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150.テラの養子

 レイカが寝たので、私は、リンダの部屋に転移魔法で、移動した。


 「リンダ、起きてる。」


 「もちろん。起きてるよ。例の件は、済んでいるよ。もう、城には、居ないよ。」


 「ありがとう。素早いね。」


 「これぐらい、何でもないよ。」


 「それで、わざわざ来たのは、他にも頼みがあるのね。」


 「そうなんだ、よく分かるね。」


 「テラ、少しだけ、待ってね。今、バイオレットが店の戸締りをしているの。」


 「分かった。バイオレットが戻るまで、待つよ。」 


 バイオレットが、上がって来た。戸締りを終えたようだ。


 「あっ、テラ様、来てたのですね。私は、自分の部屋に行っています。」


 「バイオレット、ごめんね。急に来て、リンダを取ってしまって。」


 「何、言っているんですか。私のことは、気にしないでください。」


 「ありがとう。」


 バイオレットは、自分の部屋に行った。


 「実は、もうすぐ、僕は、居なくなるけど、その間、リンダにテラ・ワールドの代表代理をして欲しいんだ。」


 「代表代理は、別に構わないけど、転移魔法で、いつでも、戻れるでしょ。」


 「もうすぐ、そういう訳に行かない所に行くんだ。」


 「転移魔法でも、戻れないのね。」


 「そういうことなんだ。そこで、予めリンダに相談したかったんだ。」


 「もうすぐ、って、何時頃よ。」


 「実は、本当の事は自分にも分からないんだ。もう、いつそうなるかわからない。」


 「何だか、変な話ね。まあ、いいわ。いつテラが居なくなってもいいように、しておくよ。

 それより、居なくなったって、いつ分かるの。」


 「それは、はっきり分かるよ。いなくなったって言うことはね。」


 「まあ、分かるということね。」


 「そうなんだ。いつ、どうなるのか。正確には、僕自身分からないんだ。そこで、事前に準備を進めているんだ。」


 「今日は、泊っていく?」


 「そうだね。会えなくなるからね。でも、明け方には帰るよ。」


 「レイカの所ね。いいわ、それまでは、テラは、私の物よ。」


 私は、リンダとベッドに移動した。いつ会えなくなるかわからない。そんな思いをリンダにぶつけた。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 私は、レイカのもとへ戻る前に、城に転移魔法で移動した。そして、スピアの部屋に行き、スピアを抱いて、レイカのもとへ戻った。


 レイカは、まだ、寝ているようだ。私は、寝ているスピアを抱いたまま、1階で、地下室を作った。地下2階までは、普通の部屋にした。それから、下に更に1階分の部屋を作った。そこに、大きなベッドと転移用の魔法陣と操策盤を作った。


 これで、スピアは、好きな所へ転移用の魔法陣移動できる。スピアを大きなベッドに寝かせて、私も、ベッドに潜り込んだ。


 少しだけ、スピアを抱きしめた。スピアが、目を開けた。そこで、もう一度、しっかりと抱きしめた。


 「スピア、大好きだよ。」


 「私も、テラが、大好き。」


 「実は、お願いがあるの。」


 「なに?テラの為なら、何でもするよ。」


 私は、これまでの事、それから、これからの事をスピアにすべて話した。


 「分かった。この神具で、隠密魔法も使える。大丈夫、スピアできるよ。」


 「ありがとう。また、会おうね。」


 「スピア、テラのこと、すぐ、分かるよ。」


 「ありがとう。」


 私は、2階に上がって、ベッドの中に入った。レイカの横で、レイカの背中を優しく撫でてあげた。そして、レイカを上にして、お腹に耳を当てた。小さいが、命の音が聞こえる。もうすぐだ。


 朝になり、レイカが目を覚ました。私は、優しく、髪を撫でた。柔らかそうなほっぺたを指で押した。そして、掌で、ゆっくりと撫でた。


 「テラ、起きてたの。」


 「そうだよ。レイカを見ていたよ。」


 「うれしい。」


 レイカは、私にキスをして来た。そして、私を抱きしめた。


 「私だけのテラ。いつも、一緒に居てね。」


 「僕は、レイカといつも一緒だよ。これからもずっと。一緒だよ。僕たちは、家族だよ。」


 「そうね。私は、テラの側室になったんだもの。だから、いつも一緒ね。」


 「そうだね。レイカは、僕の側室。でも、それだけじゃないよ。僕の一番大事な人だよ。」


 「そうだ。レイカに言っておかなくては、いけないことがあるんだ。」


 「何?大事なこと?」


 「2人にとって、とても大事な事だよ。」


 「分かった。教えて?」


 「僕がいないときは、スピアを僕だと思って、頼ってくれる。」


 「テラ、どこかへ行くの。そんなの嫌よ。絶対、だめ。」


 「いいや、僕は、レイカの傍にずっといるよ。でも、レイカは、僕の代わりに、スピアを頼ってね。」


 「どういうこと、テラ、何処か具合が悪いの?それなら、私が治すよ。私も、治癒魔法使えるよ。」


 「うん。嬉しいけど、そうじゃないんだ。でも、これだけは、信じて。僕は、レイカの傍に居るって。」


 「テラ、何を言っているのか、全然わからないよ。」


 私は、レイカを抱いて、落ち着くまで、話をするのを止めることにした。


 「レイカ、また、一緒に食事を創ろうか。朝ご飯だよ。」


 「うん。作る。テラに、私の料理を食べて貰う。」


 嬉しそうに、食事を作り始めた。この時間も後僅か。


 私は、思念伝達で、ガーベラに連絡を取った。


 「ガーベラ、急で悪いけど、養子縁組の用意をしてくれる。」


 「本当に急ね。それで、どこの子供にするの。」


 「スピアに頼んでいる。その子を僕たちの子供として、認めて欲しい。」


 「それはいいけど。出生届は、どうするの?」


 「僕たちの子供として、届けてくれないかな。」


 「うーん、出来ない事はないけど。それなら、養子縁組はいらないんじゃない?」


 「そうなんだ。養子じゃなくて、嫡出子とするということか。」


 「そうよ。2人の子供にすれば、養子縁組はいらないわ。」


 「ガーベラ、君は、それでいいの?」


 「テラが決めたことなら、いいわ。誰の子供を連れて来ても、私の子供として、立派に育てるよ。」


 「ありがとう。恩に着る。」


 「私は、いつでも、テラの好きなように、させてあげるよ。」


 「それじゃ。お願いね。」


 私は、思念伝達を切って、レイカと楽しく朝食を頂いた。

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