30.サルビアの街デビュー
今日も朝のルーチンワークを終わらせた。
「お早う。サルビア」
「おはようございます」
「硬いね。もう一回」
「おはよう。テラ」
「うん。いいよ」
と、スピアが言った。
「気楽に、サルビア。そうだ。名前はどうしよう」
「別にサルビアでいいよ」
「サルビアは、死んだことになっているから、誰かに見られたら、どうする」
「大丈夫よ。もし、私を見て分かるなら、それは、親か、お爺さんよ」
「そうか、だったらいいよ。
サルビアは、これから、どんな生活をする?」
「分からないわ。これまで、ベッドの上だけが私の世界だったから」
「まあ、いいよ。今日は、街で、買い物でもしようか。
サルビアは、普通の人の生活を知らないだろうから、びっくりすると思うよ」
「街に行ってもいいの」
「当たり前だよ。スピアも、いく?」
「うん、行く」
私達は、通りに出て、ゆっくりと街を見て回った。途中に、冒険者ギルドがあった。
「サルビア、入るよ。いい?」
「冒険者ギルドね。ワクワクする」
私達3人は、中に入っていった。
「ローララ、お早う」
「テラ、お早う。あれ、その子は?」
「サルビアって言うんだ。私の友達だよ」
「サルビア、ローララよ。よろしくね」
「はい、サルビアと言います。よろしくお願いいたします」
「そんなに、改まらなくていいわよ」
「はい。分かった」
「そう、それでいいよ」
「テラ、今日は、何もないの?」
「また、ゴブリンだけど、いい?」
「いいよ。でも、よく、ゴブリンばかり狩ってくるね」
「あれ?なんか、変かな?」
「別にいいわよ。ゴブリンばかりでも。魔石があるしね」
「それじゃ、今日は、これで」
私は、最後のストックであるゴブリン200匹分の証拠品をトレーの中に入れた。
「ゴブリン200匹ね。それじゃ、冒険者IDに記録するね」
私は、冒険者IDを渡して、記録して貰った。
「サルビアも、冒険者なの?」
「私は、まだ、決めていないの」
「そう、でも、冒険者IDは、身分証代わりになるから、持っていても損はないよ。
冒険者登録しても、冒険者の仕事をする必要はないからね」
「そうですか」
「サルビアも、作っておく?」
「できれば、お願いして、いい?」
「いいよ。作っておきなよ」
「分かった。作るわ」
「ローララ、手続きをお願い」
「分かったわ。手数料は?」
「私の冒険者IDから引いておいて」
「わかったわ。それじゃ、これに名前を記入してね」
「はい、サルビアと」
「それじゃ、少し待っていてね」
ローララは、奥の部屋に消えていった。暫くして、サルビアの冒険者IDを持って来た。
「はい、サルビアの冒険者IDだよ」
「ありがとう。ローララ」
「それじゃ、また、来るね。バイバイ」
私達3人は、冒険者ギルドを後にした。サルビアの服を見に行った。
「気に入ったものを言ってね」
「はい」
サルビアの好きな色は、赤色だった。服も赤を基調にして選んでいった。
「これ、似合うかな」
と、サルビアが私に聞いてきた。
「似合っているよ。サルビアは、赤が似合うね。可愛いよ」
「そう、それなら。これを頂くは」
「他の服も見なよ」
「いいの」
「いいに、決まってるよ。好きなもの、気に入ったものは全部、買ったらいいよ」
「それじゃ、これも欲しい」
サルビアは、3着服を選び、ブレスレットや帽子なども選んでいった。
「これで、いい?」
「うん。十分よ」
「すみません。これを下さい。支払いは、商業IDでお願いいたします」
「はい、わかりました。服は、包みますか?」
「そうしてもらえますか」
店員が服を包装している間に、サルビアにアイテムボックスを1個あげた。
「テラ、これ、何?」
「これは、アイテムボックスと言って、色々なものを入れて保管することができるんだ」
「便利ね。こんなに小さいのに、大きなものも入るの?」
「そうだね。家とか、極端に大きなものはだめだけど、家具ぐらいなら、入るよ。
あっ、そうそう、生き物は、だめだよ。物しか、入らないよ」
「わかったわ。使わせてもらうね。テラ、ありがとう」
店員が戻って来たので、早速、サルビアは、アイテムボックスを使って、服を入れて行った。
「本当に便利ね。沢山、入れたのに、重くなっていないのね」
「そうだよ。もし、入らなくなったら、また、もう1個あげるよ」
「テラ、これって、高価な物じゃないの?そんなに、あげて、大丈夫」
「サルビアは、気にしなくて、いいよ。だって、私は、お金持っているよ」
「本当?無理しないでね。借金は、もう、懲り懲りよ」
「私、借金は、しないので。
次、行くよ」
「今度は、何処に、行くの?」
「何か、食べたいものはない?買って、帰ろう」
「そうね。ケーキを食べたい」
「うん。ケーキ、ケーキ」
「スピアも、ケーキが好きだものね」
「それじゃ、あそこの店に行こう。最近の人気店らしいよ」
「「行く!」」
「二人、行きぴったりだね」
「本当だ」
サルビアは、スピアに抱き付いて、嬉しそうに笑った。
「それじゃ、好きな物を選んでね」
2人は、それぞれ、3個ずつケーキを選んだ。私は、食べないのだけど、2人に食べて貰うために、4個選んだ。
「わぁ、テラは、4個も食べるの。甘い物が好きなのね」
「そうだよ。サルビアは、3個でいいの」
「私は、3個で十分。それ以上は、食べれないよ」
「そうだ、夕食用に弁当を買って帰ろう。それから、飲み物もいるね」
「うん、いる」
スピアも、嬉しそうだ。私が食べないから、スピアも遠慮していたみたいだ。
これからは、気をつけてやらないと、いけないな。
「それじゃ、そろそろ、帰ろうか」
「テラ、私、ダンジョンに行ってみたい。テラの冒険者姿が見たい」
「そうね。行ってもいいけど、ちゃんと、装備をしないと危ないよ」
「私では冒険者には、なれないのかなぁ」
「そんなことはないよ。
前は、病気の事しか、確認しなかったけど、もう一度、サルビアのこと、調べてもいい?」
「いいよ。気にせずに、調べて。テラには、すべて、知って貰いたいの」
「それじゃ、いくよ」
私は、スキル鑑定で、サルビアのステータスを調べた。それを、サルビアにも、教えてあげた。
私達は、3人で、初級ダンジョンに潜るために、サルビアの装備を見に行くことになった。