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156.魂の3分割

 前回は、魂をすべて土人形(ゴーレム)に移してしまい、結果的に元の身体が死に直面してしまった。


 少しでも、魂を残しておかなければいけない。これは、分かったが、その方法、イメージが掴めない。魂は、一つではなく、3つあるという。これは、最近読んだ本に載っていたことだ。「魂の三分説」という。


 1.「理知(ロゴス)」「頭」

 2.「気概(テューモス)」「心臓」

 3.「欲望(エピテューミア)」「胃袋」


 これらは、魂の独立したパーツと考えてもよさそうだ。これを自分なりに理解すると、本能の部分と知性の部分に分けることができる。そして、本能の部分は、死と直結している。だから、魂の本能の部分は切り離すとまずいということになる。しかし、逆に言えば、それ以外は、死と関係がないということだ。切り離せるということになる。


 脳の内部で言うと「大脳」、「間脳」、「小脳」、「脳幹」の4つの部分に分かれている。


 そして、「大脳」さえあれば、土人形(ゴーレム)は、動かせる。そこで、イメージを高めることにした。『大脳を意識して、その部分のみを土人形(ゴーレム)に封印する』事ができれば、魂の分離は完成する。


 私は、何度も、大脳のみをイメージした。そして、それを魂の封印の魔法陣に加えることにした。実際には、効果を削ったわけだ。これまでは、魂のすべてを封印していたが、大脳の部分にある魂の身を封印する。これで、完成したはずだ。


 私は、スピアに思念伝達で、連絡をして、また、地下牢前の工房に連れて行って貰った。


 「スピア、前みたいに、私の身体を見張っていてね。」


 「うん。分かった、しっかり、見張る。」


 「それじゃ、行くよ。」


 私は、削り取られた魔方陣を新しき魔法陣に置きなおして、土人形(ゴーレム)を修復した。


 そして、魔法陣に魔力を注ぎ、起動した。すると、頭の一部のみが光の輪に吸い込まれていく。今回は、うまくいったようだ。


 私は、土人形(ゴーレム)を動かしてみた。手や足を動かして、バタバタさせてみた。


 「スピア、赤ちゃんの身体は、どうなっている?」


 「大丈夫、よく寝ている。」


 「よし、成功だ。」


 「テラ、すごい、テラが二人になった。」


 私は、元に戻れることを確認するために、起動した魂の封印の魔法陣の魔法を解除した。


 すると、私の意識は、赤ちゃんの身体に移って行った。


 「成功だ。スピア、完全に思った通りになったよ。」


 「うん。テラ、頑張った。」


 これで、赤ちゃんの身体に拘束されるなく、活動することができる。


 もう一度、土人形(ゴーレム)の魂の封印魔法を起動して、テラになった。


 それから、思念伝達で、スピアと連絡を取った。

 

 「今から、ここを離れるよ。もし、僕の赤ちゃんの身体に異変があったら、すぐに教えてね。」


 「うん、わかった。」


 私は、ヘノイ王国の森の中のテラ・ワールドの基地に転移魔法で移動した。そして、地下牢に閉じ込めていたミューに会った。


 「テラ、久しぶりね。どうしてたの?」


 「ミューは、ご機嫌だね。」


 「そりゃ、そうよ。今は、ミヤーコ王国のシジンにいるのよ。そこで、何でも、好きなだけ買うことができるの。私、お金が好きなの。そして、それ以上に、お金を使うのが好きなの。」


 「それは、良かった。これからも、好きな物を買って、暮らしていくといい。」


 ミューは、私が掛けた暗示のまま、この数カ月を過ごしたようだ。


 これなら、解放しても問題ないだろう。私は、直属の部下に命じて、ミヤーコ王国のシジンで、一人で生活できるまで、監視するように指示をした。ミューにお金を持たせて、ミヤーコ王国のシジンで開放することにした。


 懸念であったオーガネッチは、終身刑で牢屋にいるし、その財産は、国が没収している。この状態で、ミューが一人で出来ることは、知れているだろう。まあ、レイカには、近づけたくないけどね。


 私は、思念伝達で、スピアと話した。


 「スピア、ぼくの赤ちゃんの身体に異変はない?」


 「うん、よく寝ているよ。大丈夫だよ。」


 「それじゃ、戻るよ。」


 私は、転移魔法でスピアの傍に移動した。


 「スピア、ありがとう。これで、自由に活動ができるよ。」


 「うん。また、テラと一緒に活動できる。うれしい。」


 スピアは、ふかふかの尻尾を振って、上機嫌だ。これまで、何の反応もない、テラjrの赤ちゃんの世話をしていたから、退屈してたのだろう。


 私は、隠密魔法で、姿を消した。


 「それじゃ、レイカの傍に戻ろう。スピア、赤ちゃんの身体を連れて行ってくれる。」


 「うん、分かった。」


 私は、スピアの背中におぶさった。赤ちゃんの身体をスピアは、大事そうに抱えて、レイカのベッドの横に立った。


 「レイカ、起きて。」


 「あっ、スピア。どうしたの?赤ちゃんを抱えて。テラjrが泣いたの?」


 「レイカ、違う。赤ちゃん、よく寝てる。」


 「そう、それなら、私の横で寝かせてね。そうだ、お乳をあげようね。」


 レイカは、テラjrの口に自分の乳首を持っていった。すると、反射的にテラjrは、レイカの乳首を吸い始めて、母乳を美味しそうに飲み始めた。


 私の意識はないが、本能はそのままなので、本当の赤ちゃんになったようだ。この方が、却って、不審がられないだろう。早く、こうしておけば良かった。今更ながら、後悔した。

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