第一話
この語りの舞台は魔法や魔物が存在するいわゆるファンタジーな世界だ。そんな世界に旅立とうとしている青年がいた。
ピ……ピ……ピ……ピ……ピ
無機質な機械音が部屋に響いていた。
そこは病院の手術室。ある青年が、手術を受けていた。
「そこを押さえていてくれ!よく見えない。…………メス……」
ブチッ
「あっ!」
ピーーーーーーーーーーーーー
無機質で死を遂げる機械音が部屋中に鳴り響いた。
「……ここはどこだ?確か俺は手術を受けていたはずじゃ?病室っぽくないしいったいどこなんだ?」
この青年の名前は、御子神雅哉。先ほどまで手術を受けていた16歳の高校2年生。
雅哉がキョロキョロしていると奥の方から足音が聞こえたきた。
「!……誰かいるのか?」
「やぁー雅哉くん。初めまして。突然ですまないが君は死んだ。手術を受けていたみたいだけどなんかミスったみたい!これはまぁードンマイとしか言いようがないね!」
20代くらいの知らない男がこう言った。しかし俺には、頭のおかしい奴が出てきたにしか考えられなかった。
すると男が俺の顔を見て悟ったのか「混乱するのも仕方がないか」と言った。
俺は「この人、やばい奴かもしれん。おまけに俺が死んだことドンマイで済ませちゃったよ」と心の中で思いながら「誰ですか?」と聞いた。
「簡単に言うと神だね!うん」
「は?」俺はこの人がやばい奴だと確信した。
「は?とはなんだい!親切にわかりやすく教えてあげたと言うのに。」男は不満そうに言ったが楽しんでいるようにも見えた。
「いゃー神様ってこんなチャラい人なんだなって思って」
「確かによく言われるよ。そんなに僕チャラいかな?」
「はい!」
「即答かよ!まぁーそんな話は置いといてここは、死んだ奴が行くところの裏の通り道みたいなとこなんだけど、なぜ君が裏の通り道にいるかって言うとね、君が転生者に選ばれたからだ。一年間鳥に糞を落とされるよりも難しい確率を君は当てたんだよ。運がいいねー。」
俺は話に全然ついていけなかった。
「転生?」
「そうだよ!君の世界で言うところの異世界転生さ」
「異世界転生?!ファンタジーにも程があるだろ」
「おおー!いいリアクションだねー。そのリアクションを待っていたんだよ」
神様は、嬉しそうにニコニコしながら言った。
「やっぱりあんた楽しんでんだろ」
「仕方がないじゃないか。最近暇で暇で困っていたんだよ。平和になってから死ぬ人も少なくて全然裏の道に来る人がいないからね。まぁーそれはいい事のなのかもしれないけど。ぽんぽん死んでこっちをにぎわせてくれないかなー」
「あんたそれでも神か?神様がそんなこと言ったら終わりだろ。」
「小さな事は気にしない気にしない!」
神様は、笑いながら言った。
「いや、気にしろよ。」
こいつ神様としてダメだろと思った。
「話を戻すけど、君がこれから行く異世界は君が元いた地球とは違い魔法や魔物が存在する世界なんだ。」
「魔法ってあのアニメとかの?」
「そうだよ!君はアニメとか、かなり見ていたみたいだから大体はわかるだろ?」
「アニメみたいな世界なのか?」
「君が好きなアニメと全く同じではないだろうが大体は同じだ」
俺はは驚きはしたが少しテンションも上がった。
「まさか……そんな世界が本当に存在してたなんて思いもしなかった!みたいな顔をしているな。まぁーそんな世界に行ってもらうわけだが、一つ問題があってね、その世界の身体能力の平均と君の身体能力が違いすぎるんだよ。このまま異世界に送ったら君はすぐに死ぬだろう。」
「マジかよ。どうにかならないのか。」
「そういうも思ったよ。だから君の身体能力や他の色々をかなり上げといたよ。」
「そうか。それは助かるよ。ありがとう」
俺は厨二の血が騒ぎ笑みが溢れた。
「それと君は魔力を持っていない。魔力がないと魔法が使えないんだよ。だから魔法が使えるよう色々としておいたから!」
「魔力って尽きることってあるのか?」
「あるけど。よっぽどのことがない限りは切れないようにしておいたから。経験を積めば魔力量も上がるから頑張りたまえ」
神様は偉そうに言い腹が立ったが黙っておいた。
「オーケー。大体のことは分かったよ。」
「ならそろそろ、出発しようか!最初は自分のからだみたいじゃないみたいに感じるかもしれないから気おつけてね」
「なんでだ?」
「魔力とか元々ないものが体の中にあるからだよ。おまけに身体能力もろもろあげてるからね!」
「わかった。徐々に慣れていくよ。ありがとう」
「それじゃ転送するね!」
すると俺は気がどんどん遠くなっていくのを感じた。これから、俺の新しい人生が始まるんだ。どんな世界なのか楽しみだ。