112.加盟店計画
先ほど、リンダから思念伝達で、連絡を受けた。看板や包装用の袋などのデザインが出来上がったので、確認して欲しいということだ。
早速、私は、リンダに会いに転移魔法で、移動した。
「リンダ、早かったね。」
「えぇ、頑張ったわよ。これだけど、どう?」
「良いと思うよ。それから、加盟店用の物は、もっと小さいサイズにして欲しい。支店と区別したいから。」
「わかったわ。それ以外は、どう?」
「後は、問題ないと思うよ。それから、今後の計画を話しておくね。
『テラ・ワールドの本店から、支店へ商品を送り、販売してもらう。場合によれば、無人販売用の機械を使っても良い。配送には、テラ・ワールドの本店にある、転移用の魔法陣を使う。
加盟店には、支店と同じように商品を卸すが、支店へ卸すときは、商品代金は、不要だが、加盟店の場合は、販売価格の20%引きで降ろす。後は、販売店に任せる。ただし、販売出来た商品に関しては、5%の手数料を貰う。売れなかった商品は、引き取る。ただし、引き取り期限を商品受け取り後1ケ月とする。
加盟店は、テラ・ワールドの商品の類似商品は販売できない。その他の商品については、加盟店が他から仕入れても良い。
加盟店は、入会時に金貨20枚を登録料として、支払うこと。
また、月金貨5枚を相談料として支払うこと。』
これが、今回考えている、テラ・ワールドの加盟店計画だよ。」
「それで、加盟店はあると思うの?」
「さあ、どうかな?これは、実験だよ。失敗したら、また、考えるよ。」
「そうか、やってみないと分からない物ね。一つ気になったのが、商店に商品を卸していた錬金術師は、どうなるの?」
「当面は、赤のポーションを売っていくので、他の商品を創れば、問題ないよ。もし、創れないのなら、失業するね。」
「結構な数の失業者がでない?」
「まあ、やってみないとね。」
「まあ、やりながら、改善しましょうか。」
「うん。ありがたい。そう言って貰って。ただ、今、致命的な欠陥があれば、教えてね。私、結構抜けているから。自慢じゃにけどね。」
「はい、はい、よく分かっていますよ。」
「良かった。リンダに分かって貰えている。嬉しいな?」
「いつ、スタートする?」
「それは、リンダに任せるよ。加盟店の用紙も作っておいてね。」
「いいよ。後は、このリンダに任せてよ。」
「はい。お願いします。」
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後日、リンダから、連絡が入った。明日から、始めるということだ。暫くは、目が離せないね。
シロッコスから、連絡が入った。兵士の家族の移民は、順調に言っているらしい。ほとんどが、一緒に暮らしたいと言っているらしい。それと、住居が無料で、提供されることも影響が大きいようだ。
ただ、巫女の件は、大きな進展がないようだ。やはり、宗教がらみは難しいようだ。別のことを考えないとだめかもしれない。
レンゲーから、ちょっと、変わった報告が入った。それは、ソーロン帝国の南に大きな大陸ががあり、どうも、そこから魔物の侵攻があるようだ。それに対抗するために、ソーロン帝国は、高さ20mにも及ぶ高い壁を作っているようだ。しかも、その厚みが2mもあり、通常の攻撃では、破ることができないほどの物らしい。一定の間隔で、見張り台と大きな鉄の門があるそうだ。その門は、鉄でできており、厚さ50cmにもなるそうだ。
いままで、勘違いをしていたようだ。ソーロン帝国が、軍備を強化していたのは、他の国を攻めるためではなく、魔物の侵攻から、帝国を守るためだったようだ。
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今日は、色々と動き回ったせいで、授業に参加することが出来なかった。明日は、授業に出よう。そう思いながら、魔法学院の自分の部屋で、ベッドの上で、頭から、布団を被って、眠り込んでしまった。
「コン、コン。」
誰かが、ノックしている。こんな夜中に誰だろう。私は、寝たふりをして、様子を見ていた。
「コン、コン。」
また、ノックしている。今度は、ドアを開けようとしている。この部屋には、結界が張ってあるから、私が許可して者以外はいてくることはできない。
あれ、中に入って来た。私の闇魔法の結界が破られた。これは、一大事だ。私は、耳を澄ましながら、侵入者の様子を窺っていた。
すると、いきなり、布団の中に忍び込んで来た。思わず、私は、侵入者の両手を掴み、ベッドの上に押し付けて、自由を奪った。それから、光魔法で、部屋の明かりをつけた。
「誰だ、こんな夜中に!」
「テラ、私よ。手が痛いわ。」
「あっ、ごめん。てっきり、強盗か何かだと勘違いしたよ。」
「何度もノックしたのに、返事がなかったから。」
「ごめん、寝込んでいたみたいだ。」
「本当に、ノックしたのよ。でも、返事がないから。」
「わかったよ。ごめん。」
「今日は、どうしたの?授業に出なかったでしょ。魔法学院の中を探し回ったのよ。」
「今日は、色々、しないといけないことがあったんだ。」
「テラは、よく、こそこそ、何か、してる。何、してるの。」
「何でもないよ。家の用事だよ。」
「うそ、家族はスピアだけって、言ってたよ。だから、家の用事なんて、あるはずないよ。」
「嘘ではないよ。本当に、家の用事だよ。私の事が信じられないの?」
「そんなことないもん。信じているもん。」
急に、幼子のような喋り方を始めた。どうしたらいいの?こりゃ、また、大変だ。授業に出ても、休んでも、何をしても、捕まってしまう。その後、安心して、寝るまで、ずっと相手をする羽目になった。