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第N^5話:定員は一人...だったかもしれない異世界転生(後)

 

 

 

 

 

 そもそも話を進めるとは?

 

 ヒメちゃんの言った作戦はこうだ。

 第一条件として、ここから話を進める際。僕がトラックに弾かれて死ぬ必要がある。

 ただそれで死んで異世界転生をして、と話を普通に続けているだけでは、再びここに返ってくるだけ――――ヒメちゃんからすれば「自分のせいで」「僕が死に続ける」という蓄積を増やすだけ、それは耐えられないと言う。

 だからこそ逆に、彼女の考えた作戦は。

 

「ヒロくんと一緒に異世界転生すればいいのよ! そう世界改変(※改稿)させればいいの!」

 

 いや、無茶苦茶言ってませんかねヒメちゃん。

 言わせてもらえれば、それって最悪ヒメちゃん蘇らない可能性があるというか。

 2人死んだとしても、蘇るのが僕だけの可能性があるし。

 

「だからだよ、その、なんっていうかな。えっと。私たちって、創造主からしたら『登場人物』でしかないじゃない」

「うん」

「だから、登場人物について設定上の『ゆらぎ』を残しておけば、それを再利用できるんじゃないかって思って。その、私とヒロくんが付き合っている現状を考えればさ」

 

 現時点の僕らの関係を付き合ってると言って良いものかどうかさえ不明なんだが。

 

「でも、私の容姿が変化したってことは――――きっと創造主の手が私に入ったってことじゃない?」

 

 あー、つまりつまり? ヒメちゃんの作戦というのは。

 

「私たちの存在を創造主に認識させて、『その後』を描かせるようにするの! そうすれば、どんな形であれエタったこの世界からは脱出ができる!」

「なんともまた他力本願な……」

「でも他にやりようないじゃない。私たちって、たぶん、向こうからしたら二次元とかそんなものよ」

 

 下手したら一次元かもしれない、というのはお互い考えないことにする。

 

「創造主に認識させるっていうか、そもそもお話を進めるっていうのも色々謎っていうか……」

「この世界において、今、『エタるびと』なのは私とヒロくんの二人だけだから」

「だから? 仲間でも増やそうって話?」

「ちょっと違うかな。えっと…………、つまり、次の展開を創造主にねん出させる、それを許容させる、許容させて話の続きを作らせる、あるいは脱出する。これをしないと、私たちはどうにもならないっていう感じだと思うの。ヒロくんと私の関係もこれ以上進まないなら、ヒロくんが『何度死んでも』、転生した後ちょっと進んでそのまま止まってしまう状態から脱出できないってことで」

「状況をとにかく変化させなきゃいけないってことかな? うーん、メタにメタ張りすぎてる作戦すぎて意味が分からないんだけど……」

 

 こういう入れ子構造みたいな話を展開する想像力は僕にはない。

 というか、ヒメちゃんの話には多分に希望的観測が含まれているような気がする。

 たとえヒメちゃんの容姿を可愛らしく変更したところで、話の展開が続くかどうかは不明だし、ということだ。

 きっとそれには、創造主が話を続けるために腹をくくるか、観測者たちが創造主にリアクションをとるしか方法がないだろう。

 そして、それが僕らの立場からすれば完全に他力本願だし、保証も何もどこにもないのだ。

 そんなことをヒメちゃんに言ったら、彼女はその可愛らしく変化した顔を真顔にした。

 

「つまり…………、えっと、いつ削除されても、捨てられてもおかしくないってことじゃない? 私たちの世界って」

 

 …………………………………………。

 

「え?」

 

 ちょっとその発想はなかった。

 いや、でも、確かに。創造主が僕らのことに興味を持っていれば、それだけ話を持続できる可能性が(かろうじて)残っているはずだけれど。

 それすなわち、興味もない、観測者からの反応もないとなってもはやいじる必要性がなくなってしまえば。

 切り捨てられると言うこと、消滅してしまうかもしれないという事実に、僕は薄ら寒差を覚える。

 

 ちょっとこれには恐慌した僕ら二人。

 特にヒメちゃんは混乱著しかった。

 

「やっぱえっちしよう! 今からヒロくんのお家いこう!」

「いや、ちょっと待って! 色々言いたいことあるけどちょっと待って! なんでその発想に至ったし!」

「いやーの! ヒロくんのおうちいくのー!」

 

 幼児退行していらっしゃる。

 

「処女のまま消えてなくなりたくないのー!」

 

 そしてまた爆弾発言を…………。

 そんなことを言って周囲の目が――――あ、周囲に誰もいないや。つまりこれは、冒頭部において僕とヒメちゃん、猫とトラック以外は人物? に関するものは何も描写されていなかったと言うことか。

 

「お家いきたくないならこの場でおっぱじめるから! ヒロくん覚悟っ!」

「タイム! ちょっと待って、いきなり脱ぎださないで、あ、ちょっと! 僕のベルト外さないで――――いや、え? でかっ。いや、そうじゃなくって、いや、その、えっと、公衆の面前で、っていないやそういえば! って、だからそういうことじゃなくて」

「かくごっ」

「可愛く言ってもダメなものはダメだかr

 

 

 

 

 

 気が付けば、僕とヒメちゃんは信号機の手前、つまり最初の状態に戻っておりまして。

 何事もなかったかのようなリセット状態。

 振り向くヒメちゃんと顔を合わせる僕。

 ぜいぜい、とお互い肩で息をしているのは仕方ないだろう。

 

「ごめん、取り乱したわ……」

「まぁ、うん、ショックを受けたんだろうなってことで、スルーしとくよ」

「ありがと」

 

 感謝されてもあんまりうれしくない。

 いや、別にそりゃ高校生男子としてその手の欲望もないわけじゃないんだけど。

 いくらなんでもこんな流れでそういう話になるのは、あんまりにもあんまりっていうか。

 そういうことに関しては、割とメルヘンかもしれない幻想を抱いている僕だった。

 そんな、裸んぼ万歳みたいな流れで散らすのはちょっと……。

 というかたぶんだけど、ヒメちゃんのさっきのそれもキャラ付けの一環なのではないだろうか。

 こう、サービスシーンを増やす、あるいは増やせる余地を出せば、存在感を増していけるのではとかいう。

 まぁあえて指摘はしないけど、それはともかく。

 

「えっと、僕としては、ヒメちゃんも事故に巻き込まれるのは反対かな」

「なんで? その方が確実じゃない?」

「確実じゃないから。それで異世界転生に相乗りできるかもしれないっていうヒメちゃんの作戦自体が希望的観測すぎるし。確証がなさすぎるから、無茶苦茶だよ」

「じゃあどうしたらいいのよ」

「そこを一緒に考えようって話だと思うんだけど……」

 

 ヒメちゃんはしばら考えるようなしぐさをする。どうでもいいけど、そのポーズが指先で唇の下をなでるように動かしてる感じのもので、中々にクるものがあった。見た目が美少女になったことが大半の理由だっていうから、我ながら単純すぎて辟易する。

 わかった、とヒメちゃんは僕の顔を見て。

 

「わかったから――――――とりあえずヒロくんのお家にいこう」

 

 ひょっとしてこの方、えっちするミッションを諦めていらっしゃらない?

 

 

 

 

 

 

※ヒメちゃんの脱いだ後とかの描写はかなり自主規制が入ったので、今回短めです

いったんエタります・・・ 再開は来月以降!

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