやってきて働いている。出稼ぎ、みたいな感じだけど。
どちらかというと、口減らしのような感じかも分からない。
この街での生活は長くなっているけど、親密に付き合える人は、いままで、居なかったようだ。
だから、頼られて嬉しかったみたい。私のことを本当の妹みたいに感じているようだ。
詳しくは、聞けないが、本当に田舎に妹がいるのかもしれない。
リンダは、一人で暮らしているが、家族への仕送りは必要ないようだ。
また、仕送りを貰ったこともないようだ。この街に着てから、一度も連絡を取っていないようだ。
リンダとスピアは、キリがないほど、お酒を飲んでいる。そのせいで、リンダは、口が軽くなっているようだ。
私は、いつも寝ている寝室にもう一つベッドを創って、リンダが泊まれるように、準備した。
私とサルビアは、適当に席を立って、寝ることにした。
「サルビア、おいで。」
「はい。初めてね。二人だけで寝るって。」
「私は、誰かを抱いていないと寝れないの。サルビア、抱いてもいい?」
「いいよ。そっちに行くね。」
私とサルビアは、抱き合って、寝てしまった。後の事は、分からない。




