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107.ソーロン帝国の偵察

 私は、気球を使って、ソーロン帝国の偵察を行うことを考えた。今は、ソーロン帝国の動向が気になってしかたがない。


 気球は、熱気球として、小さな物を考えた。釣り上げるのは、1辺が20cmの立方体だ。それを、半径2mの風船で自由に移動させる。今は、人を乗せることを考えていない。遠隔で操作し、地上の状態を見ることにした。


 上下移動は、風船の下に置いた加熱する部品で行う。これには、火魔法を起動する魔方陣を刻印している。また、船の時と同じように、5段階で熱量を調整できる。

 

 前後左右の移動には、風魔法を起動する魔方陣を刻印している。これも、5段階で風量を調整できる。


 これらを、手元の操作盤で操作できるようにした。最後に、釣り上げる立方体の4カ所に遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタを付けて、手元の操作盤にも遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタを4つつけて、リンクさせた。この為、手元の操作盤は少し大きなものになってしまった。


 結局、操作盤は、縦60cm×横45cmの大きさになってしまった。


 私は、思念伝達でシロッコスに連絡を取り、偵察用気球を作ったことを伝えた。


 「シロッコス、テラだよ。」


 「はい、何でしょうか。」


 「ソーロン帝国の動向が気になっていてね。それで、偵察用気球を作ったよ。」


 「偵察用気球とは、何ですか?」


 「そうだね。口で言ってもよく分からないだろうなぁ。これから、持っていくよ。シロッコスは、基地にいるよね。」


 「はい、今は、基地に居ます。」


 「それじゃ、ちょっと、待っていてね。」


 私は、転移魔法で、基地に移動し、シロッコスに会いに行った。


 「お待たせ。持って来たよ。」


 私は、アイテムボックスから、偵察用気球と操作盤を取り出した。偵察用気球の風船部分を少し膨らませてから、操作盤をシロッコスに渡した。


 「ここを押すと、気球の風船部分の空気を熱することができるよ。」


 私は、実際にボタンを押して、加熱を始めた。すると、風船が膨らみ、すこし浮き上がった。


 「おぉ、浮きましたね。テラ。」


 「もう少し、加熱するよ。」


 すると、偵察用気球は、地上5mぐらいまで、上昇した。


 「こっちのボタンを押すと、前に進むよ。こっちのボタンで右に動くよ。慣れるまで、操作が難しいかもしれないね。」


 「はい、テラ。私もやってみます。」


 偵察用気球をシロッコスは、上手に操作している。これなら、大丈夫だろう。


 「うまいね。それじゃ、出来るだけ見つからないように、ソーロン帝国の偵察を行ってくれる?」


 「はい、分かりました。これは、レンゲーにも、伝えていいですか?」


 「もちろんだよ。それから、カーリンにも、伝えておいてくれるかな。」


 「はい、了解しました。」


 私は、基地を離れて、魔法学院の自分の部屋に転移魔法で、移動した。急いで、服を着替えて、授業に間に合うように、教室に移動した。何とか、間に合ったようだ。


 「レイカ、おはよう。」


 「テラ、おはよう。今日は、相棒が居ないのね。」


 「少し、遠方まで行っているの。暫くは、私、一人よ。」


 「そうか、それじゃ、寂しいね。いつも、テラったら、スピアにベッタリなんだから。」


 「そりゃ、家族だもの。いつも、一緒だよ。」


 「わたしも、家族になりたいなぁ。」


 レイカは、甘えて、私の腕に腕を絡めてきた。そして、そのまま、自分の席の横に私を座らせた。


 「レイカ、そんなに引っ張らないでよ。」


 「良いじゃない。痛くないでしょ。」


 「痛くはないけど。」


 「なら、いいでしょ?」


 「はい、はい、わかったよ。」

 

 私は、諦めて、レイカの横に座って、授業を受けることにした。暫くすると、ツムーギ先生が教室に入って来た。


 「初めまして、私が、風魔法の初級講座を担当するツムーギです。半期だけですが、よろしくね。」


 ツムーギ先生は、簡単な挨拶をすると、早速、魔法を起動した。風が渦を巻いている。すると、ツムーギ先生は、ポケットから、小さく切った紙を出して、その風の渦の中に放り投げた。


 「こうすると、風の動きがよく分かるね。少し、渦を動かすよ。」


 渦が、大きくなったり、小さくなったり、場所を移動したり、斜めになったり、自由に動き回った。まるで、動物のような動きをしている。


 「それでは、各席の先頭に座っている人は、テーブルの上の紙を配ってくれる。」


 「「はい。」」


 風魔法の初級講座は、9名が受講している。見慣れたメンバーの3人以外に、初めての顔が何人か目に入った。


 その中の一人が、私の印象に残った。というのも、いつもの私の席に座っていたからだ。部屋の隅に一人だけ、皆から離れて、ポツンと座っていた。


 ようすを見ていると、何やら、もぞもぞした動きで、余り若さを感じない。


 確か、この魔法学院は、年齢も経歴もなにもかも、不問だったから、どんな人でも、入学試験に合格すれは、入学できるのだけど。


 シルバから、特殊な入学生について、聞いていなかった。だから、私は、今回の入学生が全員私と同じ13才ぐらいだと、思い込んでいた。


 この授業が終わったら、シルバに聞いておこう。変な学生がいるって、シルバも知っている方がいいだろうから。


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