漫才「消してあげる」
二人「どうも~よろしくお願いします」
ボケ「俺ね、最近すごい発見したのよ」
ツッコミ「なになに」
ボケ「俺、尽くすタイプみたい」
ツッコミ「お前が?」
ボケ「俺が」
ツッコミ「漫才でボケ散らかして俺にツッコませ続けてるお前が?」
ボケ「そう。俺が」
ツッコミ「信じられないな~。ほんとに?」
ボケ「いや、ほんとに。ちょっとやってみようか?」
ツッコミ「じゃあ、見せてよ」
ボケ「いいよ、やろう」
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ツッコミ「あー、どうしよう。俺、ニンジン苦手なのに今日の弁当のおかずニンジン入ってるよー、困ったな~」
ボケ「じゃあ俺が食べてあげる。パクっ」
ツッコミ「わ、ニンジンが消えた!」
ボケ「どう?」
ツッコミ「助かったわ」
ボケ「でしょ」
ツッコミ「そういえば仕事忙しくて全然部屋が片付けられないんだよなー」
ボケ「たまってた洗濯物、洗っといたよ。ゴミも全部捨てておいたからね」
ツッコミ「わ、あんなにあったゴミが消えた!」
ボケ「どう?」
ツッコミ「尽くしてるわ」
ボケ「でしょ」
ツッコミ「明日雨か~嫌だなー」
ボケ「(なにやら念を込める)ンンンンンッ!ハッ!」
ツッコミ「わ、雨雲が消えた! 明日の天気予報が晴れになってる!」
ボケ「どう?」
ツッコミ「もはや神だわ」
ボケ「でしょ。俺、なんでもしてあげたいわけ。嫌なもの全部消してあげちゃう」
ツッコミ「すごいなーお前……いやちょっと待て」
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ボケ「なに、なんか問題あった?」
ツッコミ「雨雲は消せないだろ。それは嘘だろ」
ボケ「いやいや、俺できるんだって! お前のためならなんでもやっちゃうんだって」
ツッコミ「本当に?」
ボケ「本当に」
ツッコミ「俺のために?」
ボケ「お前のために」
ツッコミ「まあ、悪い気はしないな」
ボケ「でしょ?」
ツッコミ「じゃあちょっと、俺の悩み聞いてくれる?」
ボケ「聞く聞く」
ツッコミ「仕事中だけどいい?」
ボケ「いい。全然いいよ」
ツッコミ「最近さ、彼女が冷たいんだよね」
ボケ「ひどいな、お前こんなにいい奴なのに」
ツッコミ「いや、原因はさ、俺なんだけどね。仕事忙がしくてなかなか会えないからさ」
ボケ「それは仕方ないでしょ、仕事大事だもん」
ツッコミ「ありがと。まあ、それでさ、別れたほうがいいのかなーなんて」
ボケ「別れたほうがいい」
ツッコミ「即答だね」
ボケ「お前のことわかってくれない彼女なんていないほうがいいって」
ツッコミ「そう?」
ボケ「うん」
ツッコミ「でもなあー」
ボケ「わかった、じゃあ俺に任せて!」
ツッコミ「お前に?」
ボケ「ほら、俺、お前に尽くしたいから! ちゃんとお前の悩み解決するよ」
ツッコミ「じゃあ、任せよっかな」
ボケ「任せて任せて!」
ツッコミ「(お客さんに)いや、すいません。なんかプライベートな相談しちゃった」
ボケ「いやいや、たまにはこういう漫才もありってことで」
二人「どうも、ありがとうございました~」
ツッコミ、ハケる
ひとり残ったボケ、ニヤリと笑う
ボケ「大丈夫、俺、お前の嫌なもの、(声のトーンを低くして)全 部 消 し て あ げ る か ら」
暗転