12.レンタルの延長
私が、店を開店して、もうすでに、1ケ月が過ぎようとしていた。
店の開店と閉店は、もう、ルーチンワークになっている。なんとかして、もっと、楽になりたいが、良い方法が見つからない。でも、賢者サビオには、頼れない。前回、怒られたからだ。
特にいい考えもなく、商業ギルドへ向かった。当然、スピアも一緒だ。
「リンダ姉、暇?」
「どうしたの、朝から、気怠そうね」
「うん、何だか、やる気がないのね」
「気分転換をしたら?」
「リンダ姉も、そう思うよね」
「そうね。そう思うわ」
「どこかへ、遊びに行こう」
「えっ、今、仕事中よ」
「今日1日、休んでよ」
「そうも、行かないわ」
「リンダ姉の意地悪」
「今度、一緒に遊びに行くから、今日は我慢してよ」
「はい、分かった。約束よ。いい」
「はい、はい、約束よ。今度、一緒に遊びに行くからね」
「バイバイ。今度ね」
商業ギルドを出た私達は、今度は、冒険者ギルドに向かった。
「ローララ、暇?」
「朝から、どうしたの?」
「何だか、元気がないの」
「何か、あったの?」
「うーん、わかんない」
「仕事のし過ぎじゃない」
「そうかも。ローララは、気分転換には、どんなことしているの?」
「そうね。休みの日に買い物とか、何か、甘い物を食べるとか、かなぁ」
「買い物と甘い物か。どっちもいいね」
「そうそう、今日は、買い取る物はないの?」
「あっ、忘れていた。少しあるの。お願いします」
「これに、入れてね」
「はい。今日は、これだけです」
「ゴブ・ゴブリンが8匹、ホブゴブリンが8匹、ゴブリンが136匹ね」
私は、ローララに冒険者IDを渡して、記録してもらった。
「バイバイ。また、来るね」
今日は、気分が乗らずにダラダラしていたので、大事な用事を忘れていた。
商業ギルドで、店と無人販売用の機械のレンタルの延長を申し込む予定だった。
すっかり、忘れていた。もう一度、私達は、商業ギルドに戻った。
「リンダ姉、また、来たよ」
「もう、今日は、だめって言ったよね」
「うん、知っているよ」
「だったれ、何故、来たのよ」
「あの、店を延長して借りたいんだけど」
「何だ、用事があったのね。ごめんなさいね。誤解して」
「いいんだ。今日は、変だったから、迷惑かけたね」
「いいのよ。それじゃ、無人販売用の機械のレンタルも延長するの?」
「うん、そうしてね。すべて、6ケ月延長します」
「そうすると、全部で、金貨360枚になるよ。大丈夫?」
「最近、儲かったから、大丈夫だよ。商業IDで清算
でも、凄いね。
店は、繁盛しているの」
「うーん。よく、わかんない」
「店で働いているのよね」
「いつも、留守にしているよ」
「それじゃ、無人販売用の機械の売り上げが凄いの?」
「まだ、機械から、金貨を回収していないから、わかんない」
「えっ、そんな状態で、よく、店をやっているね。本当に、大丈夫?」
「今日帰って、計算してみます。儲かっているかどうか、今度、話すね」
「それより、帰って、寝る方がいいと思うよ」
「はい。バイバイ」
私は、リンダの忠告通り、帰って寝ることにした。また、スピアに添い寝してもらう。
「スピア、おいで」
ベッドで寝ている私の横に来たスピアの腰に抱き付きながら、眠りについて。
夢の中で、賢者サビオに注意された。
「ちょっとは、自分で考えろ」
「でも、もう少し、教えて貰ってもいいのでは?」
「自分で、『賢者の道』を歩むと決めたのじゃないか」
「そうです。でも、もっと、丁寧に導いてくださいよ」
「何を甘えている。お前は、少しも成長しないな」
「えぇっ、それを言いますか?成長しないって」
「その通りだろう」
「でも、私はゴーレムですよ。どうやって、成長したらいいんですか?」
「また、頼ろうとする。自分で考えるのじゃ」
また、怒られた。ビックリして、目が覚めてしまった。
「そうか、成長していないか」
確かに、私は、成長していなかった。そんなことも勧化つかなかった。だから、怒られても仕方がない。
「まあ、明日から頑張ろうっと」
私は、もう一度、スピアの腰を抱きしめた。ふわふわの尻尾が私のほほを撫でる。
「やっぱり、スピアは、可愛いね」
すぐに、私は、また、眠りに落ちてしまった。今度は、変な夢で起こされないように。