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246.新たな四天王

 拘束した魔人は、「ディアルブ・ムスカス」と名乗った。少し、時間が掛かったが、徐々に、知ることが出来た。


 ディアルブ・ムスカスは、「災厄の魔人」とも呼ばれており、世界に災厄をまき散らす。ハエや毒虫などを操り疫病を蔓延させたり、人々に悪夢を見せることにより、恐怖を植え付ける。


 その世界に蔓延した恐怖によって、この魔大陸の大気の魔力量が増大することになる。それにより、魔火山の噴火や、魔王の完全復活が起こる。


 まだ、魔王軍として、動き出したばかりで、他の四天王との交流がない。そのため、それらの情報は、知ることが出来ないが、四天王は、それぞれが、一つの階層を守って、魔王への直接攻撃が出来ないようにしている。


 転移により、この階層は移動していくが、基本的には、ダンジョンと同じと考えてよいそうだ。


 また、別の層へ転移するのには、特別な転移魔法陣を用いないとだめらしい。しかし、その魔法陣に精通している魔人は、少なく、ディアルブ・ムスカスも分からないらしい。


 魔王は、四天王を召喚してから、完全復活するまで、休息に入ったらしい。だから、今は、魔王は、四天王の動きすら、把握できていない。


 「もう、これ以上は、新たな情報は、得られないようだ」


 私は、デーモン・シールドの皆に、これからどうするか、確認しておきかった。


 「この魔人は、殺しておいた方がいいと思います」


 アロンが、私に進言した。確かに、殺してしまった方が、良いのかもしれない。だが、四天王が死ぬことで、魔王が目覚めるかもしれない。できるだけ、リスクは減らしたい。


 「召喚した魔人が死ねば、流石に、魔王にも知られてしまうだろう。今は、休息しているので、我々に動きを知らない。それなら、そのまま、四天王を一人ずつ拘束して行った方が、いいのでは?」


 「確かに、そうだ」


 シロッコスも、私の意見に賛同して貰えたようだ。


 「それでは、ディアルブ・ムスカスを拘束したまま、連れて行くのか?」


 ライオスは、不服そうだ。


 「いや、連れて行くのは、不都合だ。ここに、地下室を作り、その中に閉じ込めておく。そして、監視用に遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタを設置しておく」


 「わかった」


 ライオスも、了承して貰えたようだ。私は、素早く地下室を作り、拘束したディアルブ・ムスカスを遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタから、良く見えるようにした。


 「準備出来たよ」


 「それじゃ、出発だね」


 私は、スキル探索で、今いる層の調査を行った。そして、次の層への移動用魔法陣が描かれている場所を特定した。私は、これまでに見た転移用の魔法陣を思い出しながら、進行を開始した。


 「目的地は、もうすぐだよ」


 「「はい」」


 私達デーモン・シールドは、進行の妨げになる魔物だけを狩りながら、進んで行った。厄介だったのはサーペイントの群れが現れたときぐらいだ。まだ、毒への耐性が十分でない者がいたので、注意しながら狩らなくてはいけなかった。


 「着いたよ」


 やっと、次の階層への転移用の魔法陣の前までやって来た。解析する時間があるかどうかは、分からないが、取り敢えず、魔法陣を写真乾板で取っておいた。


 「さあ、行くよ。いいか?」


 「「はい」」


 私達は、次の層に遣って来た。素早く、スキル探知を使って、四天王の存在を調査したが、この層にはいないようだ。


 「四天王はこの層にはいないようだ。次に行くよ」


 私達は、何層も同様に、潜り抜けて行った。もう、10層以上は転移用の魔法陣で、移動してきた。しかし、この層にも、四天王の存在は感知することが出来なかった。


 「ここで、一度、休息を取らないか?」


 「賛成です。交代で、見張りを立てましょうか?」


 シロッコスが、私に賛成した。他の物も、頷いているようだ。


 「いや、私が、地下室を創る。その中で、一緒に休もう」


 「「はい」」


 私は、いつものように、地下基地を創った。そして、その中に一人ずつの部屋を作っていった。


 「それじゃ、一旦分かれて休息しよう」


 デーモン・シールドの皆は、それぞれの部屋に入って行った。


 私も、一つの部屋の中に入った。今回の地下室も地下4階にしている。そして、私は、地下2階に部屋を作った。他のデーモン・シールドの皆には、地下3階と地下4階に部屋を作って休んで貰っている。


 私の部屋の前を通過しないと、下の階に行けないようにした。これで、不意の攻撃にも私自身が対処できる。


 私自身は、それほど疲れてはいなかったので、スピアと一緒に、食事を取りながら、写真乾板に移した魔法陣を並べて、見比べていた。


 「テラjr、しっかり食べなさい」


 「はい。でも、もう少し解読できそうなんだ」


 「でも、手は動かしてね」


 「はい」


 スピアは、まるで、私の母親だ。まあ、これまで、私の世話をして来たのだから、乳母のような存在だ。


 9割ぐらいは、同じ形状になっている。まあ、当然だ。行先だけが変化しているだけなのだから。


 私は、頭の中で、これまでの魔法陣を重ねて行った。そして、旨く重なった部分のみを取り出して、一つの魔法陣として、描いた。


 移動先についての魔法陣の部分は、よく分からない描き方だが、その他の部分は、これまで、私が知っている魔法陣とよく似ていた。これなら、理解できそうだ。古来の魔法陣も、現代の魔法陣も、基本原理は同じはずだ。その表現方法がことなっているだけだ。そう信じて、解明を続けた。

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