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147.ミヤーコ王国の灯油の独占販売

 私は、夜も更けたので、転移魔法で、リンダの部屋に移動した。


 「リンダは、まだ、仕事をしているのか。」


 私は、リンダのベッドに入って、少し、寝ることにした。


 ベッドに入って来たリンダに、私は気が付いた。リンダは、私が、まだ、寝ていると思っているようだ。やさしく、私の服を脱がしている。私は、リンダの気付かれないように、寝たふりを続けた。


 柔らかいものが私の胸に当たっている。私は、寝返りを打って、上になった。


 私は、顔を少し下げて、先ほどあたっていた柔らかいものに顔を埋めた。私のほほに、柔らかいものが当たっている。


 顔を横に向けると、心臓の音が聞こえて来た。もっと、よく聞こうと、顔をずらしていった。今度は、はっきりと、心臓の音が聞こえている。しばらくすると、その音が大きく、速くなってきた。


 私達は、そのまま、朝まで、抱き合っていた。


 朝の食事を終えて、私は、リンダと共に、転移魔法で、ミヤーコ王国の支店の一つに移動した。


 「テラ、最初に、油田関係の責任者のトューデンに会いにいくよ。アポは取っているので、話だけは聞いて貰えるよ。」


 「ありがとう。しっかり、準備してくれていたのだね。」


 「そりゃそうよ。」


 私達は、トューデンの屋敷に着いた。執事に用件を伝えると、応接室に案内された。


 ソファに座って、待っていると、トューデンだけでなく、もう一人貴族が入って来た。


 「初めまして、テラ・ワールドの専務をしているリンダと言います。それから、こちらは、テラ・ワールドの代表のテラです。」


 「私が、テラです。この度は忙しい中、時間を取って頂きありがとうございます。」


 「いや、こちらこそ、今話題のテラ・ワールドの代表とお話しできるなんて、光栄ですよ。」


 「私は、原油の精選を任されているゲーセイといいます。商売の事は、よく分かりませんが、原油の取り扱いについては、熟知していると思っています。」


 「テラといいます。よろしくお願いいたします。」


 「こちらに、おかけください。」


 トューデンの手招きに合わせて、私とリンダが横並びに座った。


 向かい側には、トューデンとゲーセイが座った。


 「この度は、原油の精製の過程で、不要になる者を買い取りたいと思っています。」


 「原油の精選については、ご存じですか?」


 ゲーセイが、疑いの目で私を見て来た。


 「はい、ある程度は知識を得て来ています。」


 「ガスの事は、知っていますか?結構、危険なものですが、現在、使用していません。」


 「それについては、液化する装置を開発しています。そして、液化に関する費用は、すべて、テラ・ワールドの負担で結構です。」


 「ガスを液化ですと。そのような技術があるのですね。」


 「私は、装置があるとだけ、知っています。詳しい、動作原理は、お話できません。」


 「そうですか。それでは、最初に出てくるどろどろの液体は、どうしますか?」


 「それは、土砂と同様に買い取りますよ。必要なら、廃棄場の分も買い取りますよ。」


 「えっ、廃棄場のごみを買うというのですか?」


 「はい、価格は出来れば、安くして貰いたいです。」


 「ただで、持って行ってくれるだけで、嬉しいです。」


 「ゲーセイ、勝手な事を言わないで貰いたい。お金に関することは、口出しをしない約束だ。」


 「あっ、これは、すみません。私には、何の権限もないので、今の話はなかったことで。」


 「構いませんよ。最終的な事は、すべて、リンダとトューデンで、決めて貰えれば結構です。」


 「私は、灯油以外をすべて購入したいと申し上げたいだけです。できれば、安く購入できればありがたいです。ただとは、思ってもいませんので、適切な価格を提示していただけるものと思っています。」


 「もう一つ、確認したいのですが、灯油を取り出す部分は、どうなりますか?」


 「こちらが、すべて、請け負って、取り出した灯油をお渡しするということでいいですよ。そして、当然、取り出すのにかかる費用は、テラ・ワールド持ちで、結構です。」


 「そうですか。ありがたいです。」


 ゲーセイは、とても喜んでいる。何か、問題でもあるのだろう。まあ、そのような事は、実際に運用しながら改善できればいいと思っている。


 色々と確認事項があったので、最終的に書類取り交わすのは、後日となった。それは、リンダに一任した。


 ミヤーコ王国は、原油の唯一の産油国であった。そして、販売は、原油としてではなく、灯油として販売していた。その他のものは、必要の無いものとして、廃棄していた。

 

 石油ガスは、液化して取り出す。原油の中で、気体になりやすい物も同様の装置で取り出す。


 最後に、残った物も、買い取ることになった。


 ミヤーコ王国は、これまで、邪魔でしかなかった物を買い取って貰うので、僅かな金額でも喜んで売った。テラ・ワールドは、安く買い取ることに成功した。


 そして、この時得られた信用から、灯油の販売についても、交渉することが出来た。


 つまり、ミヤーコ王国以外の国への輸出を一手に任せて貰うこととなった。その代わり、いままでの販売価格の5割増しの金額で、購入することが条件だった。


 これまでは、ミヤーコ王国から灯油を買っていた諸国が、テラ・ワールドから、購入することになった。しかし、特に不満は出なかった。というのも、販売価格が変わらなかったからだ。


 ミヤーコ王国の灯油を販売していた貴族は、テラ・ワールドが5割分を負担していると思っていた。そして、そのうち、音を上げて泣きついてくると思っていた。


 しかし、テラ・ワールドには、転移魔法という輸送手段がある。それ故、輸送コストがほぼ掛からない。また、アイテムボックスを使うので、人件費もほとんど掛からない。


 これまで、ミヤーコ王国の販売価格が100だとして、それを輸送費と人件費を上乗せして、他国で販売していた。そのため、他国での販売価格は200になっていた。それを、テラ・ワールドは、150で販売出来た。


 したがって、テラ・ワールドは、実質50の儲けが出ていることになる。実際は、多少の輸送費や人件費がかかっているので、50%の儲けはオーバーだが、ほぼ50%の儲けになっている。だから、音を上げるはずがなかった。


 思惑がはずれたミヤーコ王国の貴族たちは、テラ・ワールドの秘密を探ろうとしたが、それを知ることは出来なかった。

 

 テラ・ワールドでは、儲けをすべてミヤーコ王国の土地の購入に充てていた。すでに価格の安い辺鄙な場所や、森林やダンジョンの近くなどリスクのある土地は、買い占めが終わっている。


 広大なミヤーコ王国だが、50%以上が、森林やダンジョンである。したがって、テラ・ワールドは、ミヤーコ王国の土地を最低でも50%以上は、買い占めたことになる。

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