表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/261

104.レイカの夢

 今日は、昼からの授業がないので、レイカと一緒に街に出かけることにした。


 「レイカ、何処へ行きたい?」


 「私は、何処でもいいよ。」


 レイカは、貴族エリアで生活してきたようなので、今日は、貴族エリアで、デートをすることにした。


 「いつもは、どの店にはいるの?」


 「わたし、一人では、出かけないの。だから、店も入ったことないよ。」


 「どういうこと?どの店も入ったことないの?」


 「そうよ。だめなの?」


 「いいや、大丈夫だよ。レイカは、服はどうやって決めるの?」


 「誰かが、買って来ているの。それの中から、着るだけよ。私は、選ばないよ。」


 「そうなんだ。では、今回の魔法学院の入学も親が決めたのかな?」


 「そうじゃyないの。魔法学院の入学は、自分自身で決めたの。」


 「そうなんだ。何か理由があるの?」


 私達は、近くの店で、何か飲むことにした。二人で、店に入っていった。


 「特に、理由はないよ。魔法に関しては、いつも褒めて貰えていたから、それで決めたの。」


 「そうか。あっ、此処に座る?」


 「いいわ。」


 「すみません。ケーキセットを2つ下さい。」


 「はい、只今。」


 店員が来て、メニューを見せてくれた。それぞれ、ケーキと飲み物を注文した。


 「いつもは、一人で、魔法の練習をしているの?」


 「ううん。魔法の練習はしないよ。この学院に来て、初めてよ。」


 「そうか、練習無しで、そんなにできるのか。凄いね。僕なんか、練習、練習で、やっと、此処まで出来る様になったんだ。」


 「ふーん。そうは見えなかったけど、意外に苦労しているのね。」


 「そうだよ。基本、私は一人だから、すべて、一人でやっていかないといけないんだ。」


 「えっ、テラは、家族いないの?」


 「そうだよ。家族はいないよ。スピアが唯一の家族みたいなものだね。」


 「そうなだ。寂しくない?」


 「今までは、感じた事がなかったけど。最近、少し、寂しい時があるね。」


 「寂しい時は、いつでも言ってよ。私でよかったら、慰めてあげるよ。」


 「ありがとう。レイカは、親切だね。」


 「そんなことないよ。テラ、だからね。」


 「レイカは、魔法学院を卒業したら、どうするの?この国で、3年間働くことになるけど。」


 「まだ、何も考えていないわ。光魔法が使えるから、白魔導士で、治療関係の仕事に就こうかと思っていたの。」


 「良いと思うよ。レイカは、優しいから、白魔導士が似合うと思うよ。」


 「嬉しい。でも、別の仕事にしようかと思っているの。」


 「どうして?」


 「ミュー先生の授業についていけないの。だから、光魔法が使えるけど、素質がないのかなぁって。」


 「レイカは、この魔法学院の中では、一番だよ。もっと、自信を持っていいよ。」

 

 「でも、今日は、散々だったわ。あっ、そう言えば、今日の授業さぼったの?」


 「うん、ちょっとね。」


 「今日は、どんなことしたの。教えて?」


 「怪我をした兵士が3人運ばれて来て、私達が治癒魔法で治す練習をしたの。」


 「そうか、実戦練習だね。難しいよね。実戦って。」


 「えっ、そうなの?難しいの?」


 「予め、決められた魔法を起動するだけでも大変なのに、どの魔法を使えばいいか、考えなければならないって、初級じゃやらないよ。」


 「そうだったの。私、初級光魔法の講座だから、簡単に実習だと思って、落ち込んでいたの。」


 「そうか、レイカは、実践が初めてだったんだね。」


 「うん。初めてだったの。だから、治癒魔法って、一つしか知らなくて。でも、その魔法では、兵士さんを治せなかったの。」


 「それは、無理だよ。1つの治癒魔法では、一つの病気が治せるだけだよ。もっと、上位の治癒魔法なら、別だけど。初級の治癒魔法では、無理だよ。」


 「そうなんだ。それじゃ、落ち込まなくてもいいの?」


 「まあ、今はいいけど。もっと、スキルアップは、した方がいいよ。白魔導士は、夢なんでしょ。」


 「できれば、なりたいの。」


 「そうだ。ちょっと、実験してみようか。」


 「どんなこと?」


 「ちょっと、待ってね。すみません。」


 私は、店員を呼び、蓋つきのポットを2つ用意してもらった。そして、その中に、1つには塩を、もう一つには、砂糖を入れて貰った。


 「さあ、レイカ。ここに同じポットが2つあるね。これをしっかり見てくれる。」


 「見るだけでいいの?」


 「見ながら、何が入っているのかなぁ、って、考えてくれる。」


 「うん。いいよ。やってみる。」


 レイカは、素直に2つのポットを見つめている。私は、レイカの真剣な顔を見つめていた。結構、可愛いじゃないか。


 「うん。しっかり、見たよ。」


 「それじゃ、中身を教えて?」


 「こっちのポットが、塩ね。それで、こっちのポットが、砂糖ね。」


 「正解。やったね。」


 「この遊びが何の役に立つの?」


 「まあ、騙されてと思って、これから、中身の分からない物を見つけたら、何が入っているのかって、思いながら、見つめてごらん。そしたら、大抵の物は、中身がわかると思うよ。」


 「うん。やってみる。」


 レイカは、真剣な目で、私を見つめている。見つめながら、何か呟いている。よく聞いてみると。


 「何が入っているのかなぁ?」


 この言葉を繰り返しながら、私を見つめていた。これは、ヤバいかも。いつまで、隠し通せるか、自信がない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ