表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
192/261

191.カタリナの誕生日

 カタリナ付きの侍女キョーリンに聞いた所、カタリナは、城で、誕生日パーティーを行うつもりだ。だが、その準備は、特に何もしていないらしい。私は、キョーリンに、パーティーの準備を指示しておいた。


 案内状も出さずに、誰を呼ぶつもりなのか? それとも、2人だけのパーティーをしたいのか?


 私が、案内状を出せば、王位継承権第3位のカタリナと懇意になりたい思っている者達は、誕生日パーティーに参加するだろう。そして、この機会に、私は、カタリナの結婚相手として、正式に紹介されることにしても良いのでは、と思った。


 だが、カタリナの気持ちを確認しておかないと、今後の対応が難しくなる。そのため、これまで、噂すら、流していない。私とカタリナとの関係を知っている者は、ほどんどいない。

 

 だが、いずれ、正式な場所で発表しないといけないと、言うことも分かっている。


 仕方がないので、私は、カタリナに直接、話をすることにした。


 私は、転移魔法で、カタリナの部屋に移動した。そして、カタリナに声を掛けた。


 「カタリナ、お早う」


 「あら、ムーンさん、早いのね。今日は、何の用事?」


 「カタリナの誕生日パーティーのことだよ」


 「あれ、私に任せてくれるのじゃないの?」


 「そうだよ。カタリナに任せるよ。でも、カタリナが何も用意していないって聞いたから?」


 「ちゃんと、準備はしているわ」


 「それなら、誰を呼びたいのか、だけでも教えてよ」


 「私は、誰も呼ばないわ。来たい人が来ればいいの。私の誕生日を知っていて、誕生日を祝いたい人だけが来ればいいの」


 「カタリナ、そんなことを貴族がするわけがないじゃないか。招待されていないのに、来るわけがない。そんな失礼なことをする貴族はいないよ」


 「それなら、ムーンさん、貴方も出席しないの?」


 「もちろん、出席するよ。当たり前だ」


 「私の父も出席するわ。それで、いいの。でも、ご機嫌取りは、来てほしくないの」


 「分かった。それでいいよ」


 私も、諦めた。通常ではありえないが、カタリナの自由に任せることにした。


 いよいよ、誕生日パーティーの開始だ。会場にはすでに多くの侍女や執事が用意していた。


 だが、当然だが、誰も来なかった。カタリナは、本当に友達にも何も伝えていないようだ。それとも、友達自体いないのかも知れない。


 「カタリナ、あちらで、何か、食べないか?」


 「そうね。少し食べるわ」


 私達は、テーブルに並べられた料理を皿の少し取り、食べた。侍女から、飲み物を受け取って、飲み干した。


 「ダンスも、できるよ。カタリナ、踊って貰えますか?」


 「はい、ムーンさん。いいわよ」


 私達は、ホールの中央で、ダンスをした。


 「二人だけのダンスって、いいね」


 「そうかな? もう少し、賑やかなほうが良かったわ」


 「そうなのか。まあ、あとで、サプライズを用意しているよ」


 「あら、ムーンさんの誕生日プレゼントね。楽しみだわ」


 「カタリナは、今、何か、欲しいものはあるの?」


 「特にないわ」

 

 私は、ダンスを止めて、カタリナを抱きしめた。そして、額ににキスをして、侍女に合図を出した。


 奥の方から、大きなケーキが運ばれてきた。それと共に、誕生日の音楽が鳴り始めた。


 「カタリナ、誕生日おめでとう」


 「「カタリナ様、誕生日、おめでとうございます!」」


 私は、カタリナを抱き上げて、大きなケーキの前に移動した。そして、ナイフを渡して、ケーキを切って貰った。


 私は、ケーキを少し、掬って、カタリナに食べさせた。


 「おいしい」


 「良かった。喜んで貰えて」


 「これが、ムーンさんのサプライズなの?」


 「いいや、これからだよ」


 私は、土魔法で創った、真っ白なペガサスを動かして、ホールの中央に移動させた。


 「さあ、少し、散歩しよう」


 私は、カタリナをペガサスに乗せて、その後ろに私が乗り、手綱を取って、ペガサスを動かし始めた。土魔法でペガサスを動かしているだけだが、いかにも、生きているように、動かすことが出来た。


 「さあ、しっかりつかんで置いてね。行くよ」


 カタリナは、私の腰に抱き付いて来た。


 ペガサスの羽を羽ばたかせて、それと同時に風魔法で、下からの風で、ペガサスを浮き上がらせた。それと共に、私達を闇魔法で、結界で覆い、風を受けないようにした。


 更に、強い風で、城の上を旋回した。


 「私からの、誕生日プレゼントは、どうかな?」


 「凄いね。これって、ムーンさんの魔法なの?」


 「そうだよ。カタリナの為の、特別な魔法だよ」


 「うれしい」


 カタリナは、本当に喜んでいるようだ。私は、カタリナが落ちないように、お姫様抱っこをして、抱きしめた。


 「カタリナ、大好きだよ。カタリナは?」


 「私も、好きよ」


 「そうか、良かった」


 私達は、暫くの間、空の旅を楽しんでから、城の中庭に降りた。そして、空から、雪を降らせて、中庭を真っ白にしていった。


 「さあ、これが私の誕生日プレゼントだよ」


 「きれいね」


 何とか、無事にカタリナの誕生日パーティーは、終えることが出来た。でも、これから、どうしようか? 悩みが増えた感じがした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ