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178.リンダからの連絡

 リンダから、思念伝達で、連絡が入った。ショーバェが魔法顕微鏡を利用している研究者からの報告書の整理が終わったらしい。


 私は、直ぐに、リンダのいる本部に転移魔法で、移動した。


 「リンダさん、連絡ありがとう。」


 「ムーン、早かったわね。そんなに、大事な事なの?」


 「そうだよ。私の今後の生活が懸かっているんだ。」


 「ふーん、まあ、いいわ。私には、分からないから。ショーバェ、おいで。」


 「はい、リンダさん。今、行きます。」


 ショーバェは、沢山の資料を台車に乗せて、押してきた。


 「ショーバェ、ご苦労さん。大変だったね。」


 「いえ、これまでに、やっておかないといけなかったです。言われないと出来ないって、私も、まだまだです。」


 「ショーバェは、いくつになるの?」


 「私ですか?15才になった所です。」


 「そうか、それなら、十分だよ。15才で、こんな難しい内容を整理できるなんて。自慢してもいいよ。」


 「そうですか。ムーンさん、ありがとうございます。」


 ショーバェは、嬉しそうに笑っている。こんな顔もするんだ、って、不思議に気分になった。いつも、真面目そうで、堅苦しい雰囲気だったのに。


 「私も、すべてに目を通したらいいのだけど、時間がない。すまないが、もう少し付き合って貰えないか?」


 「はい、いいです。何でも訊いてください。」


 「まず、これまで、見ることが出来なかった生物について、書かれていたかなぁ。」


 「はい、それは、かなりありました。それで、病気の原因がはっきり分かったものもあります。」


 「それでは、その病気に原因を殺すようなものは、書かれていたかなぁ?」


 「はい、一つありました。でも、それを大量生産することは出来ていないようです。」


 「その資料を抜き出して置いて貰えるかな。」


 「はい、分かりました。」


 ショーバェは、早速、資料を積み上げた報告書の束の中から、抜き出している。本当に、すべて、読んでいるんだ。この子は、すごい。私は、改めて、感心してしまった。


 「それじゃ、生殖に関することは何か、無かったかな?」


 「あの、すみません。生殖と言うのが分からないのですが?」


 「そうか。知らなかったのか。生殖というのは、親から子供が生まれることを言うんだよ。ショーバェも、この生殖によって、この世に生まれて来たんだ。」


 「そうですか。分かりました。それについては、書かれているのですが、どの動物の事でしょうか?」


 「しまった。すこし、誤解させてしまったようだね。生殖は、動物でなくてもいいんだ。さっきの病気に原因の小さな生き物も、生殖で増えていくことが出来るんだ。」


 少し、おおざっぱな説明だけど、私が欲しい資料は得られそうだ。まあ、今は、仕方がないと思う。


 「あぁ、あります。その病気の原因の物を増やす研究がありました。それも、出しますね。」


 ショーバェは、素早く、資料を出した。


 「あと、人間のような子供の生み方をする動物の生殖について書かれたものは、あるかな?」


 「あります。少し、変わった研究がありました。もとの動物とそっくり同じ動物を創るというものです。たしか、先ほどの両親から生まれてくるのとは、違うのですが、いいですか?」


 「ほぉ、そんな研究があるのか。その資料だけでなく、その人が報告した資料をすべて出して貰えないか。時間が掛かってもいいから。」


 「分かりました。」


 ショーバェは、頑張って、資料を出している。でも、時間が掛かりそうだ。


 「リンダさん、ショーバェを預かってもいいかな。」


 「どうするの?」


 「私の城に連れて帰って、研究を手伝って貰いたいんだ。」


 「そうね。いいわよ。でも、まだ、研究報告は送られてくるので、そっちに送ってもいいかな?」


 「それは、ショーバェに引き継がせるよ。いいかな?」


 「それなら、いいわ。ショーバェ、これから、ムーンの所で、仕事をしてもらうね。」


 「リンダさん、ショーバェは、通いか?それとも、住み込み?」


 「えーと、ショーバェ、貴方、どこに住んでた?」


 「私は、近くの両親の家から、通っています。」


 「それじゃ、両親にこれから、住み込みで働くって、了解を貰ってちょうだい。」


 リンダは、私の城の場所を書いて、ショーバェに渡した。


 「ムーン、用意が出来たら、そちらに送るよ。」


 「わかった。お願いします。」


 私は、リンダ、ショーバェと別れを告げて、自分の城に転移魔法で、移動した。そして、地下2階に降りて行った。ここには、結界を作っている。地下に降りることが出来るのは、テラ・ワールドの従業員などの私の認めた者だけだ。そして、地下3階より、下に降りることができるのは、ガーベラなどの更に少数の者だけだ。


 しかし、このショーバェは、これからつくる研究施設に行ける様に、結界を調整した。


 そして、地下3階に微生物の研究施設をつくり、必要な装置を並べて行った。あの魔法顕微鏡も複数台並べておいた。そして、ショーバェが、簡易に寝泊りが出来る様に部屋を作った。これで、ショーバェの受け入れ態勢は整った。


 次に、街に転移魔法で移動して、ナターシャやガーベラにも内緒で、屋敷を一つ買い取った。ここに、ミューを住まわせる。私は、屋敷全体に闇魔法で結界を張って、外からの侵入に備えた。更に、監視用の魔法陣を至る所に描き、闇魔法で隠蔽した。そして、最後に、地下を増設した。ここに、私直属の部隊が潜むことが出来る様に、部屋を設けた。およそ200名が生活できるような空間を作った。いまは、まだ、40名ほどだが、これから、増やしていく予定だ。


 これで、ミューを連れて来れる。私は、転移魔法で、ミューの部屋に行き、更に暗示を掛けて、先ほどの屋敷に連れて来た。この屋敷がもともと自分だけの屋敷であったかのように、思い込ませた。


 今日は、ミューと一晩過ごすことにした。新しい部屋で、新しい経験をしてみたくなった。

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