表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
166/261

165.ガーベラ宰相の追及

 サルビアの件は、暫く様子を見ることにした。サルビアの侍女がカネーダの回し者だということも、サルビアには内緒にしている。


 特に、何をしてくるか分からないが、対処できそうなので、余計な心配をさせたくなかった。


 私は、フットーヒ侯爵の屋敷に転移魔法で移動した。私も、このフットーヒ侯爵の家の子供だ。


 「只今、帰りました」


 「ムーン、おかえり。部屋に案内します」


 フットーヒ侯爵自ら、部屋を案内してくれるという。そういえば、この屋敷では、まだ、侍女や執事を見ていなかった。ひょっとして、居ないのかもしれない。


 「変なことをお聞きして、申し訳ないのですが、執事や侍女はいないのですか?」


 「お恥ずかしい、限りですが、今は、いません。少し前に、全員解雇しました。私の家が破産したので、やむを得なかったのです」


 「そうですか。それでは、お金のことは、気にしなくていいので、以前使えていた執事や侍女を全員雇いなおしてください。給料は、5割増しでいいですよ」


 「分かりました。早速、手配します。どうも、ありがとうございます」


 私は、ナターシャに思念伝達で、連絡を取った。


 「ナターシャ、ムーンだけど。今いいかな?」


 「はい、大丈夫です」


 「フットーヒ侯爵のことだけど、以前勤めていた執事や侍女を雇いなおすことにした。ついては、必要な費用をフットーヒ侯爵に渡して欲しんだ。いいかな」


 「分かりました。早速、用意しておきます」


 「それから、その他の『金喰虫』に掛かっている貴族を探して欲しいんだ。それらの患者も治しておいて、情報を得たいから」


 「分かりました。リストアップして、送りますね」


 「いや、取りに行くよ。ナターシャの顔も見たいからね」


 「はい、分かりました。用意出来次第、連絡します」


 「よろしく」


 私は、思念伝達を切った。それから、ガーベラ宰相に思念伝達で、連絡を取った。


 「ガーベラ宰相ですか。ムーンです」


 「あら、久しぶりね。どうしたの?」


 「実は、例の下水道の状態を知りたくて、連絡を入れました」


 「下水道の何を知りたいの? あれは、完成したよ。それを気にしていたの?」


 「いえ、その後の事が気になったのです」


 「それは、どういうこと?」


 「一つは、無事運用できているのかということです。最終的には、港に処理済みの水を流していますが、しっかりと処理されているのかどうか。それと、肥料を作っていますが、それの販売が順調かどうかです」


 「ええ、どちらも、順調に運営出来ているわ。大丈夫よ。肥料も、イーキ王国でよく売れているよ。今では、ポーションをに次ぐ、テラ・ワールドの主力商品になっているよ」


 「分かりました。それを聞いて安心しました」


 「それじゃ、失礼します」


 「ちょっと、待って」


 「えっ、どうしたのですか?」


 「一度、こっちに来てほしいのだけど、いいかな?」


 「はい、何時伺いましょう」


 「今すぐは? どうかな?」


 「私は、構いませんが、どちらに伺えばいいでしょうか?」


 「王宮の私の部屋に来てくれる」


 「はい、分かりました」


 私は、急いで、転移魔法で、王宮のガーベラ宰相の部屋に移動した。


 「コン、コン。失礼します」


 私は、ガーベラ宰相の部屋に入っていった。


 「早かったわね」


 「はい、急いで来ました」


 「何か、ありましたか?」


 「もっと、気楽に話してくれていいわよ」


 「えっ、でも、宰相ですから」


 「あなた、本当にテラの後継者なの?」


 「はい、そうです。スピアと一緒に挨拶に来ましたよ」


 「そうね。それがおかしいの」


 ガーベラは、何か、探りを入れているようだ。少し、慎重にしないといけないかも。


 「あなた、リンダとどんな話をしたの?」


 「いつの事ですか?」


 「オリハルコンの盾を納入したときのことよ」


 「それが、どうしたのですか?」


 「あの盾は、どうしたの? 誰に習ったの?」


 「テラに、教えて貰いました」


 「そんな時間があったの? テラに教えてもらう時間があったの?」


 「急に、どうしたのですか?」


 「あなたの事を調べたのだけど、出生記録がないのよ。ムーンって名前がないのよ」


 「私は、別の国で生まれたからでしょう。それに、孤児だったから。テラに拾って貰ったのです」


 「ふうん。そう言うか」


 ガーベラは、急に私の目の前に来た。そして、抱き付いた。私は、ガーベラの好きに任せた。


 「やっぱりね。私を避けようとしないのね」


 「ガーベラ宰相には、逆らえません」


 「そうね。テラの弟子なら、どう言うかな? 考えてみて」


 「えっ、どういう意味ですか?」


 「ほらね。やっぱり、そうなのね。でも、どうやったの?」


 「何のことか、分かりません」


 「テラの弟子なら、テラが第一でしょ。尊敬しているのじゃないの?」


 「その通りです。私は、テラを尊敬しています。だから、ガーベラ宰相も大切にしています」


 「テラの妻に手を出してもいいの?」


 「私は、手を出していません。何も、していません」


 「だからよ。もし、本当に弟子なら、私を撥ね退けるわ」


 参った、これは、何を言ってもだめなようだ。すでに、結論を持っているようだ。でも、リンダから、何か、聞いたのかなぁ。リンダの名前だけで、動揺してしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ