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181.竜人族

 私達は、第38階層で、やっと、敵らしい敵に遭遇することが出来た。それは、この上級ダンジョンで、魔物に指示を出しているリーダー格の魔物だ。小さな群れは、大蛇のナーガが指揮を執っている。


 この小さな群れは、リーダー格のナーガがレベル60程度なので、スピアの仲間に任せることにした。


 私とスピアは、これらのナーガに指示を出している竜人族を相手にすることにした。


 竜人族は、人間に姿を変えることができる厄介な魔物だ。そして、レベル75と他の魔物と比べるとレベルが高いが、私とスピアほどではない。ただ、非常に硬い鱗に覆われていることと、広範囲に魔力を帯びた火炎攻撃ができることが、注意しないといけない点だ。それと、竜人族は、知性が高い。そのため、様々な攻撃に素早く対応してくる。


 第45階層に竜人族の一人が居た。まず、周りの魔物を範囲攻撃で、倒すことにした。


 「炎嵐(ファイア・ストーム)


 連続で、攻撃を加えて、竜人族一人残して、他を討伐していった。


 「炎嵐(ファイア・ストーム)


 私は、スピアの背に乗って、移動しているので、ほとんどの敵の攻撃を避けることが出来ている。そして、光魔法で、結界を張っているので、全く、ダメージを負っていなかった。


 ついに、リーダー格の竜人族を除いて、魔王軍を殲滅した。


 「竜人族とは、初めてだ。」


 「人間、よく、ここまで、来たな。」


 「お前たちのリーダ―は、魔王か?」


 「ほう、それすら、知らないというのか。まあ、よい。私の名ぐらいは、教えてあげよう。冥途の土産になるだろう。私は、ルーブロマ・ドラコだ。赤の竜人と呼ばれている。」


 「なるほど。『赤の竜人』にふさわしい鱗の色だな。」


 上の階層で戦っていたスピアの仲間も、その戦いを終えて、この階層まで、降りて来た。スピアの仲間はすでに120人を超えていた。それらが、赤の竜人を取り囲んだ。


 「赤の竜人、降伏しないか?」


 「何をバカな!」


 「このダンジョンには、お前一人しかいない。我々と戦っても勝ち目はないだろう。」


 「確かに、だが、俺も、竜人族としてのプライドがある。降伏など、できない。」


 「無駄に、死ぬのか。お前たちの望みは何だ。最後に、聞かせてくれ。」


 「この世の平和だ。それ以外にないだろう。」


 「赤の竜人。それをお前が言うか!この戦いを仕掛けたのは、お前達だろう。」


 「お前こそ、何も知らないだろう。我々が、いかに虐げられてきたかを。」


 「どういうことだ。我々は、ソーロン帝国が攻められたと聞いて、ここまでやって来た。そうでは、ないのか?」


 「確かに、今は、ソーロン帝国との戦いをやっている。だが、周りを見たか?あの城壁を見たか?」


 「あの高い城壁が何の関係がある。お前達が攻めたから、建てたのじゃないのか?」


 「我々が、本当に攻めていたなら、あの城壁が造れるのか?そんな、余裕は、与えはしない。」


 「それでは、どういうことだ。」


 「共存を言い出したのは、ソーロン帝国だ。それが、あの城壁が出来たとたん、我々を襲い始めたのだ。我々の領土が欲しかったのだろう。この地には、豊富な地下資源があるからな。」


 私は、赤の竜人の言葉に反論が出来なかった。私でさえ、何故、ここに居るのか。確かに、ソーロン帝国が魔王軍に攻められているという情報で、動き出した。それは、事実だが、本当の狙いは、この魔大陸の支配だ。この土地を得るために攻めて来た。赤の竜人が、ソーロン帝国の事を言っていたが、全く同じことを私は、やっているのだ。


 「赤の竜人、私達は、真実がわかるまで、一旦、引き上げる。お前たちが、ソーロン帝国を攻めないと保証できるか?」


 「もし、ソーロン帝国が、我々を攻めてこないなら、我々も、戦うことはしない。だが、そうでないなら、最後まで、戦い抜く。」


 「わかった。それでは、ひとまず、引き上げる。」


 私達は、一斉に引き上げた。そして、思念伝達で、メルーロ達にも、港の基地まで、引き上げるように、指示をした。


 私は、スピアの仲間に港の基地で、休息をとって貰うことにした。そして、私は、メルーロ達と話し合いを持つことにした。


 「メルーロ、私は、誤った情報で、この戦いを始めてしまったようだ。本当の事を知りたい。」


 「ムーン、何を知りたいんだ。」


 「魔王は、復活しているのか?」


 「それは、はっきりとは、分からないが、噂だけだと思う。」


 「何故、そう思うの。」


 「我々が、ソーロン帝国の軍隊を脱走したことは、知っているな。」


 「はい、知っています。軍の上層部が、軍だけでなく、国さえも牛耳っていたからと聞いています。」


 「その通りだ。そして、軍を支配するために、魔王の復活を唱え始めたのだ。それは、国民が信じればよいだけだ。本当に、魔王が復活していようが、いまいが、関係がない。」


 「どういうことだ。魔王の復活は、軍が流した噂なのか?」


 「その通り。軍は、資金が欲しかっただけだ。そのためには、何でもやった。あの城壁も、必要だったからではない。あの城壁を作るために多額の資金が流れていく。その大半を軍の上層部が奪ったのだ。しかも、その資金は、ソーロン帝国だけのものではない。他国からも支援を受けていた。」


 「そんな。それでは、私がやったことは、軍の上層部の手伝いか。」


 「そうかもしれない。だが、争いを終わらすのには、必要な事だったかもしれない。」


 私は、愕然とした。もとから、自分勝手な所はあるが、それなりに、大儀があると思っていた。


 これからについては、再度、計画を立て直す必要を感じていた。

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