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122.巫女の採用

 漸く、元巫女のリザードウーマンを採用することが出来た。彼女は、ビーランと言った。試しに魔法を起動してもらった。特に問題はなさそうだ。光魔法が得意と言うだけあって、治癒魔法は、上級まで、放つことが出来た。


 ビーランには、兵士の指導をお願いした。兵士の中にも光魔法が使えるものがいる。数は、少ないが、ビーランほどのレベルになれば、かなり強力な戦力になる。


 光魔法が使える者は少ない。でも、闇魔法が使える者は皆無だ。闇魔法は、どこかで、意図的に消滅させられたのかも知れない。そのため、特殊な魔導具に闇魔法の魔法陣が描かれていることが多い。闇魔法の魔道具は、、現在では、遺跡で発見するぐらいで、最近作られたものは、見かけることがない。


 賢者サビオは、闇魔法も普通に使っていた。そうすると、この1000年の間に、闇魔法が世界から葬られたのだろう。私は、最初から、賢者サビオに闇魔法を教えて貰った。そのため、闇魔法自体のイメージが出来た。魔法自体は、イメージで発動する。そうすると、闇魔法のイメージを付ければ、隠れている闇魔法の使い手が現れるのかもしれない。今持っている力が発動するきっかけがあれば、いいのだろう。


 でも、この考えは少し、違うように感じる。というのも、イメージだけで本当に使える様になるのなら、魔法を使う者全員が火魔法を使えないとおかしい。風魔法も、土魔法も同じだ。イメージはあるはずだ、それでも、使えない属性の魔法が存在する。もっと、整理しないとだめだ。もっと、研究しないとだめだ。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 魔法学院では、もうすぐ始まる前期末考査に向けて、皆準備をしている。レイカもその一人だ。なぜか、皆ピリピリしている。別にこれで落第が決まるわけでもないのに、真剣そのものだ。


 のんびりしている自分だけが取り残されているように感じる。


 「レイカ、何故、そんなに、真剣に準備しているの?1番でも目指しているの?」


 「私は、合格すれば、それでいいの。1番なんて考えてもいないわ。」


 「でも、入学試験は、1番だったんだよね。」


 「そうよ。でも、それと今度の試験とは全く関係ないわ。」


 「そうかなぁ。ここに入学する前から知っていたことが多いよ。特に、今は、初級講座しかないのだし、試験範囲は入学試験と同じじゃないの?」


 「テラは、今までの演習が、本当に初級魔法だけだと、思っているの?」


 「えっ、違うの?でも、講座名はすべて初級とついているよ。」


 「ねえ、考えて見てよ。入学試験で合格した人の中に、初級魔法ができない人っているの?」


 「それはいないよ。合格しているんだからね。」


 「そうよ。初級魔法の試験にすでに合格しているのよ。その人たちに、もう一度、初級魔法の試験をする必要があるの?」

 

 「多分、ないと思う。」


 「何が、多分よ。絶対ないよ。だから、今度の試験に初級魔法なんて、出てこないのよ。」


 「えー、そんなこと聞いていないよ。」


 「皆、そう思っているわ。テラぐらいよ。初級魔法しか、出題されないと思っているのは。」


 「そうなんだ、だから、皆授業の復習を練習しているのか。」


 「そうよ。だから、テラも、のんびりしてないで、授業の復讐をやりなさいよ。」


 「でも、僕は、結構さぼって、うっ、休んでいたから。全部の講座は受けてないんだ。」


 「そうよね。だったら、私にお願いしなさい。」


 「えっ、何をお願いするの?」


 「私は、すべての講座に参加しているのよ。全出席、つまり、皆勤よ。」


 「だから、何?」


 「だから、授業の内容を教えて下さい、って言うのよ。」


 「えっ、何て。」


 「だから、『レイカ、お願いだから、教えて下さい』って言うのよ。さあ、言って見なさい。

 『レイカ、お願いだから、教えて下さい』」


 「レイカ、お願いだから、教えてください。って言うのね。」


 「余計な言葉をつけないの。はい、言って。」


 「レイカ、お願いだから、教えてください。」


 「そうよ。やれば、出来る子ね。」


 レイカは、私の頭をポンポンと叩いた。とても嬉しそうだ。レイカは、一緒に魔法の練習をやりたいようだ。仕方がないので、今日は、付き合ってあげることにする。


 「レイカ先生、最初は、何をすればいいですか?」


 「そうね。テラが休んでいた時の水魔法の2回目の授業をするね。」


 「えっ、僕が休んでいた時をしっているの?」


 「すべて、控えているよ。だから、私の言うことを聞いてね。」


 「はい、レイカ先生。」


 私は、その後も、レイカ先生が納得するまで、初級魔法の授業の()()を行っていった。


 もう、すっかり、夕暮れになっている。だけど、レイカ先生は、まだまだ、元気だ。時間と共に過激になってきている。これじゃ、一日中やりかねない。


 「レイカ先生、そろそろ、夕食の時間ですよ。」


 「大丈夫よ。テラ、食堂はいつでも空いているわ。」


 「えー、そんなこと、言ってないよ。」


 レイカ先生は、私の声を無視して、まだ、初級魔法の講座の復習をさせようとしている。


 あと、1時間だけだよ。私は、自分に言い聞かせた。

 

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