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28.サルビアの不幸

 今日は、初級ダンジョンの横に作った薬草の栽培地をチェックしに行くことにした。


 いつも通り、店を開店してから、転移魔法で薬草の栽培地に移動した。

 まずは、薬草の採取だ。これは、スピアに頼んだ。私は、ポーション用のガラス瓶を土魔法で創っていった。後々の事もあるので、一気に作っておこうと思い。この作業に午前中を当てた。


 おかげで、1000本作ることが出来た。これで、暫くは、ガラス瓶を創らなくて、済みそうだ。

 スピアが戻って来たので、私達は、転移魔法で店に移動した。

 店に戻った私は、赤のポーションから、青のポーション、そして、毒消しを創って、ガラス瓶に詰めて行った。それを、倉庫に保管しておいた。


 次に、冒険者ギルドに行って、ゴブリンの証拠品を引き取って貰った。今日は、200匹分を引き取って貰った。後、200匹分残っている。ちょっと、ゴブリンばかり、狩りすぎている。もっと効率のよい魔物に切り替えた方がよさそうだ。


 ちょっと、気分転換に自分のスキルをスキル隠蔽で、隠蔽した。その後、スキル鑑定で調べてみた。

 これを暫く繰り返して、スキル隠蔽とスキル鑑定のレベルアップを図った。しかし、レベルが2上がっただけだった。もっと、効率の良い方法がないかな?いつか、見つかるかな?


 次に、将来の事を考えて、土魔法を鍛えておくことにした。使う回数は多いが、どちらかというと、おおざっぱな物を作ることが多い。そこで、今日は、来年用の自分の身体を創ることにした。

 まずは、今の私を鏡で見ながら、一回り大きな少女を創った。次に細部の調整だ。細かな作業を何度も、繰り返して、ようやく、何とか人に見えるぐらいにはなったが、まだまだ、賢者サビオが作ったものに比べるとだめだった。


 次に、スピアを見ながら、そっくりな土人形を創り始めた。ただし、大きさは、今の自分と同じ、120cmぐらいにした。つまり、一回り小さなスピアだ。


 これも、何とか、それらしく作ったが、まだまだ、だった。作った、2体の土人形を地下牢の前の工房に飾っておいた。


 一通り、予定していた仕事を終えたので、また、貴族エリアで、情報収集に行くことにした。


 貴族エリアにある商業ギルドを覗くことにした。冒険者ギルドは、貴族エリアにはないが、商業ギルドは、普通の人のエリアとは別に貴族専用がある。


 いつも言っている商業ギルドとは比べようもないほど大きな建物だ。それに、内装が豪華だ。


 念のために、もう一度、光魔法で、私とスピアをクリーンにした。

 さて、これでいいだろう。私達は、商業ギルドに入っていった。


 中は、広く、多くの人が居るにも拘わらず、ゆったりしていた。


 「今日は、面白い話が聞けるかな?」


 スピアに思念伝達で声を掛けた。


 「うん。聞けるよ。」


 私達は、ソファに座って、紅茶を飲みながら商談をしている貴族の後ろに立った。


 「最近の取引は、どうですか?」


 「そうですね。例年通りですかね。帝国への輸出が少し減っているので、何か、手を打たないといけないですよ。」


 「帝国ですか。最近の動きは、きな臭いですね。」


 「えっ、そうですか。戦争ですか?」


 「大きな声では言えませんが、準備中のようですね。」


 「なるほど、それで、輸出が減っているのですね。」


 「内緒ですよ。」


 「分かっていますよ。」


 今の私達には、関係のない話だった。また、別のソファの近くに行った。


 「カネーダ侯爵の事を聞いたかね。」


 「あの成金か。あいつがどうした?」


 「おいおい、誰が聞いているか、分からないぞ。言い方には注意しといた方がいいぞ。」


 「でもなぁ。嫌いなんだよ。」


 「そりゃ、皆嫌っているよ。でも、侯爵だからな。金で買ったらしいけどな。」


 「それがどうしたんだ。」


 「また、妾を買うそうだ。それも、10才だと。」


 「そりゃまた、ギリギリの年だな。妾に出来る最年少だね。

 その、可哀そうな女の子は、誰だい。」


 「没落貴族の子、サルビアだよ。」


 「えぇ、あの子は病弱で、寝たきりだろ。」


 「そうだよ。だから、医者に金の糸目をつぎ込んで、没落してしまったんだ。

 その時の借金が残っているから、断れないのさ。」


 「そうか、我が子の為なら、俺でも全財産つぎ込むね。」


 「俺でも同じさ。でも、そんな子を妾にするかね。

 しかも、どうも、逆らしいよ。」

 

 「逆とは、どういうことだい。」


 「先に、妾にしようと考えたということさ。」


 「えぇ、それで、金を貸したのか。」


 「そう、でも、それだけじゃないようだぜ。」


 「どういうことだ。」


 「病気を見ていた医者があの成金の息が掛かっている者で、高額な医療費を要求していたらしい。

 しかも、そんなに能力のある医者じゃなかったから。病気も治せなかったらしい。」


 「ん、不治の病じゃなかったか。」


 「確かに、難病だが、直せる医者もいるらしい。

 でも、その医者は、王宮の特級医だから、見て貰えないよな。」

 

 「その屋敷って、この近くじゃなかったか?」


 「この通りの端にある汚い屋敷だよ。」


 「そうだったな。」


 「結局、借金が、金貨500万枚らしいよ。」


 「よくも、そんなに借りたね。それなら、妾だけでは済まないだろ。」


 「そうだよ。屋敷も取り上げだよ。」


 私は、スピアに思念伝達で話をした。


 「そうか、あの時の女の子だったんだな。可哀そうに。」


 「うん。可哀そう。」


 「誰か、助けてやれないのかなぁ。」


 「うん、助けてあげて。」


 「そうか、スピアも、そう思うか。」


 私達は、サルビアに会いに行くことにした。

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