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164.謎の老人

 私が、小さな部屋だと思っていた場所は、カネーダの屋敷の書斎だった。そして、あの見たことがある老人は、何と、カネーダだった。何故、このような力を持っているのか。


 おそらく、カネーダだけの力ではないだろう。闇魔法に詳しい者の知恵で成し遂げられたのだろう。


 場所も、相手も特定できたので、一旦、戻る事にした。私は、転移魔法で、サルビアの屋敷に移動した。そして、窓から、サルビアの部屋に入っていった。


 「サルビアさん、戻りました」


 「ご苦労様です。何か、分かりましたか?」


 「いいえ、残念ながら、何の痕跡も残っていませんでした」


 私は、部屋の中を見て回った。部屋の中には、サルビアとその両親、それから、主治医とバーケン子爵がいた。また、スキル鑑定で、部屋の中を調べてみた。しかし、部屋の中は、あの屋敷のような物は仕掛けられていなかった。


 「残念ね。私が、もう少し、思い出せたらいいのだけど」


 私は、思念伝達で、サルビアに話しかけた。


 「突然、すみません。驚かないでください。これは、思念伝達で、頭の中で話すと、普通に話しているように、相手に伝わります。分かったら、右手をほほに当ててください」


 サルビアは、指示されたように、右手をほほに当てた。


 「結構です。先ほど、言ったことは、嘘です。何も分からなかったというのは、嘘です。

 敵の名前は、カネーダです」


 「えっ。あのカネーダですって。でも、もう昔のことですよ。借金も返したし」


 「でも、恨んでいるようですね。それも、こんなことをするほどですから」


 「そうなのですね。人の考えることは、分からない物ですね」


 「ところで、私が、サルビアが訪問したという屋敷に行くと言ったときに、今いる人以外に誰か、居ましたか?」


 「いいえ、今と同じです。他に、いません」


 「そうですか? 侍女もいませんでしたか?」


 「それは、わかりません。定かではありません」


 「それでは、貴方の専属の侍女をここに呼んでください」


 「はい、分かりました」


 私は、思念伝達を切った。


 「お母さま、すみませんが、私の看病をしていた侍女を呼んでくれませんか?」


 「どうしたの? まだ、具合が悪いの。治ったのでは、無いの?」


 「いえ、身体の方は、もう、全快です。すっかり、治りました。このムーンさんのおかげです」


 「それでは、何か、飲みたいの?」


 「そうですね。皆さんに、お茶でも差し上げたいのです」


 「そうですね。それでは、応接室に行きましょうか」


 私は、サルビアに合図を送った。


 「はい、お母さま、そうしましょう」


 私達は、1階に降りて行き、応接室に入った。


 私は、再び、思念伝達で、サルビアに連絡を取った。


 「一つ、聞きたいことがあるのですが、この家の借金はすべて返したのですか?」


 「はい、返しました」


 「その時に、何か、トラブルはありませんでしたか?」


 「特には、聞いていませんが、バーケン子爵が驚いていたようです。そんなお金があったのかと」


 「もう一つ、いいですか?」


 「何でしょうか?」


 「主治医は、信用できる人ですか?つまり、医師として、力はありますか?」


 「それは、無理ですね。普通の医師です。魔法も、うまく使えません」


 「最後に、サルビアにとって、信用できる医師は、居ますか?」


 「今は、いません。以前は、テラが信用できる医師でした」


 「分かりました」


 私は、思念伝達を切った。ちょうど、侍女がお茶を運んできた。私は、スキル鑑定で、侍女を調べた。すると、闇魔法の神具を持っていることが分かった。多分、それで、カネーダと連絡を取っていたのだろう。


 「サルビア、この侍女を暫くお借りしてもいいですか?」


 「侍女が何か、粗相をしましたか?」


 「いえ、洗面所を案内して貰いたいのです」


 「さあ、ここはいいから、ムーンさんを案内してあげて」


 「はい、サルビアさま」


 私は、侍女の後ろから、洗面所に向かった。


 「ムーンさま、ここです。それでは、私は、ここで、失礼します」


 私は、侍女の腕を掴み、そのまま、洗面所の中に引きずっていった。


 「ムーンさま、何をなさいます。お許しください」


 「黙って、言うことを聞け」


 私は、洗面所の中で、侍女の腕と足を土魔法で拘束した。


 「さて、誰に頼まれた?」


 私は、侍女の身体を調べていった。先ほど、スキル鑑定で見つけた神具を探した。


 「黙ったままか。私は、この屋敷の者のように優しくはないぞ。それに、非常に短気なんだ」


 私は、も一度、スキル鑑定で、神具のありかを調べた。すると、侍女の首に掛かっているネックレスについているブローチが反応した。


 「これか。誰に貰った?」


 私は、首からぶら下っているネックレスを引きちぎった。


 「痛いわ。ムーン、私が欲しいの? だったら、別の部屋でしましょうか」


 私は、取り上げたネックレスについているブローチを調べた。ブローチの裏には、闇魔法で結界が施してあった。まず、光魔法で、解呪(ディスペル)を唱えて、結界を解除した。すると、魔法陣が現れた。その魔方陣は、音声のみを一方的に流すものだった。


 私は、侍女の豊かな胸の谷間に右手を差し込み、乳を揉み始めた。


 「ムーン、ここでは、だめよ。他の人が来ます」


 こんどは、侍女の後ろに回って、両方の手で、両方の胸を揉み始めた。


 「だから、だめって、言っているでしょ」


 わたしは、わざとブローチを落として、足で踏み潰した。魔法陣が機能していない事を確認した。


 「まあ、いいか」


 最後に、もう一度、胸を揉んだやった。やわらくて、気持ちがよかった。


 私は、土魔法で、拘束していた物を消滅させて、侍女を自由にしてやった。


 「俺の所で、働くか?」


 「だめよ。殺される」


 「俺の事か?お前の事か?」


 「二人ともよ。怖い人なんだから」


 「そうか、俺より怖い人なんか、いないけどな。まあ、好きにすればいいよ」


 私は、サルビアに挨拶して、自分の家に戻った。

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