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124.前期末考査

 リューへの注射は、1週間に1回で十分の様だ。関節の痛みがほとんどなくなったと言って、喜んでいた。


 私も、薬が効いていて、嬉しかった。これを励みに、更に良い治療方法を検討することにした。


 以前、無償貸与した魔法顕微鏡の成果が出てきたようだ。これまでの顕微鏡でも、その存在が確認できていた細菌の性質について、より多くの情報が得られたようだ。


 それと、細菌よりも小さなウィルスの存在も確認された。これにより、これまで、不明だった病気が、ウィルスが原因だと分かったものもある。


 少しずつ、進歩し始めているようだ。医学は、もっと、加速的に進歩して欲しい。


 また、自分に何が出来るのかを、考えて行くことにした。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 今日は、魔法学院の前期末考査の1日目だ。これまで、レイカに教えて貰いながら、色々な魔法を練習してきた。その成果が試される日だ。


 「レイカ、おはよう。いよいよだね。」


 「おはよう。最初は、火魔法の試験だね。」


 「そうか、火魔法なら、アオイ先生の試験だね。」


 「少し、緊張するわ。」


 「レイカなら、大丈夫だよ。」


 今日の試験会場は、2カ所に分かれている。教室で、受験する組と、演習場で受験する組だ。


 いつものメンバーは、教室での受験になっている。狭い教室で大丈夫かな、少し心配だ。


 リューは、火魔法は受講していない。次に風魔法の試験からの受験になる。


 「私が、火魔法の初級講座の前期末考査を担当する。ヒナータです。

 私を初めて見る人も多いですが、よろしく。


 それでは、学籍番号をいいますので、その順番に席についてくださいね。


 20、9、29、1、6、8、24、12、16、3、22、15、23、26、5、19」


 私達は、学籍番号がバラバラなので、少し驚いた。受験の公平性を考えて、ばらばらにしているらしい。しかも、受験場所は、隣の部屋になっており、試験内容が漏れないようにしている。


 「それでは、20番の人、隣の教室に来てください。」


 「はい、私です。」


 学籍番号20番が係の後について、隣の教室へ移動した。暫くしてから、次の生徒が呼ばれた。


 次々に生徒が呼ばれていく。もう、残りの生徒もわずかになって来た。


 「学籍番号33番の人、隣の教室に来てください。」


 「はい、僕です。」


 いよいよ、私の番だ。私は、係の人の後について、受験教室に入っていった。


 「それでは、受験番号33番、テラさんですね。」


 「はい、そうです。」


 「それでは、今から、私が行う魔法を真似てください。」


 試験問題は、3問だった。試験管が行った魔法と同じ魔法を起動できるか、どうかを判定している。どうも、試験で序列をつけるつもりはないようだ。本当に、合否のみを判定している。受験が終わった生徒は、食堂で待機することになっているので、私も、食堂に向かった。


 食堂では、多くの生徒が座っており、先ほど行われた試験内容について、お互いに確認しあっていた。どうも、同じ課題ではなかったようだ。私が話を聞く限り、難易度にかなり、差があるように思われた。


 「オウカ、どうだった?」


 私は、食堂に入って来たオウカに声を掛けた。


 「はい、大丈夫です。特に、難しいものはなかったです。」


 「どんな課題だった?」


 「全部で、3問だったのですが、見たことがない魔法が1つ入っていました。見よう見まねで起動は出来たのですが、それで、良かったのか、自信がありません。残りは、授業で練習した物でした。これらは、完璧です。」


 「そうなんだ。1問だけ、初めての魔法だったんだ。」


 「テラは、どうだったの?」


 「僕は、初めてかどうか、自信がないよ。火魔法の初級講座は結構休んでいたからね。」


 「でも、レイカと練習してたじゃないか。」


 「うん。練習はしていたんで、大丈夫と思っていたんだけど、3問ともレイカと練習したことがない魔法だったよ。」


 「えっ、そんなことあるの?3問とも初めてだなんて。」


 「いや、オウカ。自信がないんだ。さっきも言ったように、休んでいたから。」


 「それじゃ、ここで、見せてよ。私は、休んでいないから。はっきり、分かるよ。」


 「それじゃ、やってみるよ。

 炎嵐(ファイア・ストーム)


 蒼白い炎が嵐のように降り注ぐ。食堂では、危険なので、範囲は絞っている。それでも、高温がはっしているので、すぐに魔法を止めた。


 「凄い、テラ、この魔法が初めて見た物じゃないって言っているの?」


 「だから、よく知らないんだ。」


 「こんなの、授業でやっているわけないよ。」


 「他にもあるのでしょ。見せてよ。」


 「それじゃ、次、行くよ。

 炎爆弾(ファイア・ボム)

 

 私は、結界を張って、魔法の影響が結界内で収まるようにした。それでも、蒼白い炎が爆発して、四方に飛び散ると思わず顔を背けてしまいそうだ。


 「これも、見たことないよ。何故、テラは、こんな魔法を起動できるの。」


 「でも、一度見た物なら、普通できるだろう?」


 「そんなわけないよ。1度見ただけで出来るなら、練習なんかいらないよ。」


 いつの間にか、食堂の他の生徒も集まってきていた。遅れて食堂に来たレイカも今の魔法を見ていたようだ。驚いた顔になっていた。声も出ないようだ。


 「ごめん、テラ、もう一つあったのでしょう。それも、見せて貰っていい?」


 「いいよ。やってみるよ。

 炎弓(ファイア・アロー)

 

 今度は、蒼白い炎が弓の形になったと思ったら、周りに炎をまき散らしながら飛んでいった。


 「これで、終わりだよ。」


 「そんなことあるの?テラ、本当に生徒なの?」


 オウカは、呆れ果てた顔で、私を見つめていた。レイカの視線が怖かった。

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