表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
150/261

149.レイカの城

 私は、レイカを優しく、抱きしめながら、1晩寝ずにいた。そっと、レイカの横顔を眺めていた。

 

 「あっ、テラ。もう、起きていたの。」


 「レイカ、気分は、どう?」


 「うん、もう、大丈夫よ。気分もいいわ。」


 「それなら、良かった。少し、相談したいんだ。」


 「何?」

 

 「僕は、レイカの事が心配なんだ。だから、今日からは、一緒に過ごさないか?」


 「今も、一緒に住んでいるよ。それとも、どこかへ行くの?」


 「そうだね。それでも、いいかも。」


 「テラは、どこか、旅行でも行きたいの?」


 「ただ、レイカと本当に一緒に居たいと思っただけだよ。余り、旅行って、気分ではないよ。」


 「そうね。私も、テラと二人だけになりたい。」


 「そうか。それなら、少し、待っていてね。」


 私は、リンダに思念伝達で連絡を取った。そして、誰もいないテラ・ワールドの土地を教えて貰った。


 「それじゃ、いっしょに行こう。」


 私は、レイカを抱いて、転送魔法で、リンダに教えて貰った場所に移動した。そして、急いで、2階建ての小さな家を建てた。そして、闇魔法で結界を張って、私が認めたものにしか見えないようにした。もちろん、入ってくることも出来ない。


 「さあ、出来たよ。ここが、僕たち2人だけの新しい家だよ。」


 「本当に、2人だけね。あのミュー先生も来ないよね。」


 「もちろんだよ。レイカが嫌いな人は、だれも、この家には入れないよ。」


 「ここで、僕だけ、見ていて欲しい。」


 「もちろんだよ。テラしか、見ないよ。」


 私は、レイカをお姫様抱っこをして、新しい2人だけの家に入っていった。


 2階に上がり、大きなベッドにレイカを寝かせた。ベッドの周りには、レースのカーテンで、ベッドが隠れるようにしてある。そして、闇魔法で本当に、レイカと私を見えないようにした。


 「ここで、寝ていてね。食事の用意をするよ。」


 「テラ、私がするよ。食事の用意は、私にさせてよ。」


 「分かったよ。一緒にしよう。それで、いいだろ。」


 「はい、旦那さま。」


 「急に、どうしたんだ。」


 「前から、一度、そう呼んでみたかったの。でも、城では他の人もいるし、特に最近は、ミュー先生が雇った従業員も多いの。その人達ったら、私のことをいちいちミュー先生に言っているのよ。」


 「そうか。ミューが、新しく従業員を雇っていることは知っていたけど。レイカを見張らせtいたなんて、初めて知ったよ。」


 「本当に、嫌よね。」


 私は、アイテムボックスから、朝食用の皿やパンや卵を出していった。レイカは、それを2人分に取り分け、それぞれの皿に盛っていった。


 私は、ポットに水を入れ、お湯にした。当然、魔法で行った。


 「レイカは、ホットがいい?アイスがいい?」


 「そうね。アイスティーにしてくれる。」


 「いいよ。」


 私は、ガラスのコップを2つ造り、氷を作った。氷の入ったコップに少し濃い目の紅茶をポットから、流し込んで行く。コップの周りに、水滴が付き始めた。


 「レイカ、ミルクと砂糖は、いる?」


 「テラは?」


 「僕は、ストレートだよ。そのまま飲むよ。」


 「それなら、私もそのままでいい。テラと同じがいいの。」


 「分かった。それじゃ、食べようか。」


 私達は、2人で用意した、食事を楽しく食べていた。私は、食事をしながら、思念伝達で、リンダに連絡を入れた。


 「暫くは、リンダが用意してくれた場所で、生活するよ。レイカも一緒だ。」


 「わかったわ。仕事は、どうするの?」


 「レイカの調子が悪いので、レイカが寝ているときだけにしてくれる。」


 「分かったわ。それじゃ、夜の10時ごろからね。仕事は。」


 「すまない。そうしてくれ。」


 「まあ、私の仕事が終わってから、始めるということだから、都合はいいわ。」


 「ところで、ミューが城に雇った従業員に止めて貰ってくれ。通常よりも高額の退職金を渡して、次の仕事も斡旋してくれるかな。それと、城でのことは他言しないように、誓約書を取っておいて欲しい。」


 「大変ね。どうして、あんな女を傍に置いていたの?」


 「うん。レイカの事で、少し、世話になったので、仕方がなかった。でも、もう、出て行って貰ったよ。だから、ミューが雇った従業員もやめさせようと思ったんだ。」


 「分かったは、やっておくね。でも、執事長がいるでしょ。彼ではだめなの?」


 「ミュー関係は、できるだけ、身内で処理したいんだ。」


 「そうね。私も、家族だからね。」


 「そうだよ。リンダは、僕の少ない家族だよ。」


 「また、会いたいなぁ。時間があったら、来てね。」


 「分かった。リンダ。ありがとう。」


 「気味が悪いね。遠慮する必要ないよ。私は、いつでも、テラの味方だよ。」


 「それじゃ、また。バイバイ。」


 私は、思念伝達を切った。レイカは、何も知らないで、嬉しそうにしている。これで、いいんだ。レイカには、本当のことを言えない。


 私は、用意していた魔法を2つレイカに掛けた。1つは、今のまま、誰が見ても変化が分からないようにする。もう一つは、本人も自分の身体の変化に気が付かないようにする。この特殊な闇魔法を掛けておいた。


 「レイカ、これからは、ここで、2人だけで暮らすよ。いいか?」


 「いいわ。私は、テラが居ればそれだけで、いいわ。」


 私は、レイカが寝てから、レイカの荷物をすべてアイテムボックスに入れて、別のアイテムボックスには、ミューの荷物を入れることにした。


 「残された時間は、意外に少ないかもしれないな。急がないと。」


 私は、自分に言い聞かせるように、呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ