158.テラの後継者
私は、地下牢前の工房に転移魔法で移動した。このまま、魔法で、テラ以外に見える様にしていてもいいのだが、テラが死んでしまったと思っている部下に、何時までも、誤魔化した状態では居れない。
そこで、もう一体土人形を作ることにした。それを、テラの後継者として、紹介することにした。
「年齢は、少し、上がいいかなぁ。リンダと同じぐらいの22才位で、やっぱり、人間族かなぁ。」
私は、気に入るまで色々と考えながら、作り上げた。
「そうだ、名前を付けないといけないね。今回は、ムーンにしよう。」
私は、スピアに思念伝達で、連絡を取った。
「スピア、テラだよ。ちょっと、地下牢前の工房に来てくれる?」
「いいよ。すぐ行くよ。」
スピアは、転移用魔法陣で移動してきた。
「テラ、お待たせ。」
「スピア、この土人形は、どう思う。」
「これ、テラの新しい身体になるの?」
「そうだよ。だめかな?」
「一気に大人だね。でも、いいよ。」
「そうか。この土人形をムーンと名前を付けたよ。スピアも、覚えてね。テラって、言ったらだめだよ。」
「うん。分かった。」
私は、早速、新しい土人形をに魂の刻印用の魔法陣を描いて起動した。そして、以前の土人形をガラスのケースの中に入れて保管した。
「スピア、どうかな?」
「うん、ムーンいいよ。」
「おっ、スピア、偉い。」
「それじゃ、一緒に来てくれる?」
私は、スピアを伴って、これまで、テラの元で働いていた人々にムーンを紹介することにした。
まず、最初は、リンダだね。私は、スピアを抱きかかえて、転移魔法で、リンダの部屋に移動した。
「こんにちわ。リンダさんですか?」
「あら、スピア、久しぶりね。」
スピアは、リンダに会って、喜んでいる。ふさふさの尻尾を振っている。
「突然押し掛けて、すみません。私は、テラさんのもとで、仕事を手伝っていた、ムーンと言います。今後は、テラさんの仕事を引き継いでいきますので、よろしくご指導ください。」
「はい、私は、リンダといいます。テラの相棒みたいなものね。」
「リンダ、またね。バイバイ。」
「今日は、顔合わせと言うことで、これで失礼します。」
私は、スピアの腰を抱き、王宮の私の部屋に転移魔法で移動した。
「コン、コン。すみません。ガーベラさんは、ご在宅ですか?」
「はい、居ます。どうぞ。」
私とスピアは、ガーベラの部屋に入って行った。
「私は、テラの手伝いをしていました。ムーンと言います。よろしく、お願いします。」
「あら、スピアも一緒に、来たの?
私は、ガーベラと言います。この国の宰相をしています。よろしく。」
「今後は、テラの仕事の引継ぎをしていきます。よろしく、ご指導ください。」
「はい。よろしく。」
ガーベラは、少し不審がっていた。テラから、ムーンについては、聞いたことがなかったからだ。ただ、スピアが、一緒に来たので、少しは、安心した。スピアが、全く知らない人と一緒に行動することはあり得ないからだ。
私とスピアは、ガーベラの部屋を出て、次に、魔法学院に転移魔法で移動した。
ここで、シルバ学院長に会う予定だ。
「コン、コン。失礼します。」
「急に、尋ねて来てすみません。私は、テラさんの仕事の手伝いをしていたムーンと言います。
今後とも、よろしくお願いいたします。」
「初耳ね。ムーンって、聞いたことないよ。スピア、知っている人?」
「うん。よく知っている人。テラ、安心。」
「なら、いいわ。こちらこそ、よろしくお願いいたします。ところで、ムーンは、魔法は使える?」
「はい、テラさんに習っていますので、使えます。」
「そう、テラと比べて、どうなの?」
「えっ、どう?っていうのは、どういうことでしょうか?」
「テラって、凄い魔法を使うでしょ。それと同じことはできるの?」
「まあ、ある程度は大丈夫です。テラさんほどでは、無いですが、普通の魔導士には、負けませんよ。」
「そう、それは、嬉しいわ。また、お願いすることもあると思うので、よろしくね。」
「はい、テラさん同様によろしく、お願いします。」
「本当?テラと同じでいいのね。」
シルバ学院長は、にやりと笑った。私は、気が付かない振りをして、退室した。
「また、伺います。今日は、これで、失礼します。」
私とスピアは、シルバ学院長の部屋を出て、次の相手に会いに行くことにした。
今日は、ここで、終了だ。多くの人と一度に会うのは、疲れる。私は、スピアを抱きしめて、ふわふわを体中で噛み締めていた。
あと、一息だ。レンゲーに会いに、行くことにした。ただ、今、レンゲーがどこに居るか、定かでないので、思念伝達で、レンゲーに連絡を取ることにした。
「レンゲーさんですか?私は、テラさんの手伝いをしていたムーンといいます。突然の連絡で、申し訳ありません。現在、レンゲーさんは、何処に居られますか?」
「ムーンさん、お初にお目にかかります。私は、官吏長のレンゲーと言います。現在、大陸を時計回りに一周している所です。」
「そうですか。船上ですね。それでは、ヤガータ国の港に寄港された時に、また、ご挨拶させて貰います。」
「分かりました。また、その時に、それでは、失礼します。」
私は、レンゲーとの思念伝達を切った。まあ、挨拶は出来たから、上出来だね。
私は、スピアを抱きしめて、城に転移魔法で移動した。
そして、2階に上がり、レイカの部屋に入って行った。
「あら、スピア、その方は、誰?」
「あっ、レイカ様、私は、テラさんの手伝いをしていました。ムーンと言います。これからは、テラさんの仕事の引継ぎをしていきます。今後とも、よろしくお願いいたします。」
「そうですか。レイカといいます。よろしくお願いいたします。」
レイカは、すぐに、テラjrを抱き上げて、お乳を飲ませ始めた。
「それでは、これで、失礼します。」
私は、一人で、レイカの部屋を出て行った。スピアは、レイカのお手伝いをするようだ。
何だか、どっと疲れが出た。直ぐに、寝てしまいたかった。私は、転移魔法で移動した。そして、暗示魔法で、テラに見える様にミューに暗示を掛けた。そのまま、ベッドに押し倒して、一晩を共にした。