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155.幽体離脱

 私は、こっそりと城の地下に作った魔法の訓練場に転移魔法で移動した。ここには、私が認めた者以外が入れないように、闇魔法で、結界を作っている。そして、私一人で、移動できるように、転移魔法用の魔法陣を乳母車の中に描いている。だから、移動すると、乳母車の中という訳だ。


 乳母車の動力は、私の風魔法だ。船と同じで、帆をつけて、操作盤を手元に付けた。自分で、魔法を起動してもいいけど、毎回、魔力をセーブするのは、面倒なので、スイッチにしてある。


 いつも通りに、すべての魔法を上級魔法まで、繰り返し、練習することにした。だんだんと、青のポーションを飲む回数が減って来た。


 もう一息だ。それで、以前の私に戻る。今日は、元気なので、少し、実験をすることにした。それは、幽体離脱だ。もし、これが出来れば、今の私でも、もっと、自由に行動が出来る。


 そこで、私は、自分の墓の前に行くことにした。乳母車のままの方が便利なので、移動用の乳母車を作った。もともと、乳母車が移動用なんだけど、転移魔法で移動するための移動用なんだ。


 新しい、移動用乳母車に乗って、墓地に行こうと思ったけど、スピアに心配させるわけにいかないので、一度、城のベッドに戻る事にした。


 私は、転移魔法でベッドの中に潜り込んだ。スピアのもふもふを小さな手で、掴みながら、大きな2つの山を越えて行った。スピアの大きな山を越えるのは、大変だ。でも、気持ちがいい。すごい弾力だ。レイカのそれとは、全く違う。


 やっと、レイカとスピアの間に戻る事が出来た。


 「あら、テラjr、起きたの。最近は、全く鳴かないね。ちょっと、おむつを見てみましょう。」


 レイカが、私のパンツを無理やり脱がした。私は、レイカにされるがままだ。


 「まんま、まんま。」


 「あら、今、この子喋ったわ。まだ、1月にも満たないのに、すごいわ。首がすわるのも、早いし。」


 レイカは、大はしゃぎだ。横で寝ていたスピアを揺すって起こしている。


 「スピア、起きてよ。今、テラjrが喋ったのよ。」


 「あっ、レイカ。お早う。」


 「ねえ、聞いてよ。今ね。テラjrが喋ったのよ。『まんま』って、言ったのよ。」


 「うん。大丈夫。テラ、喋れる。」


 「何を寝ぼけてるの。テラじゃなくて、テラjrのことよ。この赤ちゃんが喋ったのよ。」


 「うん。分かった。」


 スピアも、レイカのはしゃぎぶりに、寝て居られないようだ。起き上がった。


 「レイカ、おしめ。そのまま。」


 「あっ、ほんとだ。あら、あら、テラjrちゃん、恥ずかしかったね。おしめも替えますよ。」


 レイカは、濡れてもいないおしめをせっせと替えている。そろそろ、気が付かれそうだ。たまには、おしめの中で、やってみようかな。でも、替えて貰うまで、気持ち悪いし。レイカが気にしていないから、このままで、済まそう。レイカにとっては、初めての子供だからね。


 そういえば、最近、レイカがお乳が張って、困るって言っていた。私が、母乳を飲む量が減ったせいだ。もう、離乳食の方がいいのだけど、頑張って、レイカの乳を吸ってやろう。


 レイカが母乳を上げているって、他の人に知られたくないからね。私は、朝食をとってから、スピアに自分の墓に連れて行ってもらった。


 そこで、墓を開けて、自分の身体を取り出した。土人形(ゴーレム)だ。以前の自分の冷たくなった姿を見るのは、なんだか、気持ち悪い。以前は、なんとも思わなかったけど。本当に、死体の様だ。


 私達は、土人形(ゴーレム)をアイテムボックスに入れて、地下牢の前の工房に転移魔法で、移動した。


 ここには、いままでの土人形(ゴーレム)が並べてある。その横に新しくガラスのケースを創り、飾っておいた。その横には、使う予定だった。次の土人形(ゴーレム)が置いてある。


 私は、スピアに様子を見ておくように言った。


 「ねえ、スピア、もし、私の様子がおかしかったら、すぐに、この封印用の魔法陣を壊してね。今、闇魔法を解除しておくからね。」


 「うん。テラ、わかった。よく見ておくね。」


 「お願いね。」


 私は、以前の土人形(ゴーレム)に描いている魂の封印用の魔法陣に掛けている結界を解除した。それから、封印用の魔法陣を起動した。


 私の魂が引っ張られていく、明るい光の輪が見えて、吸い込まれていく。


 気が付くと、私は、土人形(ゴーレム)の中に居た。赤ん坊の肉体から、魂が抜けたようだ。


 私自身には、異常はなかった。以前と同じように動くことが出来る。


 「スピア、出来たよ。前の土人形(ゴーレム)に戻れた。」


 「うん。戻れている。でも、赤ちゃん、死ぬ。」


 「スピア、お願い。壊して!」


 スピアが、素早く封印用の魔法陣を壊した。私は、元の赤ちゃんの身体に戻った。


 「頭がイタイ。うー、身体中が痛い。」


 「テラ、大丈夫?」


 スピアは、素早く私に赤のポーションを降りかけた。そして、私にも、飲ませた。口を開けないので、スピアは、自分が口に含め、私に口づけをして、無理やり飲ませた。


 「ありがとう。少し、マシになった。」


 私は、独り言を繰り返した。


 「身体の劣化が激しい様ね。」


 私は、自分を納得させるように、呟いた。


 「赤ちゃんの身体では、負担が大きい様ね。」


 今回は、失敗だ。でも、出来るということは分かった。短時間で会ったが、土人形(ゴーレム)に魂を移動させることが出来た。


 何か、別の方法があるのだろう。元の身体が、死なない方法が、また、実験だ。でも、危険そうだ。

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