表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
258/261

258.最後の四天王

 魔王の左腕の魔人ガーブから、有益な情報だった。魔人のことも、魔王のことも、そして、魔火山の事も。


 そして、何より、聖剣擬きが効果を発揮することがわかった。これは、思いがけない結果だった。


 ダメもとで、作ったものだったが、それでも使える。いや、思っていた以上に役にたった。ルーン文字については、まだまだ未知な事が多いが、真似るだけでも、その効果がある。これは、今後も有効に使えそうだ。


 今、テラjrが戦っているのは、魔王の最後の四天王ディアブス・セルぺスマリヌス、別名「海蛇の悪魔」だ。海蛇の悪魔は、水魔法に特化しており、海を自由に操ることも出来る。


 そして、もう一人の魔人、魔王の右腕だ。魔王の右腕は、闇魔法に特化しており、用心しないといけないが、弱点が光魔法と言うことが分かった。


 私達も、ガーブとの戦いから離れて、ようやく、テラjrと合流することが出来た。


 私は、テラjrと思念伝達で連絡を取りながら、今後の戦い方について、確認をした。


 「テラjr、一緒に戦える場所まで来た」


 「2人の魔人を分断しながら攻撃するという当初の計画を実行します」


 「それでは、我々が最後の四天王を魔王の右腕から引き離します」


 「ムーン、お願いします」


 テラjrとの思念伝達を切ってから、最後尾に待機して貰っていたシロッコスに思念伝達で連絡を取った。


 「シロッコス、ムーンです」


 「いよいよ、最後の決戦ですね」


 「はい、それで、シロッコスには、サーキとビーランを守りながら、前線近くへ移動して貰いたいのですが、大丈夫ですか?」


 「大丈夫です。土魔法の魔人2人に、防御用のドームを作って貰いながら移動していきます」


 「それじゃ、よろしくお願いいたします」


 「了解です」


 魔王の右腕が、光魔法を弱点にしているということなので、何ができるかは、分からないが、取り敢えず光魔法が使えるサーキとビーランに近くまで来て貰うことにした。


 打ち合わせも終えたので、私達は、魔王の最後の四天王に攻撃を開始した。


 シロッコスが連れて来た白魔導士には、氷の魔人族の2人と嵐の魔人族の2人を治癒魔法と強化魔法で、支援して貰うことにした。私とスピアの仲間ラーンスの背に乗り、ハプーンに並走して貰うことにした。


 「ラーンス、ハプーン。行くよ」


 「うん、いいよ」


 ラーンスは、一気に駆け出した。あっという間に、海蛇の悪魔と対峙した。


 「私は、ムーンと言う。お前に勝ち目はない。降参しろ」


 「何を言うか。魔王の為に、最後まで戦うぞ!」


 海蛇の悪魔は、長い尻尾を振り回して、私にぶつけて来た。私は、それを避けずに、聖剣擬きで受け止めた。


 「ウワ―、それは、なんだ!」


 海蛇の悪魔は、私の聖剣擬きによって、尻尾を切り取られていた。そして、その傷口は再生していない。


 「バカなお前でも、痛みは理解したようだな」


 「どういうことだ! 何故、傷口が治らない。まさか、お前が勇者か?」


 「そうだ、私が、勇者だ! そろそれ、負けを理解したか?」


 「勇者と言えども、魔王様が完全復活したら、問題はない」


 「ほう、だが、魔王は寝たままらしいな」


 「えっ、何故、そんなことまで、知っている?」


 「私は、何でも知っているぞ。そして、このまま、ここで、お前を殺してもいいのだが、どうする?」


 「私では、勇者には、勝てない。だが、魔王の右腕なら、互角かも」


 「そうかな。すで、私は、魔王の左腕を倒している。それで、互角かな?」


 「そんな。それなら、もう魔人は、2人だけか?」


 「そのとおり、お前と魔王の右腕の2人だけだ」


 海蛇の悪魔は、戦う意欲をなくしたようだ。頭を垂れて、何か、考えているようだ。


 テラjrと戦っていたはずの魔王の右腕が、海蛇の悪魔の横に現れた。


 「どうして、ここに!」


 「お前の嘆きを聞いたからだ。ここで、お前に死なれては困るからな」


 「すみません。勇者を前にして、どうしていいか、分らなくなりました」


 「まあ、良い。お前は、私の言う通りに動けば良いのだ。分かったか?」


 「はい、勿論。その通りに!」


 魔王の右腕は、大きな体の海蛇の悪魔を抱えて、また、忽然と姿を消した。おそらく、無詠唱の転移魔法だろう。流石に、闇魔法に特化しているだけはある。


 私は、直ぐにスキル探索で、周囲の様子を調べて見た。しかし、魔人を見つけることが出来なかった。2人の魔人は、他の階層に転移してしまったようだ。


 私は、テラjrと思念伝達で連絡を取って、これからの対策を相談することにした。


 「テラjr、魔王の右腕と海蛇の悪魔に逃げられてしまった」


 「私の方も、魔王の右腕と戦う前に、転移魔法で、逃げられた。そちらに行っていたようだ」


 「はい、海蛇の悪魔を助けるために転移魔法を使ったようです」


 「これから、最後の階層に移動するつもりだ。魔王は、眠っているようだが、攻撃の手を緩めることはない」


 「そうですね。今が、チャンスです」


 「ムーンは、どうする?」


 「私は、逃げた魔人2人が気になります。そちらを追跡します」


 「わかった。そのように。サーキとビーラン達は、そのまま、待機させておく」


 「はい。了解しました」


 私達は、テラjr達と別れて、2人の魔人の行方を探すことにした。転移魔法で移動したのなら、闇魔法の痕跡が残っているはずだ。まずは、それを調べることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ