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134.魔人族の子供達

 私達は、モリーロの指示通りに北に向けて歩いていた。かなり歩いたが、依然として、魔物に遭遇しなかった。


 「魔物がいないね。モリーロ、いつも、こんな感じなの?」


 「いえ、いつもなら、魔物が周りをうろついていますよ。」


 「それじゃ、今は普通じゃないということ?」


 「そう、思います。」


 私達はは、森林の中を子供の捕らえれている場所を探して、移動しているが、周りに魔物がいないだけでなく、様子を窺う者の気配もない。


 どうも、この周りの魔物が消えて仕舞っているようだ。いくつか理由は考えられるが、基地が攻撃されていた様子を考えると魔物が殺されてとは考えにくい。また、魔物の死骸も見当たらない。


 そうすると、一斉に魔物が他の場所に移動したとしか、考えられない。やはり、リーダーが存在するのだろう。これほど、徹底的に指示が出せるとは、少し、用心した方が、良さそうだ。


 「テラ、この先のダンジョンの中にいるようです。」


 「それじゃ、行こうか。」


 私は、スキル探索で、強い魔物が居るかどうかを調べてみた。特に、用心しないといけない魔物はいないようだ。


 「モリーロ、このダンジョンで間違いないか?」


 「はい、ここです。」


 私は、魔人族が分からないので、モリーロが指示した者だけを倒すことにした。そのため、防御力を高めておく必要がある。私を含めて、11人の防御力を高めるために闇魔法で、結界をそれぞれに作った。

 

 「さあ、ダンジョンに潜るよ。モリーロは、私の後ろで、指示してね。」


 「はい、分かりました。」


 「この階層には、魔人族はいません。」


 「モリーロ、確かか?」


 「はい、確かです。」


 私は、範囲魔法で、一気に魔物を倒して行った。暫くは、魔人族は現れなかった。


 「テラ、この階層の奥の所に、固まっています。」


 「わかった。スピア、頼むよ。」


 「うん。分かった。仲間と行くよ。」


 スピアとその仲間は、指示された奥までの魔物を一瞬だ倒してしまった。


 「テラ、もう、いいよ。」


 私達は、檻に入れられた魔人族の子供達11人を見つけた。すぐに、檻から出してやり、治癒魔法を掛けた。


 「大丈夫か?」


 「「はい、大丈夫です。」」


 「良かった。無事で。」


 「モリーロ、他にいないか確かめてくれ。」


 「はい。」


 モリーロは、子供たちから情報を聴きながら、ダンジョンのようすを探っていた。


 「テラ、このダンジョンにはいないようです。」


 「そうか、それじゃ、ダンジョンを出ようか。」


 「はい。」


 私達は、ダンジョンを出て、これからの行動を検討した。まずは、助け出した子供たちを基地に連れて行くことを優先した。


 幸い、子供たちは、元気で歩けそうなので、スピアの仲間4人に基地まで、護衛してもらいながら、連れて行って貰うことにした。


 「モリーロ、この後は、どうする?」


 「私の村の子供たちは、これで全員です。でも、すでに他の場所に移動させられた子供たちがいたそうです。」


 「そうか。それで?」


 「出来れば、助けたいのですが、いいですか?」


 「いいよ。でも、他の村の魔人族でも、居場所は分かるのか?」


 「はい、それは大丈夫です。」


 「それなら、これまでと同じで、指示してくれ。」


 「はい。分かりました。」


 私達は、北に向かって進み続けた。すると、森を抜けて、幅広の大きな川にぶつかった。


 「モリーロ、この川を渡るのか?」


 「はい、もう少し北に居ます。」


 私は、スキル探索で付近の魔物を調べてみた。すると、川を挟んで、北側には、多数の魔物が群れを作っていた。その中には、かなりレベルの高い魔物も数匹いた。


 「モリーロ、この先は、魔物だらけだよ。」


 「そうですか。無理ですか。」


 「無理だは、ないけど、子供達を助けるだけでいいかな?」


 「もちろん、それが目的だすから。」


 「分かった。」


 私は、全員に隠密魔法を掛けて、姿を消した。


 「おぉー、見えなくなりました。」


 「モリーロ、姿は消えたが、声は消えないよ。」


 「あっ、すみません。声を出すとだめですね。」


 「そのとおり。スピアの仲間の背に乗せて貰ってくれる?」


 「はい、分かりました。」


 モリーロには、小声で、スピアの仲間に指示を出すように言った。そして、スピアの仲間同士と私は、思念伝達で連絡を取った。


 「それじゃ、スピア、お願いね。」


 「はい、行きます。」

 

 私は、スピアの背に乗って、風を切って、進み始めた。いつの間にか、周りには、魔物だらけで、その中をぶつからないように、すり抜けて行った。


 暫くすると、私達は、地下の入っていき、檻の前まで来た。


 「ここです。」


 モリーロの小声が聞こえた。私は、スピアから降りて、檻を壊して中にモリーロを入れた。もちろん、モリーロの隠密魔法は、解除している。


 「おい、大丈夫か?」


 「はい、助けに来てくれたんですか?」


 「そうだ。お前達以外に、まだ、居るのか?」


 「多分、いないと思います。」


 私は、子供達に治癒魔法を掛けて、元気にした。子供達は、21人と多数なので、少しずつ助け出すことにした。


 私は、檻の中の地面に転移魔法用の魔法陣をつくり、移動先を南端の基地に設定した。これで、5人程度は、同時に移動できる。


 子供4人に、スピアの仲間1人で、基地は転送を開始した。何度か、転送した後、最後に残った子供と、スピアとモリーロを転送した。


 私は、地面の魔法陣を消して、転移魔法で、基地に戻った。

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