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200.国政への参加

 私は、国政に参加して、影響力を高めるために、まず、ミューを送り込むことにした。ヘノイ王国は、形ばかりの議会制を取っていた。貴族の代表と聖職者の代表と有力者の代表が議会で、国の政策を決めていた。


 ミューは、貴族の間に名前が浸透しているので、貴族の代表として、国王から、選んで貰うように画策した。そして、カタリナも貴族の代表として、選んで貰うことにした。


 カタリナは、直ぐに代表として、選出された。それと共に、私が後見人として、議会に出席することになった。


 有力者の代表として、リンダがテラ・ワールドの代理人として、議会に出席することになった。聖職者の代表の動向を調べるために、神殿に遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタを設置して、カタリナの城の地下で、モニターを見ながら、監視することにした。監視用として、マリーに部下を張り付けさせた。何か、変化があれば、マリーから、連絡が入ることになっている。


 今日、初めて議会に出席する。私は、カタリナと共に、馬車で、王宮に向かった。馬車の中では、カタリナの愚痴を聞く羽目になった。


 「ねえ、ムーン。どうしても行かないといけないの?」


 「そうだよ。これからは、国にも関心を持って貰わないといけないよ」


 「でも、ムーンは、今まで通りの生活をしていいと言ってたでしょ。これじゃ、違っていない?」

 

 「少しだけ、我慢して欲しい。この国は、いずれ、カタリナの物になるのだよ。だから、少しは、関心を持ってほしい」


 「でも、私、国の政策なんて、分からないわ」


 「座っていてくれたら、それだけでいいよ。何かあれば、私が発現するから」


 「本当ね。私は、座っているだけよ」


 「はい。わかったよ」


 漸く、馬車が、王宮に到着した。係の兵士に案内されて、私達は議会場に入って行った。その中は、3つの部分に分けられていた。それぞれに、貴族の代表、聖職者の代表、有力者の代表が座っていた。それぞれ、ほぼ同数の代表者が座っているようだ。

 

 「予定の時刻になりましたので、これより、3部会会議を開催します。」


 「それでは、まず、貴族の代表からの提案をしていただきます」


 「私は、国の財政を担当するカブートといいます。今回は、是非とも、灯油の高騰に歯止めを掛ける良き方策を窺いたい。貴族の中でさえ、困り果てて、高利で金を借りて、破産寸前の者もいるようです」


 「灯油の高騰の原因を誰か、説明できないか?」


 国王が、皆に声を掛けた。すると、リンダが、立ち上がり、意見を言った。


 「私は、テラ・ワールドの代表のリンダといいます。発言の許可を求めます」


 「よろしい。発言を許可する」


 国王レーモンがリンダに発言の許可を与えた。でも、これって、事前に打ち合わせしていたことなんだ。


 「私どもは、ミヤーコ王国の灯油を独占販売しております。ミヤーコ王国の国内販売と同じ価格で、私どもが買い上げて、ここヘノイ王国まで、運んできて販売しております。従って、運搬コストの分価格が上がっているわけです」


 「これまでは、こんなに価格が高騰したことはないぞ。単に運搬コストの問題だとは思えない」


 カブートが、リンダに反論した。


 「これまでは、ミヤーコ王国が各国の灯油の販売価格を一定に保っていました。その代わりにミヤーコ王国は、各国から、安く製品を購入することが出来ていたのです。それを、打ち切られたので、今回のような価格になったわけです。ですから、ミヤーコ王国の特産物は、ミヤーコ王国では、これまでより、高く販売できているはずです」


 「カブート、今の話は、誠か?」


 国王レーモンが、カブートに尋ねた。


 「確かに、ミヤーコ王国への販売価格は高騰しています。しかし、灯油ほどではありません。そして、その総額は、灯油の5分の1程度です。もともと、我が国は、他国への輸出に力を入れておりませんでした。ほとんどの物が自給自足の状態です。その中で、唯一、灯油が、輸入されているのです」


 「そうすると、輸出で、灯油の損害を埋めることは、出来ないということか?」


 国王レーモンがカブートに尋ねた。


 「はい、そういうことです」


 「国王、私に策があります」


 私は、国王に意見を言った。


 「其方は、誰だ」


 「私は、カタリナの後見人のムーンでございます」


 「ほう、其方が、何か方策があるというのだな」


 「はい、左様でございます」


 「それじゃ、申してみよ」


 「いえ、この場では、お話しできません。ですが、3カ月の猶予を下さい。そうすれば、今の灯油の価格を以前の価格まで、下げて見せましょう」


 「本当か?」


 「はい、本当です」


 「もし、出来なかったら、どうする?」


 「その時は、この首を差し出します」


 「よし、分かった。其方に任せよう」


 「つきましては、一つだけ、お願いがございます」


 「何だ、申してみよ」


 「はい、私には、何の権限もございません。今のままでは、直ぐに結果を出すことが出来ません。そこで、この国の宰相に任命して貰えませんか? 期間は、3カ月で結構です。もし、結果が出せたら、それ以後も、継続させてください」


 「皆の者、何か、意見はあるか? もし、無ければ、3カ月、このムーンを宰相に任命するが、異存はないか?」


 「「異存は、ございません」」


 私は、いよいよ、国政に参加することが出来た。しかも、宰相に任命されれば、後は、思いのままに、この国を操ることが出来る。

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