表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
175/261

174.ガーベラの無理な願い

 ガーベラの部屋で、一晩中、慰めていた。しかし、ガーベラの怒りは、収まらなかった。最後には、泣き出してしまった。


 私は、泣かれると弱い。何とかしてやりたくなってしまった。でも、どうする?また、転生するの?そうすると、今度は、レイカに泣かれそうだ。


 暫くは、ガーベラを放っておこう。時間が解決してくれるだろう。


 私は、ふいに、昔の実験の事を思い出した。そこで、確認のために、リンダに思念伝達で、連絡を入れた。


 「リンダさん、こんにちは、ムーンです。今、いいですか?」


 「少しなら、いいわ。何?」


 「昔の事ですが、テラが魔法顕微鏡を創ったことがありましたね。」


 「うーん、それって何?」


 「小さな物を見るための物です。研究者に100台無償で、配布しませんでしたか?」


 「あーあ、あれね。何か分からないけど、送ったよ。」


 「あの時、契約で、何か義務付けていませんでしたか。」


 「ちょっと、待ってね。書類を見てみるよ。かなり古いものだね。」


 暫くして、リンダから、報告があった。


 「ムーン、見つかったよ。条件は、他の人に貸さないということと、研究結果をテラ・ワールドに報告することね。」


 「そうですか。それで、その研究結果は、どうなっていますか?」


 「ちょっと、待ってね。これ、私、内容が分からないから、他の人に丸投げしているのよ。ちょっと、係を呼ぶから、待ってね。」


 暫くして、係から、分厚い書類の束を預かったようだ。


 「あったわ。凄い量ね。これ、どうするの?」


 「私が、読みたいので、そちらに取りに行きます。その時に、係の人も紹介してください。」


 「それで、いつ来るの?」


 「これから、すぐに行きます。」


 私は、リンダとの思念伝達を切って、すぐに転移魔法で、リンダの居る本店に移動した。


 「リンダさん、来ました。紹介をお願い致します。」


 リンダは、部下のショーバェを呼んだ。


 「ショーバェ、こちらが、テラの後継者のムーンよ。よく覚えておいてね。」


 「はい、リンダ。初めまして、ショーバェといいます。よろしくお願いいたします。」


 「私が、テラの後継者のムーンです。こちらこそ、よろしくお願いいたします。」


 リンダは、分厚い報告書を何冊も机の上に置いていた。早速は、私は、ショーバェに質問した。


 「ショーバェさんは、この報告書を読んでいますか?そして、内容を理解できていますか?」


 「はい、リンダに言われて、読んでいます。でも、理解しているかと言われると、自信がないです。」


 「わかりました。少し、お手伝いして貰っていいですか?」


 「はい、構いません。何をしたらいいのですか?」


 「報告書のタイトルと報告者を一覧表にして貰いたいのです。それと、それが、どこにあるかが分かるとありがたいです。」


 「分かりました。少し、お時間を頂きますが、いいですか?」


 「結構です。完成したら、リンダに報告してください。お願いいたします。」


 私は、リンダに挨拶をしてから、自分の城に転移魔法で、戻った。


 「コーリア殿、只今戻りました。」


 「おぉ、ムーン、戻ったか。以前、頼まれていたことだが、嫁の候補が見つかったぞ。前にも言ったように、没落した王族の末裔と言うことだが、本当に、良いのだな。」


 「はい、王族であれば、結構です。それで、相手は、誰ですか?」


 「それは、前国王の弟のエドの一人娘のカタリナだ。まだ、10才だが、結婚を了承して貰えた。ただ、多額の借金をしている。それを支払うことが条件だ。」


 「それでは、その話を進めてください。ただし、結婚式はしません。よろしいですか?」


 「それは、その方が良いだろう。相手は、国王になろうとして、失敗している。だから、大ぴらにするのは、遠慮するだろう。」


 「はい、分かりました。新居は、今住んでいる城にします。早速、迎えに行きたいと思います。ご一緒して貰えますか?」


 「もちろんだとも。」


 私達は、すぐに、馬車を用意して、カタリナを迎えに出発した。エドの屋敷は、ヘノイ王国の北端の街だった。街というより、村に近いもので、そこの領主と言うことに一応なっている。


 私は、ナターシャに思念伝達で、連絡を取って、エドの借金の返済と、当面の資金を渡しておくように指示をしていた。


 「結構遠いですね。」


 「そうだね。ムーンは、忙しそうだが、大丈夫か。往復に1週間は掛かるよ。」


 「大丈夫です。仕事は、部下が滞りなくこなしていますから。」


 「それなら、いいな。」


 「はい。時間が掛かっても、大丈夫です。」


 私達は、漸く、エドの屋敷に着いた。屋敷は、寂れており、すでに、執事や侍女にも暇を出しているようだ。私は、思念伝達で、ナターシャに連絡をとり、エドの屋敷に必要な執事と侍女を雇うように指示をした。


 「これは、これは、フットーヒ侯爵ではないですか。」


 「エド殿、コーリアと呼んでください。これからは、親戚付きあいになるのですから。」


 「そうですか、それなら、私をエドと呼んでください。そちらの方が、ムーンですか?」


 「はい、私が、ムーンです。よろしく、お願いします。」


 「それでは、応接室に行きましょうか。カタリナを待たせています。」


 「分かりました。」


 私達は、応接室で、カタリナを紹介された。その足で、馬車に乗り、帰路に就いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ