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31.サルビアの冒険者デビュー

 サルビアの冒険者としての装備・武器を揃えた私達は、初級ダンジョンに潜ることにした。


 「これで、お願いいたします。」


 私達は、初級ダンジョンの出入口にいる係員に冒険者IDを渡して確認してもらった。入場料も、冒険者IDから支払った。


 「それじゃ、行くよ。先頭はスピア、お願いね。」


 「うん、戦闘行く。」


 「次は、サルビアね。私は、最後尾で、ついて行くね。」


 「そうだ、今日は、サルビアが初めてだから、スピア、ゆっくり、行ってね。

 できれば、街中を歩いている感じでね。」


 「うん、ゆっくり、行く。」


 少し歩くと、スライムが出て来た。


 「テラ、あのブヨブヨしたものは、何?」


 私は、サルビアに闇魔法の結界で、防御力を高めておいた。


 「あれは、スライムだよ。サルビア、ちょっと、叩いてみて。」


 「えい、えい。」


 スライムが倒れ、小さな魔石が飛び出した。


 「何か、小さい石みたいなものが出て来たよ。」


 「あれは、魔石といって、冒険者ギルドに引き取って貰うと、お金が貰えるよ。」


 「へぇ、そうなんだ。魔物を倒して、お金を稼いでいるのね。」


 「そうだよ。冒険者は、魔物を倒したり、依頼を受けたりして、報奨金を貰っているよ。」


 サルビアにとっては、すべてが初めての体験で、新鮮な出来事のようだ。とても、楽しそうにしている。


 「サルビア、疲れていない。」


 「初めてだから、少し、緊張している。でも、まだ、大丈夫よ。」


 「そうだ、ここで、魔法の練習をやってみようか。」


 「いいの。私、まだ、火球(ファイア・ボール)しか、できないよ。」


 「それで、十分だよ。次、スライムが出てきたら、魔法で倒してみてね。」


 「はい、分かった。」


 少し進むと、スライムの群れにぶつかった。それと、角ウサギが飛び出した。


 「サルビア、出て来たよ。」


 「はい、火球(ファイア・ボール)、外れちゃった。」


 「構わないよ。続けて魔法を放って。」


 「はい、火球(ファイア・ボール)火球(ファイア・ボール)


 「上手だね。倒せたよ。」


 「はい、当たったね。」


 「あの動き回っている角ウサギが見える?」


 「はい、見えるよ。」


 「今度は、それを狙ってみて。」


 「はい、火球(ファイア・ボール)。あっ、外れた。動きが早くて、当たらない。」


 「サルビア、角ウサギの動きを予測して、魔法を放ってみて。」


 「はい、もう一度、火球(ファイア・ボール)


 「惜しい、もう少しだよ。連続で、放ってみて。」


 「はい、火球(ファイア・ボール)火球(ファイア・ボール)


 「おぉ、当たったね。サルビア、上手だね。」


 「ありがとう。」


 私達は、その後も暫く、初級ダンジョンにいて、サルビアに魔物を倒して貰っていた。


 「そろそろ、帰ろうか。」


 「もう少し、だめ?」


 「今日は、もう、十分だよ。サルビア、自分の魔力の残りを感じてみて。」


 「そうね。可成り減っているみたい。」


 「それが、無くなると動けなくなるよ。だから、常に自分の魔力の残りを意識してね。」


 「はい、分かった。」


 「それから、これを飲んでみて。」


 私は、青のポーション(特級)を1本サルビアに渡した。


 「はい、ありがとう。」


 サルビアは、青のポーションを飲み干した。


 「あぁ、魔力が戻ったわ。」


 「そう、魔力が無くなってきたら、それを飲めばいいよ。もし、元気が無くなってきたら、赤色の方を飲めばいいよ。」


 私は、サルビアに、赤のポーションと青のポーションと毒消しを、それぞれ10本ずつ渡した。


 サルビアは、それらをアイテムボックスに入れた。


 「それじゃ、そろそろ、帰ろうか。」


 「はい。」


 「うん。帰る。」


 私とサルビアは、スピアの腰にしがみ付き、転移魔法で店まで移動した。


 私達は2階で、買って来たケーキを食べた。私は、食べたふりをして、アイテムボックスに入れた。


 この店で、サルビアと生活するとなると、今までとは、全く異なることを私は実感した。


 食事やトイレなど、普通の人間の生活様式が必要だ。この世界での常識がない私は、何を揃えたらいいのか、分からない。


 「そうだ、リンダに相談しよう。」


 「テラ、急にどうしたの?」


 「これまで、スピアと私だけの生活だったから、この部屋には何も置いていなかったんだ。」


 「それで、だめなの?」


 「私とスピアは、この部屋では、寝る時しか使っていなかったんだ。だけど、サルビアが来たから、この部屋は寝るだけじゃなくて、生活する部屋に変えないと不便になると思うんだ。」


 「そうかな、よくわからない。私も、ベッドの上で、寝ているだけだったから。テラ達と同じだよ。」


 「でも、食事を持ってきてくれていただろう。」


 「あぁ、そうね。すべて、やって貰っていたから、必要だと思っていなかった。そんなことも、気がつかなかったわ。これまでは、いっぱい、迷惑を掛けていたんだね。」


 「迷惑だなんて、誰も思っていないよ。」


 「そうかな?」


 「当たり前だよ。こんなに可愛い、サルビアを誰が迷惑だと思うんだ。」


 「迷惑では、無かったの。」


 「そうだよ。迷惑じゃないよ。これからも、そんなこと考えちゃいけないよ。」


 「はい、考えないようにします。」


 「それで、いいよ。」


 「ちょっと、ここで、待っていてね。商業ギルドに行って来るね。スピアは、サルビアを守ってね。」


 「うん。サルビア、守る。」


 私は、商業ギルドに向かった。リンダに、相談するためだ。

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