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194.ガーベラの望み

 私は、久しぶりにガーベラに会いに、王宮の自分の部屋に転移魔法で、移動した。それから、隣の部屋にいるガーベラに声を掛けることにした。


 「コン、コン。ムーンだけど、今いいかな?」


 「あら、久しぶりね。私の事を避けていたでしょ」


 「そんなことはないよ。少し、忙しかったんだよ」


 「余り、聞いたことがなかったけど、ムーンは、何をしているの?」


 「世界征服だよ。それの、第1段階だね」


 「本気で、言っているの?世界征服って」


 「本気だよ。もうすぐ、ヘノイ王国は、僕の物になるよ。それに、魔大陸もほぼ、支配出来ているよ。ミヤーコ王国の経済は、すでの牛耳っているし」


 「それって、本当のことなの?」


 「本当だよ」


 「テラ・ワールドだけだと思っていたわ。それでも、凄いことだけど」


 「この国だって、ガーベラの物だろう?」


 「まあ、そういってもいいわね。すべて、私が采配しているからね」


 私は、ガーベラの腰を抱き、軽くキスをした。


 「ガーベラは、再婚しないの?」


 「誰とするの?ムーンとするの?」


 「僕は、構わないけど、テラjrがどう思うかだね」


 「それに、ムーンには、カタリナがいるでしょ。まだ、公表していないみたいだけど。何故?」


 「うーん、いつ、公表してもいいんだけどね。カタリナがまだ一人が良いって」


 「まだ、11才だからね。遊びたいのかな?」


 「いや、王子様を待って居るみたいなんだ」


 「王子様って、本気で、待って居るの?それって、危なくない?」


 「えっ、危ないって、どういうこと?」


 「ちょっと、変わっているねって、そういうこと」


 「確かに、変わっているね」


 「今日は、私に、何か、用事があったの?」


 「実は、ガーベラの機嫌を取りに来たんだよ」


 「まぁ、嬉しい。そしたら、今日は、私だけのムーンでいいのね」


 「そうだよ。何でも言ってくれ。希望を叶えるよ」


 「そうね。今日は、ここで、泊って行ってね」


 「そんなことでいいの?」

 

 「今は、それだけでいいわ。でも、次は、こんなに待たないわよ。分かっている?」


 「うん。忙しくても、夜は、ここで、寝るよ」


 「そうしてね」


 私は、ゆっくりとした時間をガーベラと共に過ごした。慌ててする仕事は特に無くなった。後は、時間が解決してくれるだろう。


 翌日、私は、ショーバェの研究所に転移魔法で、移動した。


 「お早う。ショーバェに確認したいことがあって、来たのだけど。今、時間はいいかな?」


 「はい、少しなら、大丈夫です」


 「実は、アンチ・ビオテス(抗生物質)の研究のまとめを欲しいんだ」


 「はい、それは、こちらにあります」


 私は、ショーバェから、アンチ・ビオテス(抗生物質)の研究のまとめを受け取った。


 「現在は、何種類確認できている?」


 「確か、7種類ですね。ここでも、実際に作ってみました」


 「そうか。それで、大量生産できるものは、あるのかな?」


 「いいえ、まだ、どれも、研究室段階で、大量生産は、想定外ですね」


 「大量生産の可能性があるのは、どれかな?」


 「そうですね。ペニシリンですね。アオカビから作ることが出来ます」


 「どこかが、それの大量生産を目指しているのかな?」


 「いえ、まだです。ペニシリン自体の効果もまだこれからですから。それに、研究室段階ですら、安定して、作成できていません。でも、発酵技術で、何とかなりそうです」


 「ショーバェは、そちらに、興味はあるのか?」


 「ええ、ありますよ。大量生産できれば、いいと思っています」


 「それなら、資金を出すから、研究を初めてくれないかなぁ」


 「いいですよ。リンドウの研究は、時間が掛かりますから、その合間に、並行して、研究します」


 「それなら、今の研究所の更に下に、工場を創るよ。それなら、移動に時間が掛からなくていいだろう。それと、それ用に助手を雇うよ。10人ほどで、いいかな?」


 「はい、ありがとうございます。早速、始めます」


 「よろしく」


 私は、早速、地下の工場を作った。そして、リンダに10人の助手を雇うように、連絡を入れた。


 それと、発酵用のタンクも複数用意した。


 私は、夜も更けて来たので、ガーベラの所に、転移魔法で、移動した。今は、ガーベラの部屋の中に転移用の魔法陣を描いている。


 「ガーベラ、遅くなった」


 「ちょうどよかったわ。これから、食事に出かける所よ。一緒に行きましょう」


 「いいよ。何を食べるのかな?」


 「そうね。今日は、肉がたべたいな。ステーキにする?」


 「いいよ。ステーキは、久しぶりだね」


 私達は、レストランで個室を用意して貰った。


 「ここなら、静かに、食事ができるわね」


 「そうだね。ガーベラは、今、何をしているの?」


 「特に、何って、言うことは無くなっているわ。レンゲーも居るし、ほとんどが、事務仕事になっているわ」


 「誰か、雇わないの?」


 「そうね。雇ってもいいけど、優秀な人って、余りいないのよ」


 「前みたいに、募集したらどうかな?」


 「うーん、でも、ほとんど、集めてしまったのじゃない?」


 「いいや、そうでもないよ。それなら、他国の国民を引き抜こうかな?」


 「それもいいわね。どこの国にする?」


 「アータキ国は、どうかな?あそこの国には、まだ、何も手を付けていないんだ。だから、人材位は、引き抜いておきたいね」


 「わかったわ。面談は、私の方でやるわ。ムーンは、人を集めて来てね」


 「いいよ。任せてくれ」


 私達は、食事を楽しんだ後、王宮で、一緒に休息を取った。

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