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130.ロンデン魔法学院の見学

 イーデン王国は、ソーロン帝国との長い国境を持つ国で、そのため、軍隊を重視した国になっている。そして、イーデン王国の中心の街である隠田は、軍隊の都市ロンデンと呼ばれている。


 確かに、前日滞在していたイーキ王国とは違い、国境を越えて、イーデン王国に入るなり、軍人を見る機会が増えて来た。

 

 私は、以前も来たことがあったので、余りビックリしなかったが、レイカは初めてだった。


 「すごいね。軍人ばかりね。」


 「そうだね。この街は、軍隊の都市と呼ばれているよ。」


 「そうすると、ロンデン魔法学院は、軍人用の魔法学院だよね。きっと。」


 「そうだね。でも、軍人用の魔法って、何かな?」


 「テラは、以前来たのでしょ。その時は、何をしていたの?」


 「僕かい、その時は、隣のソーロン帝国に用事があったので、この街は、少し見ただけだよ。」


 ミュー先生は、私達の目の前の席で、黙って座っていた。


 馬車は、今日宿泊するホテルに到着した。私達は、自分達の部屋に分かれて入っ行った。。


 今日は、1日、ロンデンの街を観光することになっている。それぞれが、自由行動で、ホテルでの夕食に間に合えば良いらしい。


 「レイカ、街に行かない?」


 「いいわ。少し待ってね。」

 

 レイカは、制服を着替えて、持って来た服から、着て行く服を決めているようだ。


 「レイカ、ロビーで待っているよ。」


 「はい、すぐに行くね。」


 私は、下に降りて、ロビーのソファに座った。他のホテルの客も、ソファに座っていたが、軍人や商人だけで、観光客らしい人は、居ない様だった。


 軍人の一人が、私に声を掛けて来た。


 「ここへは、一人で来たのか?」


 「いいえ、違います。」


 「この街で、何をする気だ。」


 何か、勘違いをしているのか、私を疑っているようだ。


 「この街にあるロンデン魔法学院の見学に来ました。今日は、1日街の観光です。」


 「そうか。ロンデン魔法学院の見学か。それなら、結構。」


 軍人は、私から離れて他の軍人の所に行った。何が起こったのか、よく分からなかった。


 暫くすると、レイカが着替えが終わって、降りて来た。


 「テラ、お待たせ。」


 「レイカ、その服、良く似合っているよ。」


 「そう、良かった。どれにしようか、迷っていたの。」


 「レイカは、白色が似合うね。綺麗だよ。」


 「ありがとう。どこへ行く?」


 先ほどの軍人のことは、レイカを見て、すっかり、忘れてしまった。


 「お腹すかない?何か、食べたいな。」


 「いいわよ。ここの街の名物って、何かしら。」


 「ここは、森が多くて、色んな動物が取れるらしいよ。」


 「なら、肉料理ね。テラは、それでいい?」


 「僕は、構わないよ。レイカが決めてね。」


 私達は、ホテルのロビーを出て、大通りを歩いていた。至る所に軍人がいた。しかも、私達を見ると、何か、ひそひそと話をしている。あからさまに、私達を見ている軍人もいた。


 「レイカ、何か、見られているようだね。」


 「そうね。気味が悪いわ。」


 「早く、店を決めて、入ろうか?」


 「テラ、それがいいわ。」


 私達は、近くの店に飛び込んだ。どんな料理を提供するのか、あまり、見ていない。取り敢えず、入ったという感じだ。


 幸い、店の中には、軍人がいなかったので、すこし、ほっとした。


 「いらっしょい。何をしましょうか?」


 「ここの、お薦めは何?」

 

 レイカが、店員に聞いている。店員は、メニューを指さし、肉料理を薦めてきた。2人で食べるには、少し、量が多そうだが、それに決めた。


 「それでいいわ。」


 「はい、わかりました。」


 店員は、メニューを持って、奥に消えて行った。


 「何か変ね。どうして、見てくるのかしら。」


 レイカが気味悪がっている。私も、ホテルのロビーの事を思い出し、すこし、不安になった。


 「よく分からないけど、ホテルのロビーで、軍人に話しかけられたよ。」


 「何って言われたの?」


 「この街に来た目的を聞かれたよ。それで、ロンデン魔法学院の見学だって答えたら、離れて行ったよ。」


 「そうだったの。そんな事があったの。」


 「レイカ、この街に来てから、観光客を見かけた?」


 「いいえ、見ていないよ。ほとんど、軍人だけね。」


 「そうか、レイカも見ていないのか。」


 「はい。見ていないわ。」


 「この街には、観光客が居ないのかもしれないね。だから、私達が不審者のように見られているのかも?」


 「制服で、このホテルに入って来た時は、特に見られている感じはしなかったわ。」


 「そうだね。制服で街に出た方が良かったね。次は、そうしましょう。」


 店員が、大量の肉料理を運んできた。2人では、到底食べきれそうにない。私は、残った料理をアイテムボックスに入れて持って帰ることにした。


 「レイカ、おいしい?」


 「おいしいよ。思ったより、硬くないね。」


 「そうだね、しっかりと煮込んでいるようだね。変な臭みもないので、食べやすいよ。」


 私達は、料理を食べ終わると、足早にホテルに戻った。そのまま、各自の部屋に入った。


 暫くすると、レイカが、私の部屋にやって来た。


 「夕食には、時間があるね。」


 「そうね。テラは、どうしたい?」


 「レイカと一緒に居るだけでいいよ。別に観光をしなくても。」


 「私も、それでいいよ。テラと一緒に部屋で休んでる?」


 「分かった。今日は、観光を止めて、部屋で過ごそうか。」

 

 「はい。」


 私達は、観光を諦めて、部屋で、過ごすことにした。二人で過ごせば、すぐに夕食の時間になるだろう。


 夕食の時間になったので、私達は、制服に着替えて食事の場所に移動した。


 私達は、昼に大量の肉料理を食べたので、それほど、お腹が空いていなかった。出された料理は悪くはなかったが、ほとんどを残してしまった。


 心配したミュー先生が、私達に声を掛けて来た。


 「どこか、具合でも悪いの?」


 「「大丈夫です。」」


 「でも、二人ともほとんど料理に手を付けていないわよ。」


 「昼に食べた肉料理が多くて、まだ、余りお腹が空いていないのです。」


 私が、ミュー先生に答えた。


 「そうなの。2人で、街に出かけたのね。」


 「はい、外で、昼食を取りました。」


 「わかりました。そういうことなら、大丈夫ね。」


 「はい、大丈夫です。」


 「それじゃ、食事を終えて、部屋に戻りましょう。」


 ミュー先生は、係に声を掛けて、残った料理を下げて貰った。それから、それぞれの部屋に戻って行った。

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