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126.セダン魔法学院

 今日は、セダン魔法学院に出発する日だ。前回と同様、魔法学院の玄関前に集合だ。


 すでに、馬車は到着しており、お客が乗り込むのを待っている。いつでも出発できそうだ。


 私達が、玄関に行くと、シルバとミュー先生の姿が見えた。だが、他の生徒がいない。


 「「おはようございます。」」


 「テラ、レイカ、ご苦労様です。夏休みというのに、申し訳ありません。」


 「いえ、シルバ学院長のお役に立てて嬉しいです。」


 「テラ、お世辞でも、嬉しいわ。」


 「ところで、他の生徒がまだ、来ていないようですが、遅れているのですか?」


 「いえ、これで、全員ですよ。」


 「あれ、前回は、ルカやオウカが一緒だったのですが、今回は、どうして、私達2人だけですか?」


 「少し、家庭の事情で、ルカとオウカは、今回、参加しません。」


 シルバは、これ以上聞くなという顔をしていた。所謂、一身上の都合ということか。


 「わかりました。見学の内容は、前回と同じと考えてよろしいか?」


 「テラの言うとおり、前回同様、しっかりと、見学してきてください。それから、引率の先生は、前回と同じく、ミュー先生にお願いしています。よろしいですね。」


 「「はい。」」


 口では、はいと言っているが、レイカの顔は、正直だ。嫌だという顔をしている。これじゃ、誰もが気が着くと思うよ。


 私は、ミュー先生をあまり見ないようにしていた。また、レイカを刺激してしまうからだ。


 「それでは、お願いしますね。」

 

 シルバは、ミュー先生に声を掛けた。シルバは、ミュー先生に期待しているようだ。他の先生とは対応が違っている。この引率でも、もっと年輩の教師もいるのに、なぜか、ミュー先生に依頼している。


 私達の荷物が馬車に積み込まれた。私達3人が乗り込むと、馬車は走り出した。


 「ミュー先生、また、一緒に旅行ですね。」


 「そうね。今回は、大人しくしてね。」


 私の隣に座っているレイカが、私を睨んでいる。どうも、話をするだけでも、だめみたいだ。


 私は、レイカの顔を覗き込んだ。おっと、睨みつけられた。レイカの目が怖い。今回は、すぐに終わるような旅でないだけに、用心しないと大変だ。


 「レイカは、イーキ王国に行ったことはあるの?」

 

 話すことがないので、当たり障りのない話題を振ってみた。


 「テラ、私がどこへも言っていないことは知っているよね。」


 しまった、失敗だ。何も考えずに話すという、悪い癖が出てしまった。とんだ、藪蛇だ。


 「あっ、そうだったね。うっかりしてたよ。ゴメンね。」


 この旅行で、私は、何回謝らないといけないのか、気が遠くなってきた。


 私は、目を閉じて、寝ている振りをすることにした。


 「ねえ、テラ、何、寝た振りしているの。ちゃんと、目を開けなさいよ。」


 「ちょっと、疲れたから、目を閉じていただけだよ。」


 レイカは、急に私の頭を掴んで、自分の膝の上に押し当てた。強制膝枕だ。ミュー先生も見ているのに、レイカは、何を考えているんだ。


 「レイカさん、そういうことは、2人の時だけにしてね。」


 ミュー先生が注意した。見て見ぬふりをすると思っていたのに、意外だった。


 「はい、わかりました。」


 レイカは、素直にミュー先生に従った。これでも、レイカは、ミュー先生を教師と思っているようだ。


 馬車は、気不味いまま、ミヤーコ王国に着いた。今日は、ここで、1泊する。前回同様の高級ホテルに1人1部屋があてがわれた。今回も、豪勢だ。


 夕食を3人で済ませてから、各自部屋で休むことになった。今回は、3部屋が横並びで、真ん中の部屋にレイカが寝ることになった。


 私は、賢者サビオの忠告に従ってから、ベッドでも全く眠く無らなくなっていた。


 私は、スキル探索で、この3部屋の様子を調べてみた。すると、ミュー先生は、既にベッドに入って、寝ているようだ。レイカは、服を着替えている。寝るだけなのに、なにをしているのか、一生懸命に、自分に合う服を探している。


 特に、問題なさそうなので、私も、寝ることにした。


 隣の部屋で大きな声がしたので、目が覚めた。あれ、隣はレイカの部屋なのに、何故声が聞こえるのか、不思議になった。また、スキル探索で、調べてみた。すると、レイカの部屋にミュー先生もいた。もともとのミュー先生の部屋は、当然だが、誰もいない。ベッドに入って、寝ていると思っていたのに、何故、起き上がって、ミュー先生は、レイカの部屋に行ったのだろう。


 少し、耳を澄ませて、話し声を聞いてみた。どうも、ミュー先生は、レイカに私と付き合わないように説得しているようだ。でも、レイカが納得していなくて、大声をだしたようだ。


 私が部屋に行っても余計話が拗れそうなので、成り行きを見守ることにした。


 どうも、レイカとミュー先生は、教師と生徒と言う関係だけではなさそうだ。以前から、レイカのことを知っていて、担任を申し出たようだ。それ故、私との関係を終わらせようとしているみたいだ。


 ミュー先生は、私の事をシルバから聞いているので、余計にレイカの事が心配になったのだろう。


 でも、当の本人は、自分の立場など、頓着していない。いつでも捨てれるのに。

 


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