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226.竜人族との取引

 マリーから、思念伝達で、連絡が入った。

 

 「ムーン様、マリーです。今、いいですか?」


 「構わない」


 「赤の竜人(ルーブロマ・ドラコ)から、商品の納入依頼が入りました」


 「何を所望しているのだ」


 「実は、武器を大量に購入したいそうです。そして、通常の武器だけでなく、特殊な物も、用意するように言われました」


 「特殊な物とは、なんだ!」


 「空から、地上を攻撃できるようなものが大量に欲しいと言われました」


 「空からの攻撃だと!」


 「はい。用意できますでしょうか?」


 「マリーは、戦闘用手榴弾を知らなかったか?」


 「いえ、存じています。しかし、あれは、特殊な物なので、赤の竜人(ルーブロマ・ドラコ)に教えてもいいのか、迷いました」


 「なるほど、それなら、教えても構わない。必要な量と、期日を確認してくれ」


 「はい、分りました」


 「それから、納入先も確認しておいてくれ。それと、できれば、何処を攻めるのか、聞き出せないか?」


 「それなら、分っております。魔王軍を攻めると言われていました」


 「魔王軍だと! 赤の竜人(ルーブロマ・ドラコ)は、魔王軍の所在を知っているのか?」


 「私には、分りかねます。それも、確認しておきます」


 「うまく、聞き出してくれ」


 「はい」


 私は、マリーとの思念伝達を切った。


 ソーロン帝国には、秘密の遺跡が神殿の中にあり、そこに魔大陸に繋がるゲートがある。そして、それは、ソーロン帝国に隣接している所ではなく、全くの異世界と言うべき場所で、魔火山を中心とした世界だ。紛らわしいので、今後は、ソーロン帝国に隣接している大陸を偽魔大陸と呼ぶことにする。そして、魔王軍が潜んでいる大陸を魔大陸と呼ぶことにする。


 魔大陸を攻めるとなるとソーロン帝国に進軍することになる。それを分かっているのだろうか? 武器を提供することは出来るが、それをソーロン帝国に知られると、テラ・ワールドの立場が悪くなる。仕方がないので、赤の竜人(ルーブロマ・ドラコ)に、直接真意を確かめることにした。


 私は、赤の竜人(ルーブロマ・ドラコ)に思念伝達で、連絡を取った。


 「赤の竜人(ルーブロマ・ドラコ)、私は、ムーンですが、今、よろしいでしょうか?」


 「うむ、構わないが、先ほど、マリーと連絡を取ったばかりだが、ムーン、直々にどうした?」


 「実は、魔王軍を攻撃すると聞いて、少し、確認したいことがございます」


 「お主も、魔王軍を倒したいのではないのか?」


 「それは、そうですが、魔王軍が今いる場所をご存じですか?」


 「もちろんだ。ソーロン帝国の神殿内の遺跡から、魔大陸に移動する」


 「そこまで、御存じであれば、話が早いです。実は、ソーロン帝国にも、私どもの取引相手がいるのです」


 「わかった。皆まで、言わなくとも良い」


 「本当ですか?」


 「もちろんだ。魔大陸へつながる神殿内の遺跡に直接移動する。それなら、いいのだろう?」


 「はい、そうです。それなら、問題ありません」


 「それで、できるだけ早く進軍したいのだが、武器などは、直ぐに手配できるのか?」


 「できる限り早く揃えます」


 「それじゃ、よろしく」


 私は、思念伝達を切った。そして、すぐさま、マリーに思念伝達で、連絡を取った。


 「マリー、何か、報告があるだろう」


 「はい、ムーン様、赤の竜人(ルーブロマ・ドラコ)と連絡を取って、武器の種類と量を確認しました」


 「そうか。それで、どの程度の量なのだ」


 「竜人用の武器・鎧が100セットで、魔人用の武器・鎧が1万です。それから、戦闘用手榴弾を5万です」


 「わかった。マリーは、引き続き、赤の竜人(ルーブロマ・ドラコ)の様子を探ってくれ」


 「了解しました」


 私は、マリーとの思念伝達を切って、リンダに思念伝達で、連絡を入れた。


 「マリー、今、忙しいかい?」


 「今は、少し、落ち着いた所よ」


 「それなら、今から、そっちに行ってもいいかな?」


 「いいわよ。久しぶりね」


 リンダは、喜んでいるようだ。私は、急いで、転移魔法で、リンダの部屋に移動した。


 「やあ、元気だった?」


 「元気よ。私より、ムーンは、どうなの? 忙しそうね」


 「そうでもないよ」


 「今日は、どうしたの?」


 「少し、相談があるんだ。いいかな?」


 「いいわよ。何?」


 私は、リンダと共に、ベンドに座った。


 「実は、先日から竜人族と商談をしているのだが、どうも、戦争を始めるようなんだ」


 「それで、相手は、どこ?」


 「一応、魔王軍と聞いている」


 「でも、魔王軍は、特に動きはないよね。それなのに、攻めるの?」


 「何か、過去に経緯があるようだが、私も分からない」


 「それで、魔王軍のいる場所は、知っているの?」


 「それは、問題ないようだ。ソーロン帝国の神殿内の遺跡から移動するということまで、知っていたよ」


 「それなら、問題は、何?」


 「竜人族をどれだけ、信用できるのか? と言うことだよ」


 「私も、竜人族については、知らないわ」


 「いままで、隠れていたようなので、古くから生きている長命種族でないとだめだろう」


 「ムーン、貴方の師匠は、どうなの?」


 「あまり迷惑を掛けたくないからなぁ」


 「でも、一番の長命じゃない? 1000年は、生きているのだから」


 「そうだね。しかたがない、聞いて見ようか」


 「それがいいわ」


 私は、リンダとともにベッドで、横になりながら、どのように伝えるか、考えていた。 

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