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143.ミュー先生の思惑

 ホーン先生と共にデンロン魔法学院に移動した我々は、まっすぐに、シルバ学院長の部屋に行った。


 「コン、コン。テラです。」


 「どうぞ。」


 「こちらが、ホーンです。」


 私は、シルバ学院長にホーン先生を紹介した。


 「ようこそ、私がこの魔法学院の学院長のシルバです。」


 「ホーンといいます。これから、お世話になります。よろしく、お願いします。」


 「後は、シルバに任せるよ。」


 「あっ、テラ、ありがとう。またね。」


 「はい、バイバイ。」


 私は、シルバ学院長室を出て、レイカの部屋の前まで行った。すると、後ろから、ミュー先生が追いかけて来た。


 「テラ、ちょっと、待って。」


 私は、ドアをノックするのを止めて、ミュー先生が自分の所まで来るのを待った。


 「はい、何か、用ですか?」


 「レイカは、今、実家に帰っているわ。これからの事を、両親と話すそうよ。」


 ミュー先生は、走って来て、少し息が上がっていた。


 「あぁ、ありがとう。わざわざ、教えに来てくれて。」


 「それより、少し話があるの?時間を貰えないかな?」


 「いいですよ。何ですか?」


 「私の部屋に来てもらえる。」


 「はい。」


 ミュー先生は、私の手を取って、逃げられないようにして、引っ張っていった。ミュー先生は、自分の部屋のドアを開けて、入っていった。


 ミュー先生は、ドアを閉める前に、周りを見渡した。誰にも見られていないことを確認しているようだ。後ろ手で、ドアを閉めると、私に話出した。


 「テラ、どこまで、知っているの?」


 「何をですか?」


 「レイカのことよ。」


 ミュー先生は、やけに真剣な顔で、私に質問してくる。その口調は、まるで、詰問しているようだ。


 「正直にいいなさい。」


 「だから、何の事ですk?」


 ミュー先生は、私を突き飛ばした。私は、別に抵抗する気もないので、そのまま、ベッドに倒れ込んだ。全く、力をいれていない。まるで、人間クラゲかと自分で思った。


 「レイカの婚約を破棄させたでしょう。」


 ミュー先生は、私の襟首を両手で掴み、ベッドの上に押し倒した。そして、私の上に馬乗りになった。両手は依然として、私の襟首を掴んでいる。離す気はないようだ。


 「あなたのせいで、私の計画が台無しよ。」


 「一体、何の事を言っているのですか?」


 「あなたが、私にレイカと付き合ると宣言したときに、気づくべきだったわ。」


 「ミュー先生は、何を言っているんですか。手を放してください。」


 「テラ、あなたに、先生と呼ばれる筋合いはないわ。」


 「でも、理由を聞かせてください。一体、どうしたんですか?」


 「どうせ、すべて知っているのでしょう。こんなに、可愛いふりをして。やることが残酷よ。」


 「だから、教えてください。」


 「私が、レイカを富豪の老人と婚約させたのよ。そして、私が、レイカの後見人として、ついて行くはずだったの。それを、あなたが、ぶち壊したのよ。レイカは、私には、逆らえないのよ。それが、テラ、あなたが現れてから、すべてがおかしくなってしまったわ。」


 「ミューは、お金が欲しかったの?」


 「そうよ。それの何が悪いの。」


 「悪いと、言ってませんよ。僕も、お金は、好きですよ。」


 「その富豪って、オーガネッチじゃないよね?」


 「やっぱり、知っていたのね。あの富豪は、少女に目がないの。だから、レイカを紹介したのよ。」


 「オーガネッチって、そんなに年寄りと思わなかったけどね。」

 

 「テラ、オーガネッチも知っているの。本当に、あなたのせいよ。責任を取ってよ。これまでの苦労が、すべて、水の泡よ。」


 「ミューは、この魔法学院のシルバも嫌いなの?」


 「それとこれは、話が別よ。シルバには、色々と世話になっているの。神殿から、救ってくれたし。」


 「それなら、僕とも仲良くしてよ。」


 「何で、あんたなんかに、仲良くしないといけないの。」


 「ミューは、僕のこと、何処まで、知っているの?」


 「どこまでって、ガーベラ宰相と結婚した伯爵でしょ。今のウェーリィ王にうまく取り入って、伯爵にして貰ったのよね。それで、次は、ウェーリィ王に頼み込んで、ガーベラ宰相も手に入れたのでしょ。

 それぐらい、知っているわよ。」


 「そうか、シルバと仲が良いので、もっと知っているかと思っていた。テラ・ワールドの名前は知っている?」


 「シルバが手伝っている商店でしょ。」


 「僕も、テラっていうの。知ってた?」


 「えっ、じゃ、シルバをテラが雇っているの?」


 やっと、ミューは、私の襟首から両手を離してくれた。


 「そうだよ。僕がシルバを雇っているよ。」


 「でも、普段のシルバの言葉遣いは使用人のそれじゃないわ。」


 「偶然を、うまく使っているのね。それとも、後で、テラって、名前に変えたの?それぐらい、やりそうね。ウェーリィ王に取り入るぐらいだものね。


 ミューは、全く、信用しないようだ。すこし、面倒くさくなった来た。私は、ミューの両手首を掴み、ベッドに押し倒し、反対に、私が、馬乗りになった。


 「ねえ、これまでの僕の魔法を目の前で見て来てたのに、どうして、ミューみたいな、細腕で、僕を押さえつけれると思ったの?」


 「止めなさい。テラ、私の手を放しなさい。」


 「まあ、いいじゃないですか。どうせ、誰も来ないだろうしね。」


 私は、土魔法で創った泥縄で、ミューの両手・両端をベッドの足に結び付けた。そして、闇魔法で、口に結界を張り、声を出せないようにした。


 「僕の事を残酷だと言っていたね。それじゃ、僕の本性をその身体で、感じてね。」

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