表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
193/261

192.リンダからの報告

 ショーバェから遠隔通話器(テレ・ボイス)で報告が入った。ついに、完成したらしい。私は、急いで、ショーバェの研究所に転移魔法で、移動した。


 「久しぶりです。ショーバェ、完成したって、本当か?」


 「はい、安定して、ESチェユラ(ES細胞)から精子を作ることが出来ました」


 「それなら、人間の場合でも、作ることが出来るのか?」


 「えっ、人間ですか? 技術的には、可能ですが、実験は、出来ませんよ」


 「何故かな?」


 「倫理上の問題です」


 「ところで、それは、受精卵を利用した方法かな?」


 「そうです。今は、受精卵を用いています。これから、卵子に通常の細胞の核を移植して、ESチェユラ(ES細胞)を安定的に作れるようにしていきます」


 「現在は、どの程度、進んでいるの?」


 「まだ、10%ぐらいですね。これを、50%以上に高めたいと思っています」


 「そうか、頑張ってくれ。それから、何か、必要な物はないか?」


 「できれば、助手を3人ぐらい雇いたいのですが、よろしいでしょうか」


 「いいよ。でも、当ては、あるのか?」


 「そうですね。出来れば、若い子がいいです。それなら、指導できますから。10才までで、お願いできませんか?」


 「わかった。探しておくよ。それ以外は、どうかな? 生活面では、不自由していないか? 例えば、食事や掃除などを誰かに頼むこともできるよ」


 「そうですね。実験室は、私達で、やります。寝室や台所などの日常使っている場所の掃除や食事の用意は、誰かに頼めると助かります」


 「わかった、手配しておくよ」


 私は、ショーバェと別れて、ミューの部屋に移動した。


 「ミュー、元気だった?」


 「何よ、その挨拶。私は、いつも、元気よ。それから、あっちの方も、順調よ」


 「そうか。そろそろかな?」


 私は、ベッドのミューの横に寝転がって、話をした。

 

 「そうね。どちらから、始める?」


 「第1皇子から、お願いするよ。その方が、後々、うまくいきそうだ」


 「わかったわ。直ぐに、動くわ」


 私は、ミューの頭を撫でて、今後の計画の打ち合わせを行っていった。そろそろ、私の名前も前に出さないといけないみたいだ。取り敢えず、カタリナのパトロンと言うことにしておくことにした。


 ミュートの打ち合わせを終えて、私は、リンダに思念伝達で、連絡を取った。


 「リンダ、相談したいことがあるので、これから、そちらに行くよ。いいかな?」


 「ええ、いいわよ」


 私は、転移魔法で、リンダの居る本部に移動した。


 「リンダ、久しぶり。元気にしてた?」


 「あら、いつもと感じが違うのね。今日は、どうしたの?」


 「実は、ショーバェからの頼みで、身の回りの世話をする人と助手を探しているんだ」


 「分かったわ。私に、任せてくれる。探すわよ」


 「助手は、3人で、10才位までが良いそうだ。できれば、優秀な者を探して欲しい」


 「大丈夫よ。ムーン、疑っているの?」


 「そんなことは、ないよ。リンダの事は、信用しているよ」


 「あれ、今日は、いつものムーンと違うのね。なんだか、昔を思い出すわ」


 「そうかな? いつもと同じだよ」


 リンダは、私の横に来て、急に抱きしめた。そして、匂いを嗅ぎ始めた。


 「リンダ、何してるの?」


 「やっぱりね。昔の匂いがしているよ。ミューと会っていたでしょ」

 

 「えっ、ミューって、誰?」


 「あら、ムーンは、テラの後継者でしょ。なら、ミューについても聞いているはずよ。知らないなんて、可笑しいわ。それに、私も、ミューの住んでいる所を知っているのよ。ムーン、忘れたの?」


 しまった。うっかりしていた。ショーバェの両親を説得して貰うのに、リンダに世話になったのだった。その時に、屋敷を知られていたのだった。


 「テラからは、ミューの事を聞いていないよ」


 「本当?まあ、いいわ。そういうことにしておくわね」


 リンダは、私に抱き付いたまま、一向に離れようとはしない。私も、黙って、されるがままにしておいた。


 「ムーン、ちょっと、じっとしていてね」


 「はい」


 リンダは、私を押し倒して、ベッドまで、運んだ。そして、やさしくキスをして来た。


 「リンダ、どうしたの?」


 「ムーン、変ね。いつから、リンダって、呼び捨てにしているの?」


 「そうだった?前から、リンダって呼んでいたよ」

 

 「私をリンダって呼ぶのは、決まった人だけよ。家族扱いだからね」


 「そうだね。リンダは、僕にとって、家族と同じだよ」


 「分かったわ。家族と同じね」


 ついに、リンダと一線を越えてしまった。でも、リンダも、何か、気付いていたようだ。


 「ムーン、それとも、テラと呼んだ方がいい?」


 「僕は、ムーンだよ。テラでは、ないよ」


 「まあ、名前なんて、どうでもいいわよ。これで、私も、ムーンの家族ね。一緒に住む?」


 「それは、ちょっと、不味いよ」


 「どうして? 誰に遠慮する必要があるの?」


 「遠慮する必要はないけどね。僕が、少し、気不味いだけだよ」


 「誰の事を思い出しているの? ガーベラかな?」


 「どうして、ガーベラの名前が出てくるの?」


 「前の正妻だからよ。でも、テラjrは、レイカの子供だし、ムーンは、テラjrの何に当たるの?」


 「僕は、テラjrの後見人だよ。テラjrが大人になるまでお手伝いをするつもりだよ」


 「まあ、私は、何も困ることはないから、いいけどね。ムーンも、大変ね。色々と」


 私は、リンダには、正確な話をせずに、うやむやのまま、カタリナの住む城に転移魔法で、移動した。これからの事を、カタリナにも知って貰っておく必要がある。でも、どのように言えばいいのか、少し悩むところだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ