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251.更なる戦い

 光の魔人と呼ばれるディアブス・ルーチスが、近づいて来たので、一旦、撤退した私達だったが、大きな収穫があった。


 新しい四天王は、火魔法に特化しており、水魔法が弱点と分かった。火魔法の火力は非常に大きく、遠隔攻撃では、こちのダメージの方が大きくなりそうだ。そこで、近接戦で、一気に畳みかけることにした。


 私は、皆に声を掛けた。


 「準備は、出来ているか?」


 「「はい」」


 「それでは、行くぞ!」


 私達は、前回と同じように2つのチームに分かれて、攻撃を仕掛けることにした。


 Aチームは、私とサーキとビーランとスピアとライオス、残りがBチームだ。土魔法が使える私が、光の魔人を倒すことにした。Bチームのアオイは、火魔法の専門家だが、水魔法も使える。それに、接近戦には、レオナルドとアロンが役に立つはずだ。


 Aチームは、光の魔人の居る階層の奥に向かった。途中で、新しい四天王に出会わないように、隠密魔法で、全員の姿を隠して、行動した。


 私達のAチームが出発して、暫くしてから、Bチームも出発した。Bチームは、出発すると、直ぐに魔物の群れに遭遇した。火魔法の得意な四天王も、我々に向かって、行動を開始していたからだ。


 私は、Bチームが、戦闘を開始したことをスキル探索で、知った。そのため、2人の四天王が合流しないように、間に割って入って、姿を現すことにした。


 「おい、光の魔人。お前の相手は、我々だ!」


 光の魔人は、突然現れた我々に少し驚いたようだが、直ぐに、平常心を取り戻したようだ。


 「ほお、殺される覚悟はできたのか?」


 「死ぬのは、お前の方だ!」


 私達は、予定通り、ライオスに先頭で、四天王の周りの魔物を倒して貰い、サーキとビーランが、ライオスの支援に回った。そして、サーキとビーランをスピアに護衛して貰った。


 私は、まず、敵の光の魔人が、逃げないように土魔法で、ドーム状の囲いを作った。そして、その中で、1対1で、戦うことにした。


 「お前一人で戦うというのか?」


 「それが、どうした。お前など、私一人で、十分だ」


 私の返答が終わる前に光の魔人は、光の矢を放った。


 「光矢(ライト・アロー)


 上空から、光の矢が無数と思えるほど、降り注がれた。私は、予め光魔法で、バリアーを自身の身体の周りに張り巡らせていたお陰で、全く、無傷だった。


 「私の光矢(ライト・アロー)が効かないだと!」


 「お前の攻撃は、それだけか?」


 「スキル魅了、ファシネイト」


 急に光の魔人の身体の周りに妖しげな炎が生じた。そして、それが、私の方に流れてくる。波のように振動しながら、しかし、その速度は、光の様に、素早く、私に到達した。


 私の思考は、急に停止したようだ。今何をしているのか、全く、分らなくなっていた。そして、異常に身体が火照って来た。


 「さあ、我の元に来い。そして、跪け!」


 私の身体が、ゆっくりと光の魔人の方に吸い寄せられていく。そして、光の魔人の足元で、私は倒れてしまった。


 「我の魅了には、抗うことは出来なかったか」


 足元で倒れている私を見ながら、光の魔人は、薄ら笑いをしていた。



 急に、土魔法で造られたドームの真上の部分に穴が開きスピアが、私を抱きかかえて、同じ穴から、飛び出していった。光の魔人も油断していたようだ。まさか、誰かが、助けに来るとは、思ってもいなかったようだ。


 「しまった。油断した」


 光の魔人は、地団太を踏んだが、もう、既に遅かった。


 スピアは、思念伝達で、Aチームの全員に撤退を伝えた。そして、シロッコスにも、Aチームが撤退することを連絡した。


 「テラjr、大丈夫!」


 スピアが、私の身体を揺すっている。しかし、未だに、頭の中は、朦朧としている。光の魔人から、離れているが、スキル魅了の効果は、まだ、残っているようだ。どうも、距離には、関係なく影響を与え続けるようだ。


 「スピア、私に任せて!」


 サーキが、スピアを押しのけて、光魔法で、魅了の効果を取り除くつもりだ。それを見て、ビーランも、同じように光魔法を放ち始めた。


 どれぐらいの時間が経ったのだろうか。漸く、私の頭の中の靄が腫れて、思考が再開した。


 「すまない。今回の失敗は、私のミスだ。相手の力を見誤ったようだ」


 私は、素直に、皆に誤った。周りを見渡すと、Aチームの仲間のみで、Bチームのメンバーは、見当たらない。


 「Bチームは、どうした?」


 「私達が、撤退することは、シロッコスに伝えたよ」


 スピアが、状況を説明してくれた。


 「それでは、まだ、戦っているのか」


 私は、直ぐにスキル探索で、階層内の状態を調べた。すると、魔人達は、まだ離れた郷里に居ることが分かった。


 「良かった。まだ、魔人達は合流していないようだ」


 私は、思念伝達で、シロッコスと連絡をとった。


 「シロッコス、すまない。Aチームは、私のミスで、失敗してしまった。そちらは、どんな様子だ」


 「光の魔人の様子が分からないので、不安だが、我々が押している」


 「私が調べたところ、光の魔人に動きはないようだ。そちらに合流できないように、私が阻止する」


 「テラjr、それは助かる。だが、大丈夫か?」


 「ああ、大丈夫だ。同じミスは、2度もしないよ」


 「それなら、お願いする」


 私は、スピアに頼んで、もう一度、光の魔人を攻撃することにした。

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