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132.魔物の大群

 私は、偵察用の気球に乗り込んで、レンゲーの待つ基地に向かった。


 スピア達には、船で、軍船に合流するように指示をした。船の操縦は、スピアがうまく出来るようだ。


 「おっ、あれか。結構高い建物を作っているね。地上5階建てみたいだ。」


 私は、風魔法で、一気に加速して、基地の屋上に到着した。レンゲーは、私を見つけて、駆け付けて来た。


 「テラ、お手数を掛けます。」


 「気にしなくていいよ。魔物は、何階まで来ているの?」


 「3階で、応戦中です。」


 「分かった。レンゲーは、部下を屋上まで、後退させてね。」


 「はい、すぐに指示します。」


 私は、そのまま、3階まで、降りて行った。そこで、自分の後ろの階段に闇魔法で、結界を張って、魔物が上がれないようにした。スキル探索で、私より前にレンゲーの部下がいないことを確認した。


 「炎嵐(ファイア・ストーム)


 この間の試験で出題された魔法を今回は、制限なしで起動した。


 3階の魔物は、息絶えた。次に、2階に降りた。また、先ほどと同じく、自分の後ろに闇魔法で結界を張って、魔物が上がれないようにした。


 「炎嵐(ファイア・ストーム)


 これで、2階の魔物も全滅した。私は、1階に降りて、自分の後ろに結界を張った。


 「炎嵐(ファイア・ストーム)


 これで、この基地の中には、魔物が居なくなった。私は、基地の出入口を闇魔法で結界を張って、魔物が中に入れないようにした。


 私は、1階ずつ上に上がりながら、兵士がいないことを確認していった。可成りの数の兵士が死んでいた。これは、私のミスだ。やはり、一緒に来ていないといけなかった。レンゲーは、優秀だが、官吏として、働いて貰っている。兵士ではないのだ。

 

 私は、屋上で、レンゲーに声を掛けた。


 「レンゲー、ご苦労様でした。」


 「いえ、私が不甲斐ないせいで、多くの部下を死なせてしまいました。」


 「それは、レンゲーの責任ではないよ。私の作戦ミスだ。少なくとも、スピアを付けておくべきだった。」


 「いえ、私の見通しの悪さです。俺ほどの大群が一気に攻めてくるとは、予想できませんでした。」


 「普通は、魔物の行動は、単独のはずだが、何故、これほどの数の魔物が同じ場所を攻めて来たのか。レンゲーは、わかるか?」


 「おそらく、魔物の中にリーダーがいると思われます。そのリーダーの指示で、行動しているのでしょう。」


 「そうだな。レンゲーの言うとおりだ。リーダーがいるのだろう。」


 「レンゲーは、部下を使って、基地の中を片付けてくれるか?」


 「はい、分かりました。」


 私は、一旦外に出て、土魔法で、高さ20mの塀を基地の周りに作っていった。それは、基地を中心にした半円のようなもので、海岸と基地を取り囲んだものにした。


 次に、海岸に行き、岸壁を複数作った。更に、基地の横に、地下基地を作った。これは、地下5階にして、出入口は、私達の仲間にしか見えないように闇魔法の結界で覆った。地下基地には、転移魔法用の魔法陣を地下5階に描いておいた。


 一通り終わった所で、スピアに思念伝達で連絡を取った。


 「スピア、船を岸壁に着けてくれる?」


 「いいよ。直ぐに行くね。」


 スピアとの思念伝達を切って、レンゲーに船を岸壁に着ける様に、部下に伝えさせた。


 スピアが乗った船が岸壁に着いた。スピアと仲間達が船から降りて来た。


 「それじゃ、一緒にきてくれる?」


 「うん。行くよ。仲間も行くよ。」


 私は、持参してきた戦闘用手榴弾を5個ずつ配った。


 スキル探索で調べると近くのダンジョンにレベル60の魔物が居た。おそらく、これがリーダーだと思われる。


 ダンジョンは、深くなく5階層だった。こんなに浅いダンジョンは、初めてだった。


 私達は、一気にダンジョンの中に雪崩れ込んで行った。


 「スピア、リーダーと思われる魔物は生け捕りにしてね。」


 「分かった。仲間に伝える。」


 私とスピアは少し遅れて、ダンジョンの最下層に到着した。すでに、リーダーは、縛りあげられていた。


 「おまえが、リーダーか。」


 「いや、違う。私は、リーダーではない。」


 私は、もう一度、スキル探索でダンジョンの中を調べてみた。しかし、他に魔物は見つけられない。


 「お前以外、いないよ。」


 「それでも、俺はリーダーじゃない。リーダーは、もっと、北にあるダンジョンの中にいる。」


 「そんなに情報を教えて大丈夫?」


 「おい。お前たちは、何か、勘違いしているぞ。」


 「どういうこと?このダンジョンでは、お前が一番強かったよ。」


 「確かにそうだ。でも、このダンジョンは、おれのダンジョンでは、ない。そもそも、俺は魔物じゃない。」


 「よく言うよ。そんな顔をしていて。」


 「本当に、よく見てくれよ。」


 「それじゃ、名前ぐらいあるの?」 


 「モリーロという冒険者だ。これでも、冒険者IDを持っている。首からぶら下げているから、見てくれ。」


 「スピア、確認して?」


 スピアが素早く、冒険者IDを見つけた。


 「テラ、あったよ。モリーロって、書いてる。」


 「ほら、俺が言っていることは、真実だ。冒険者だよ。俺は。」


 「でも、どう見ても、魔物だよね。」


 「よく、勘違いされるけど。おれは、魔人族の者なんだ。だから、魔物の様に見えるけど、魔物とは違う。」


 「よくわかんない?」


 「なあ、話の分かるやつはいないか?魔人族をしてているような奴はいないのか?」


 「仕方がない、スピア、基地まで連れ帰るよ。」


 「うん。分かった。」 


 私達は、このダンジョンを放置して、基地に戻る事にした。

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