198.都市コーリマの新支店
私は、アンジと連絡を取って、アータキ国の都市コーリマにテラ・ワールドの支店を作るように、指示を出した。そして、出来るだけ早く、テラ・ワールドの支店で、直接商品を販売していくように依頼した。
早速、アンジが都市コーリマにテラ・ワールドの支店を作った。それを聞いた私は、直ぐに、その支店に行き、地下室を作り、転移魔法用の施設を設けた。これで、この支店からも、すべてのテラ・ワールドに転移用の魔法陣で、移動できる。また、従業員用の居住場所も確保した。
「アンジ、この街で、従業員を採用してくれる?」
「はい、分かりました。何人ほど、雇いましょうか?」
「50人は、最低でも雇って欲しい。給料は、前の支店と同じでいいよ。でも、必ず、住み込み出来る者にしてね」
「はい、分かりました」
アンジは、早速、商業ギルドに従業員の募集を依頼した。私は、商品の作成用の神具を作って、アンジに渡しておいた。
暫くして、従業員が集まったとアンジから思念伝達で連絡が入った。
「ご苦労様。採用を迷うことがあれば、その者は、試用期間にして置いたらいいよ。給料は、払っても構わないから」
「はい、そのようにします。それから、工場の方は、どうしますか? この街にも必要ですね」
「近くの土地を購入して、工場として、私が、施設をつくるよ。連絡してくれ」
「もう、土地は、購入しています。既に、神具を預かったので、必要だと思いました」
「分かった、直ぐに、そちらに行くよ」
私は、転移魔法で、新しい支店に移動した。
「アンジ、工場用の土地に案内してくれ」
「はい。こちらです」
アンジが、示したのは、支店の裏手にある土地だった。
「分かった。少し、待ってくれ」
私は、大急ぎで、地下4階、地上4階の工場を作った。
「これで、いいかな? 内装は、アンジに任せるよ」
「はい、わかりました。直ぐに稼働できるように準備します」
「もう一つ、お願いがあるんだが、いいかな?」
「はい、何でしょうか?」
「ヤガータ国の官吏をこの国で、募集して欲しい。条件は、最低1年は、ヤガータ国で働いて貰う。その代わり、住居は無料で提供し、月に金貨100枚を給料として出す。」
「そんなに高額を払うのですか?」
「そうだよ。だから、優秀な人材を集めて欲しい」
「何人、必要ですか?」
「多ければ、多いほどいい。最低でも、100人は、欲しい」
「わかりました。直ぐに、手配します」
「それから、この国の他の街にも、支店を出してほしい。そして、加盟店を同時に募集してくれ」
「はい、それも、直ぐに始めていいですか?」
「もちろん、初めてくれ。もし、追加の費用が必要なら、直ぐに言ってくれ」
「わかりました」
私は、アンジと別れて、ガーベラの居る王宮に転移魔法で、移動した。
「ガーベラ、今、いいかな?」
「何、いいわよ」
「アータキ国の都市コーリマにテラ・ワールドの支店を出したのだけど、同時に、この国の官吏を募集している」
「分かったわ。優秀な人材が集まると嬉しいわ」
「そうだね」
「私にできることがあったら、言ってね」
「そうだね。最終面接はお願いするよ」
「それぐらい、任せてよ」
私は、ガーベラを後ろから、抱きしめた。色々と苦労を掛けているのを少しは、労いたいと思った。
「どうしたなの? 今日は、優しいのね」
「あれ、いつも、優しいよ。ガーベラは、特別だよ」
「それって、皆に言っていない?」
「何、疑っているの? ガーベラ、だけだよ」
「本当なら、嬉しいけどね」
「本当だよ」
私は、優しく、頭を撫でながら、唇を重ねた。このまま、ベッドに行きたかったが、仕事が残っているみたいだから、遠慮した。
「少し、仕事が残っているので、片づけてから、また、来るよ」
「はい、私もそれまでに、仕事を終わらせておくね」
「バイバイ。後でね」
「はい、バイバイ」
私は、ガーベラと別れてから、珍しく、ミューから、思念伝達で、連絡が入った。
「ムーン、少し、動きがあったわ。第1皇子が、第2皇子を攻撃したの。でも、命を奪うことは出来なかったようで、第2皇子は、他国に逃げたようよ」
「どこの国に逃げたか、調べて欲しい」
「いいわよ。これで、カタリナが王位継承権の第1位確定ね」
「そうなら、いいけど、まだ、残党が残っているだろうから、用心してくれ」
「それくらい、分かるわ」
「それじゃ、頼む」
私は、ミューとの思念伝達を切った。これで、いよいよ、カタリナとの結婚発表を早めないといけなくなった。でも、まだまだ子供のカタリナをどうやって、納得させたらいいのか?
今の私には、よくわからない。まあ、今日は、すべて忘れて、ガーベラとの時間を楽しむことにした。私は、転移魔法で、ガーベラの王宮の部屋に移動した。
そして、ガーベラを抱き上げて、ベッドまで、運んで行った。そして、お互いを求め合った。ガーベラのふくよかな身体が、私を包んでいく。私は、ラベンダーの匂いを確認しながら、そっと、唇を重ねた。
「好きだよ。ガーベラ」
「私も、好きよ」
私は、ガーベラを幸せにしたいと、今更のように思いながら、ガーベラを抱きしめた。